テレビメーカーは放送局の競合か

放送局所有会社のコンソーシアムのPearl TVはFCCに対して、テレビメーカーは放送局の競合であることから、CTAによるATSC 3.0チューナ搭載義務に対する反対意見は利益相反になるので対応しないことを求めている。

ATSC 3.0視聴可能世帯は76%に達しているが、実際に視聴している世帯は数%でしかない。理由の1つはATSC 3.0チューナ搭載義務はなく、搭載されているのはハイエンドのモデルだけだからである。放送局を代表するNABはATSC 3.0への移行を進めるために、現行の1.0の終了、そしてATSC 3.0チューナの義務化を求めている。

テレビメーカーを代理するCTAは放送を「衰えているビジネスモデル」と呼び、ATSC 3.0チューナ搭載義務はテレビの値段を無駄に釣り上げるだけだとし、NABの要求に反対をしている。CTAの言い分は、ATSC 3.0が普及しないは放送自体が見られなくなっているからであり、次世代放送のチューナを義務化しても意味が無い、である。実際にコードカッティングが起きて、FASTの利用が増えたが、アンテナ視聴は増えていない。逆に、Hub Entertainment Researchによると、地上波アンテナが設置されている世帯は2020年の32%から2025年には19%に減っている。

このCTAの意見に対して、Pearl TVはテレビメーカーの多くは自社でFASTサービスを提供しており、放送と競合する関係になっているので、ATSC 3.0義務化に対する意見は利益相反であり、無効であると訴えた。テレビメーカーのFASTサービスとしては、Samsung TV Plus、LG Channels、WatchFree+(Vizio)、TCL Channel等がある。テレビメーカーは自社のFASTから広告収入があり、他のストリーミングサービスもレベニューシェアがある。収入が得られない放送よりも、ストリーミングの方がビジネス的には重要であろう。

しかし、テレビメーカーがストリーミングサービスを重視しているのは視聴者が放送ではなく、ストリーミングを好むようになっているからである。NielsenのThe Gaugeによりと、6月のテレビ視聴時間ではストリーミング・サービスが46%になり、多チャンネルと地上波ネットワークの合計(41.9%)を超えている。ATSC 3.0対応チューナを義務化することで、視聴者が放送視聴に戻ってくることは無いであろう。