スポーツチャンネル

アメリカの多チャンネルにおけるスポーツ専門チャンネルはESPNのほぼ独占である。地上波では、ABC、CBS、NBC、Foxがスポーツ中継はでも争っているが、多チャンネルにおけるスポーツ全般チャンネルはESPNだけであった。ESPN(Entertainment and Sports Programming Network)は1979年に放送を始めた、多チャンネルネットワークのパイオニアの1つであり、1984年にABCが80%のシェアを得ている(20%はHearst Corporation)。ESPNは、ESPN2、ESPN Classic、ESPNews、ESPNU、ESPN Deportes等のチャンネルも持っている。ESPNはライセンス料が最も高いチャンネルである(1加入世帯、月$5以上)。

しかし、状況は大きくと変わり始めている。スポーツは以前から放送の重要なコンテンツであったが、その重要性は増している。テレビドラマは、Hulu、Netflix、Amazon等のOTTビデオのサービスで見る事が出来る。これらOTTビデオのサイトは再放送ドラマだけでなく、オリジナルの番組も提供し始め、テレビネットワークに対する競合になっている。しかし、これらのサイトでスポーツ中継を見ることは出来ない。野球、フットボール等のメージャーなスポーツを見るのには、テレビ放送が必要であり、多くの試合を見るには、多チャンネルサービスへの加入が不可欠になっている。

CBSとTWCが和解

CBSとTime Warner Cable(TWC)の再送信ライセンス料を巡る争いは、TWCがCBSの再送信を止めた4週間後にやっと解決した。ニューヨーク、ダラス等のTWCの加入者は4週間、CBSの再送信を見る事が出来なかった。TWCは一部の加入者には地上波アンテナを無料で配るなどをしていたが、それほど大きな問題にはなっていなかった。これは時期が夏休みで、放送も再放送が多いためであり、アメリカンフットボール、それに新番組がスタートする9月には和解しないと大きな問題になる事は確実であった。TWCとCBSが合意したライセンス内容は非公開だが、オンラインでの配信条件が争いのポイントであった。これまでの契約では、CBSの地上波をTWCが再送信する事がベースで、それらのコンテンツのオンラインでの配信はおまけで、TWCはほぼ無料でCBSの番組をオンラインで配信する事が出来た。しかし、新しい契約ではオンラインは別扱いになっている。契約金額としては、放送の方がまだ大きな額であるが、オンラインでの配信権利が契約内容としては主役になり始めている。

再配信を止めたTWC、そして高価な再送信料を求めたCBSの両者とも批判を受けた。CBSは8月の視聴率を落とし、TWCは加入者をVerizon等に奪われ、厳しい戦いであった。しかし、この争いで儲かった会社もある。テレビアンテナメーカーのChannel Master社は8月の売上は、7月より150%も増えたと報告している。TWCは一部の加入者に対して無料でアンテナを渡した以外、Radio Shack、Best Buyはアンテナのセールをしていた。

CableLabsとCableLabs Europeが合併

ルイビル市(コロラド)にあるケーブルTV業界の共同研究開発組織のCableLabsは、欧州のCable Labs Europeと合併し、さらにアジア、ラテンアメリカのケーブルTV事業者をそのメンバーに加えた。CableLabsは昨年6月に元Hewlett-PackardのCTO、Phil McKinneyをCEOに任命し、国際化の戦略を進めてきた。この合併でCableLabs EuropeのメンバーであったCon Hem(スウェーデン)、Get(ノルウェイ)、Kabel Deutshland(ドイツ)、Liwest(オーストリア)Ono(スペイン)、Tele Columbus(ドイツ)、YouSee(デンマーク)、Ziggo(オランダ)、それにZon(ポルトガル)が新たにCableLabsに加わった。Liberty CableもCableLabs Europeのメンバーであったが、同時にCableLabsにも加わっていたので、Cable Labsの新たなメンバーには入っていない。また、アジア、ラテンアメリカから、J:COM(日本)、PT Link Net(インドネシア)、Topway(中国)、WASU(中国)Cablevision(アルゼンチン)が加わり、CableLabsのメンバーは51社に増えた。

FCC: 放送ライセンス料の変更

FCCは2014年のテレビ局のライセンス料を更新し、VHF局とUHF局の料金を同じにした。これまで、UHF局のライセンス料はVHFより安く設定されていた。しかし、デジタル移行でこの価格設定は陳腐化していた。FCCはまた、デジタルとアナログの両方で放送している低出力局に対して、2つのライセンス料ではなく、1つで済むようにした。UHF局はライセンス料が安かっただけでなく、事業者による放送局の保有規制上の優遇もある。1つの事業者が保有出来るテレビ放送局の合計リーチ人口上限は、全人口の39%と決まっているが、UHF局のリーチはVHF局の50%とされている。FCCは、この規制の書き換えも行う予定である。

また、2014年からはIPTV事業者も、ケーブルTV事業者と同様に登録と、ライセンス料の支払いが義務化される。IPでの多チャンネルサービスは、実質ケーブルTVと同じ取り扱いになっているが、これまではIPTV局に対する登録とライセンス料の規則は無かった。

AereoとFilmOn

Aereoは9月中にヒューストン、ダラス、マイアミの3都市でサービスを開始する。すでに9月13日にシカゴでの開始を発表してあり、9月に4都市でサービスを開始する事になる。8月19日にはユタ州でサービスが開始された。

Aereoと同様なサービスを提供しているFilmOnも最近、シアトルでそのサービス(FilmOn Xと呼ばれている)を開始した。FilmOnはすでに、ニューヨーク、ボストン、シカゴ、ダラス、マイアミ、デンバー、アトランタ、ニュージャージ、コネチカット、ロサンジェルス、サンフランシスコ、フィニックスで、サービスをい提供しており、近々フィラデルフィア、デトロイト、ミネアポリス、ホノルルでもサービスを立ち上げる。FilmOnはロサンジェルスで立ち上げたサービスで敗訴し、第9巡回裁判所から停止命令を受けているが、サービスは続いている。第9巡回裁判所の管轄にはロサンジェルス以外に、サンフランシスコ、フェニックス、それに今回のシアトルも含まれる。
しかし、FilmOn Xのサービスは長く続かないかも知れない。新たにワシントンDCにおいて、

FilmOnが提供する地上波放送のインターネット再送信サービスを全米停止をする事を求める裁判を起こており、法廷はこれを支持する判定を下した。ワシントンDCの判断は、全米でFilmOn Xのサービスの提供を停止するものだが、第2巡回裁判所(ニューヨーク)は同様のAereoのサービスを合法と判断している為、第2巡回裁判所の地域は除かれる。

小型のアンテナを受信者数以上に使えば、共聴サービスではなく、著作権を犯す事無く再送信が出来るかの判定はこれで1対2になった。最終的な判定は、最高裁まで行くことはほぼ確実である。しかし、最高裁がこの件を扱うのは2015年になると思われる。AereoのBarry Diller、FilmOnのAlki David共に簡単に降参する人間ではないので、それまでは小競り合いが続く事になる。