NetflixとBinge Watching

2013年の大きなニュースの1つは、Netflixがオリジナルドラマシリーズの制作を始めた事である。これにより、Netflixはテレビネットワークに対する競合となっただけでなく、Binge Watching(まとめ視聴)が重要なドラマシリーズの視聴方法となった。Binge Watchingに対してはNetflixも注目をしているようで、最近、いくつかの統計を発表した。Netflixは、13話で構成されるドラマシリーズ(1時間もの)、それに22話で構成されるコメディーシリーズ(30分もの)の中から10シリーズを選び、2013年中に全話を見終えた利用者のデータを調べた。これによるとドラマシリーズを見終えた人の4分の1は、2日間で全13話を見ている。コメディーシリーズでは、48%が全22話を1週間以内に終わらせている。殆どの視聴者は、1つのシリーズを見ている間は、他のビデオを(Netflixでは)視聴せず、そのシリーズに専念をしていた。

Netflixはまた、調査会社のHarris Interactiveを雇い、1500の利用者を対象にしたBinge Wathchingに関する調査も行った。質問の1つは、「Binge Watching」の定義であり、73%の人たちは、「シリーズ物の2話から6話を一度に連続して視聴する事」として、同数はその行為を肯定的に見た。アンケートに答えた61%は、定期的に同じシリーズから2~3話を1週間以内に見ていると答えている。80%近くは同じシリーズから複数のエピソードを立て続けに見る事は、毎週連続して視聴するより楽しいと答えている。Binge Watchingが普及する事は、広告収入に頼っているテレビネットワークには困る事である。Netflixの調査では39%は、番組をまとめて見るために、放送時に視聴しない事があると答えている。

タイムシフト視聴

果たして、Binge Watchingの影響が放送にも出ているのかは不明だが、録画されてから視聴されるまでの時間が伸び、一部のドラマではタイムシフトでの視聴率がライブ+7の視聴率において大きなシェアを占めるようになっている。CBSの「Big Bang Theory」のライブ+7の視聴率は7.9%で、タイムシフト視聴率は2.6%で、3分の1がタイムシフト視聴になっている。ABCの「Modern Family」もタイムシフトが多い番組である。ライブ+7の視聴率は5.5%であるが、タイムシフト視聴率は2.1%で、全体の38%を占めている。

タイムシフトで視聴率が増える事は良い。しかし、広告の多くは特定キャンペーンであり、放送から7日後の視聴では意図した効果は減少する。また、放送から時間が経ったタイムシフトでは広告スキップが増え、広告が視聴されない可能性も増える。

ABCも無料キャッチアップを中止

ABCは同社のウェブサイト、Watch ABCのアプリ、それにHuluにおいて同社が放送している番組の無料(広告付き)キャッチアップ配信を中止した。ABCの番組を放送翌日に視聴するには3つのオプションがある。1つはTV Everywhere(TVE)で、ABCとTVE契約のある多チャンネル事業者(Comcast、AT&T、Cablevision、Charter、Cox、Verizon等)の加入者はABC、あるいはWatch ABCのアプリでTVE認証をして番組にアクセス出来る。もう1つの方法は、有料のHulu Plusへの加入。3つ目は、AppleのiTunes、あるいはAmazonから$3で購入する事だ。

Fox は2011年8月から無料キャッチアップ配信を止めており、ABCと同様にTVEとHulu Plusでの配信に切り替えている。NBCは無料で配信をしているが、TVEへの移行を検討している。CBSは自社のサイトで無料配信をしているが、夏の間に放送したドラマの「Under the Dome」ではAmazonのInstant Videoで有料配信をテストしていた。

