テレビ放送局市場統合の始まり

放送離れが進む中、テレビ放送局は統合を進めようとしているが、これを困難にする2つの規制があった。その内の1つが廃止になる可能性が高まり、早速にテレビ放送局グループ(放送局所有会社)としては2位のGray MediaはAllen Media Groupが持つ21局の内の10局を買い、1位のNexstarは4位のTegnaの買収を発表した。

FCCは1つの会社が同一地域で2つの大手局を所有することDuopoly(複占)を禁止している。大手局とは4大ネットワーク加盟局のことであり、例えば、ある地域でABC加盟局を持つ会社は同じ地域で、2局目の小規模の独立系局を持つことは出来るが、CBS加盟局を持つことは出来ない。FCCは2023年にこれを含めた、放送局所有規制の継続を発表したのに対して、放送局グループはこれを控訴した。7月に第8巡回控訴裁判所はこの複占規制の条項を無効にした。

FCCの敗訴だが、2023年時点でのFCCは民主党多数で、複占規制支持であったが、現在のFCCは共和党多数であり、この決定を最高裁に上訴する可能性はない。この裁判で不服申し立て人の申請をし、上訴権利を持つのはケーブルTV局代表のNCTAとATVAである。ケーブルTV事業者は複占により放送局会社の再送信交渉での力が増し、再送信料の値上げになるとして規制維持に賛成した。しかし、これが最高裁で戦う程に重要な問題であるかは疑問である。また、上訴によりトランプ政権に敵視されるリスクもあり、可能性は低い。

統合を困難にしているもう1つは、所有することが出来る放送局の合計世帯リーチ率を39%と決めている規制である。しかし、UHF局のリーチ率は50%割り引くと言うアナログ放送時代の条項が残っており、これにより実質的なリーチ率は39%を超えることが出来る。例えば、Nexstarの実質リーチ率は70%だが、UHF割引により、規制内の39%に収まっている。しかし、この規制がある限り、NexstarのTegna買収は不可能である。

放送局グループとNABはFCCに対して、リーチ率規制の完全なる廃止を求めている。NexstarのTegna買収の完了は今年のQ4と予定されているので、それまでに規制が廃止になると読んでいるようだ。この2つの規制が廃止になると、アメリカの放送局の統合は急速に進む。