ParamountによるWBD買収で誰が損をしたのか

Warner Brothers Discovery(WBD)はSkydance Paramountによる、一株あたり$31での敵対的買収に応じ、Netflixによる買収は無くなった。これで、一番徳をしたのはWBDのトップである。Netflixによるオファーよりも高く会社を売ることが出来、大きなボーナスを得ることが出来る。しかし、理由は後記するがこの買収はWBD自体には良いことでは無いかも知れない。

NetflixはWBDを得ることが出来なかったが、損をした訳では無い。Netflixは「あの価格で手に入れることが出来ば良いことで、どんな価格でもどうしても手に入れなければならないものでは無い」と語っている。Netflixによりハリウッド征服にWBD買収は出来れば良いことだが、絶対必要ではない。買収に使うはずであった$827億があれば、別の方法での攻略も可能である。もし、Skydance ParamountのWBD買収が成功しなければ、チャンスは逆に早まるかもしれない。

Skydance Paramountは「どうしても手に入れたいもの」を得た。WBD買収によりParamountはDisneyを抜き最大の映画スタジオとなり、Paramount+もHBO Maxと一緒になることで、Netflix、Prime Videoに次ぐSVODサービスになる。しかし、買収に使った金額はSPWBD(Skydance Paramount Warner Brothers Discovery)の負債になる。エイソンが大金持ちでも、直ちに新しい戦略に投資することは出来ないであろう。テレビ事業の衰退は加速しており、すぐに行動出来ないと、復活のチャンスは減っていく。

WBDの競合のDisneyとComcastはどちらの買収も好むことでは無いが、多分、Netflixと一緒になってくれた方が嬉しいであろう。Netflixにはすでに殆どの人が加入しており、HBO Maxを得ても加入者は飛躍亭には増えない。Disney+、Peacockの競合はNetflixでは無い。彼らが競争している分野は、Netflixの次に加入する2つ目、3つ目のSVODサービスである。Paramount+とHBO Maxが一緒になり、大きな勢力になる方が損である。

一番、損をし、ショックを受けたのはWBDの社員である。2月27日に社員向けのプロモーションが行われたが、社員のムードは暗かったと聞く。Netflixの社員になれると思っていたのが、突然に次の雇用者は大規模なレイオフを行っているSkydance Paramountに変わった。Skydance Paramountは買収後にWBDに対しても大きなカットを行うであろう。

社員だけでなく、WBDのトップの一部もショックを受けているようだ。27日のプレゼンテーションに参加したCFOのガンナー・ウィーデンフェルス氏の表情は悪かったようだ。彼は、Netflix買収前に分離されるDiscovery Globalの社長に就任するはずであった。しかし、Skydance Paramountによる買収を見届け、終われば首になる運命に変わってしまった。

Skydance Paramountに買収されて、レイオフになるであれば、その前にWBDを辞める人が増えるリスクがある。WBDのトップはそれを避けたく、プレゼンテーションではCEOのデビッド・ザスラブはWBDは「業界全体が羨む存在だと」言ったが、社員の殆どはそうは思っていないであろう。NetflixはWBDの知的財産は得る機会を失ったが、WBDから良い人材を引き抜くチャンスになる。WBDが社員のモチベーションを戻すことが出来ないと、買収が完了する時点ではもぬけの殻になっている可能性もある。