2010年に当時のTime WarnerのCEOであったジェフ・ビュークスはNetflixの脅威に対して「アルバニア軍が世界を制覇出来るのか」と答えた。15年後にNetflixは世界最大のストリーミング事業者になった、Warner Brothersを買収を発表した。Warner Brothers Discovery(WBD)はまず、赤字になっているCNN、TNT、Discovery等の多チャンネル向けネットワーク事業を切り離し、スタジオ、それに有料チャンネルとストリーミング事業のHBOで構成される新Warner Brothersになり、その会社をNetflixが買収する。
多チャンネル向けネットワークは来年4月頃にDiscovery Globalとしてスピンオフの予定であったが、買収に対する司法省等の態度が明瞭になる、来年Q3までに延期される。買収にはアメリカの司法省だけでなく、EU等の承認が必要になるだけでなく、Paramount SkydanceがWBDの敵対的買収に動いており、その対応も必要になる。
Paramount Skydanceは映画スタジオとしては4位であり、昨年は2位、今年は1位のWarner Brothersが欲しい。Paramount+はコンテンツ不足で伸び悩んでおり、HBO Maxと手に入れる価値は大きい。さらに、Paramount SkydanceのCBS等のネットワーク事業にCNN等を加えるシナジーもあり、Paramount SkydanceはDiscovery Globalが切り話される前にWBD全体を得ようとしている。
Paramount SkydanceがWBDを求めている理由は明らかだが、Netflixはなぜ、Warner Brothersを買収するのであろう。Warner BrothersのスタジオとそのIP資産の価値は高いが、Netflixはヒット作品の不足に悩んでいることはない。また、HBO Maxの加入者の多くはNetflixにも加入しており、一緒になっても加入者が飛躍的に増える訳では無い。Netflixは世界に進出したが、ハイウッドでの地位はまだアルバニア軍である。Warner Brothersを手に入れることでハイウッドの征服に着手出来る。
Netflixはニューヨーク市のパリス劇場、ハリウッドのエジプシャン劇場等を持ち、毎年数本のNetflix映画を上映している。しかし、映画事業に進出したいのではなく、映画をエミー賞候補にするためには映画館での上映が必要だからだ。Netflixの考えはストリーミングによるビデオ・エンターテイメント市場の制覇である。テレビの征服はほぼ完了しており、次は映画である。映画興行売上では毎年1位か、2位のWarner Brothersを手に入れ、その映画の上映からストリーミングまでの期間を大きくと短縮することで、Netflixをアルバニア軍とバカにしたハイウッドは破滅する。