Aereoの争いにMSOも参加

Disney、Fox、NBCUniversal、CBSそれに他の地上波ネットワークと地上波局は、Aereoとの戦いを最高裁に持って行くことを決め、Aereoもそれに合意をした。地上波放送を無許可で再送信する事は著作権法に触れる。しかし、Aereoは小型のアンテナをで構成されるアンテナアレーを使う事で、アンテナと加入者の関係は1対1で、同社のサービスは公衆向け再配信ではないとしている。ニューヨーク法廷、それにボストンの裁判所は同社のサービスはネットワークDVRと同様であり、合法との判断をしている。しかし、ワシントンDCの法廷はAereoに類似したサービスを提供しているFilmOn社に対して違法の判定をしており、FilmOnは上訴をしている。Aereoはこれまで、FilmOnに対する判定には関与しなかった。しかし、最高裁での議論が始まる前にFilmOnが上訴で負けることは大きなマイナスであり、Aereo社はこの訴訟に関わろうとしている。Aereo、それにFilmOnを訴えっているネットワーク側は、ワシントンDCの法廷に対してAereoの参加を否定する様に求めている。

最高裁がこれをいかに判断するかは、ネットワークDVRの導入を進めているケーブルTV事業者にも大きな影響を与える。もしも、裁判所はAereoのサービスとネットワークDVRを同等と判断し、それは著作権法を犯すとの判断を出した場合、ネットワークDVRも違法になってしまう。すでにネットワークDVRを提供しており、Aereoの前例となっているCablevisionはネットワークDVRとAereoのサービスは異なるとの意見を公開している。同社は、Aereoと同社のネットワークDVRは異なった物で、Aereoは著作権法違反だとしているが、同時に地上波ネットワークの意見も間違っており、自分たちに都合の悪いサービスのすべてを著作権違法で禁止しようとしているとも述べている。元、Cablevisionのエグゼクティブを(Tom Rutledge氏)をCEOにしているCharter CommunicationsもCablevisionの意見を支持する表明を出している。

別のAereo関係のニュースで、同社はすでにいくつかの地域で黒字になっていると発表した。CEOのChet Kanojia氏によるとAereoの採算性ラインは1都市で6,000加入者である。Aereoは10都市でサービスを開始する為に約6500万ドルを投資しており、2013年末までに15都市でサービスを開始する予定。Aereoによると同社のサービスへの加入者の半分は以前に多チャンネルサービスに加入した事が無い人である。

次は多チャンネルサービスの無断配信

1対1の配信であることで、Aereoが無断で地上波局をインターネット再配信する事が許されるのであれば、同じ理論で多チャンネルサービスも勝手に再配信出来るはずである。NimbleTVはそれを実践する最初の会社となった。同社は、ニューヨークの多チャンネルサービス、Time Warner Cable、Cablevision、Verizon FiOS、それにRCNのサービスの再配信を開始した。NimbleTVは、2つのサービスを提供している。1つは、Time Warner Cable、Cablevision、Verizon FiOS、それにRCNへの加入者に対するインターネットでの地上波再配信である。ニューヨークで、これらのいずれかのサービスに加入している事を証明するニューヨーク市の地上波局の再配信をコンピュータ、あるいはモバイル端末で見る事が出来る。このサービスの価格は月額$3.99で、ネットワーク録画も可能である。

2つ目のサービスは、多チャンネルサービス全体をインターネットで見る事を可能にするサービスである。このサービスは月額$29.98で、別途いずれかの多チャンネルサービスに加入する必要がある。NimbleTV自体は多チャンネル事業者との契約はしていない。同社は最初、多チャンネル事業者と契約した上でサービスを提供する予定で、DISH Networkと話を進め、テストベースでサービスを開始したが、最終的にDISHが手を引いた。NimbleTVは多チャンネル事業者からサービスを再配信する承諾を得ていないが、加入者はそれぞれ多チャンネルサービスに加入しており、NimbleTVは各加入者の為に1対1での配信をしており、Aereoと同様に著作権には触れていないとの理論である。NimbleTVはそのサービスを米国内だけでなく、全世界で展開する予定で、すでにインドのケーブルTVサービス再配信への受付を開始している。