ウェブと放送のハイブリッド番組

TV番組が放送だけでなく、インターネットでも配信されるようになり、TVとウェブをいかに使うのが有効であるかが話題になっている。現在では、TVで放送された物をそのまま、インターネットで配信するか、あるいはTV番組の広告、カットされたシーンを配信する程度の事でしかない。非営利ネットワークPBS(Public Broadcasting Stations)局の1つである、ニューヨークのWNETは、「Need to Know」と呼ばれる、TV放送とウェブのハイブリッド番組を5月7日から開始する。

Need to Knowは、報道番組でそのストーリーは最初、オンラインで公開される。オンラインで放送した番組に対する、視聴者からのコメントを取り入れ、番組は進化し、金曜の夜にTV番組として放送をされる。

増えるTVとウェブの同時利用

NielsenのThe Three Screen Reportによると、TVを見ながらウェブをサーフする人たちは、2009年12月で、人口の59%で、1年前の57.5%から2.7%の増加を見せた。同時利用の平均時間は、2009年12月の1月間で、3.5時間であった。同時利用の平均時間は2008年に12月より、34.5%の増加を見せた。調査パネルは、TV視聴時間の3.1%をインターネットも同時に使い、インターネット利用時間の34%は、TVも同時に使っていると答えた。

TVとインターネットの同時利用
09年12月 09年6月 08年12月 年間成長率
TV/インターネットの同時利用率 59.0% 56.9% 57.5% 2.7%
TV/インターネットの同時利用者数(1000) 134,056 126,047 126,187 4.6%
TV/インターネットの同時利用時間 3:30 2:39 2:30 34.5%
TV視聴時間でインターネットも使う割合 3.1% 2.7% 2.4% 29.7%
インターネット利用時間でTVも視聴する割合 34.0% 27.9% 29.9% 13.9%

Nielsen

EPIX: マルチプラットフォームのTVネットワーク

多くのTVネットワークは、その番組を多チャンネルサービスのVOD、インターネット等でも配信し始め、マルチプラットフォーム化を行っている。しかし、既存のTVネットワークに取り、マルチプラットフォームは、最初からの戦略ではなく、ビジネスモデルとしてまだ確立していない。

マルチプラットフォームを最初からそのビジネスモデルとしたネットワークとして、2009年10月にEPIXがスタートしている。EPIXはViacom、MGM、Lionsgateの3社が協同で設立した、有料チャンネルであり、そのコンテンツをTV、VOD、インターネットで提供する事をそのビジネスモデルにしている。HBO、Showtime等の他の有料チャンネルは、テーマ別のチャンネルを作り、1つのネットワークで、複数のチャンネルを持つことで、見ることの出来る番組の選択肢を増やしている。例えば、HBOは、HBO、HBO2、HBO Signature、HBO Family、HBO Comedy、HBO Zone等のチャンネルを提供している。これに対して、EPIXは、1つのチャンネルで放送をしているだけだが、その番組をVOD、それにインターネットでもストリームする事で、選択肢を広げている。

現在、EPIXを放送しているのはVerizonだけで、Charter、Cox、Mediacomが近日中に提供を開始の予定になっている。Verizonは、EPIXを月額10ドルで提供しており、この料金には無料のVOD、インターネットでのストリーミング(最大720p)が含まれている。インターネットでEPIXを視聴するユーザは、最初に認証の為にユーザ名とパスワードを入力し、VerizonとEPIXの両方がサービスの加入者である事の認証を行う。

EPIXが、インターネット上で提供しているユニークな機能として、「Screen Room」(試写室)がある。Screen Roomは、EXIPへの加入者が、最大4人の非加入者に対して一緒に映画を見る招待をする機能である。招待を受けた人は、自分のPCから無料で映画を見ることが出来る。招待を受けた人は、映画をフル画面で見る事は出来ないが、画面の空いたスペースを使い、同時に映画を見ている仲間とチャットを出来るようになっている。招待する人は、誰でも良く、同じ多チャンネル事業者の加入者等に限られる訳ではない。EPIXは、そのSNS機能を使うことで、EPIXを他の視聴者にも広めようとしている。

ESPNのマルチプラットフォーム視聴調査

2008年のオリンピック以来、NBCはTAMi(Total Audience Measurement Index)と呼ばれる、TV、インターネット、モバイルでのマルチプラットフォームの視聴統計を主要な番組に対して発表しているが、ESPNも6月のワールドカップからESPN XPと呼ばれるマルチプラットフォーム視聴統計を調査していくことを発表した。ESPN XPは、TV、インターネット、モバイル、ラジオ、プリント媒体を調査する。ESPN XPにはNielsen、Knowledge Network、Media Behavior Institute、Keller Fay Group、Wharton SchoolのInteractive Media Initiativeが協力をする。ESPNは、ワールドカップのESPN XP調査で得た知識を2010年からアメリカン・フットボール、その他のスポーツの放送に生かしていく予定。

双方向放送に乗り出すケーブルTV

Comcastは、2010年後半には50以上のネットワークがEnhanced TV Binary Interchange Format(EBIF)をベースにした、インタラクティブTVのサービスを始め、1200万以上の世帯がそれを視聴可能になると発表した。EBIFを使った双方向機能は、Canoeがターゲット可能な双方向広告を提供する為の規格として、普及を進めている。EBIFは広告だけでなく、番組自体に双方向機能を加えることも可能であり、すでにホームショッピングチャンネルのHSNが、HSN By Remoteと呼ばれる、リモコンで注文が出来る放送を始めている。HSN By Remoteは、Comcastが放送し、1200万世帯程度が利用可能になっている。Comcastによると、HSN By Remoteの視聴者の10%程度はリモコン操作でショッピングをしている。

Comcastは、そのデジタル加入世帯の85%に相当する、1900万台以上のMotorola製のSTBをEBIF対応にする作業を完了させている。しかし、ローカルベースで挿入される双方向広告と違い、双方向番組の場合は、ネットワークからの衛星を使った配信路から検討していく必要があり、整備が完了し、放送が可能になるには2010年後半になる。

双方向へのサポートを完全にするには、CiscoのSTBへのEBIFサポートを完了させていく必要もある。CiscoのSTBを主に使っている、Time Warner Cableはそのニューヨーク市のシステムで、900,000台のSTBをEBIF対応にしており、年内には、ほぼ全てのSTBをEBIF対応にする事が可能になると発表してる。Comcastは、ITV技術会社のItaasを使って、EBIFユーザエージェントをSTBに自動的にインストールしているが、CiscoのSTB向けの自動インストールシステムも2010年末から2011年初期には完成する予定だと発表している。

Comcast、TWC、Cox、Cablevision、Charter、Bright Houseが出資をしている、ターゲット可能、双方向広告の仕組みを作ってるCanoe Venturesは第2四半期には、全米ベースでのテストを開始する予定で、スタッフを増やしている。現在の68人の社員から2010年中に130人程度に社員数を増やす予定で、その為に本社を最近に引っ越した。