AT&TがTime Warnerを買収
AT&TはDirecTVを$485億で買収したことでアメリカ最大の多チャネルサービス事業者になったが、今度は$854億でTime Warnerを買う。この買収でAT&Tは、映画スタジオのWarner Brothers、有料チャンネルのHBOとCinemax、多チャンネルネットワークのTNT、TBS、CNN等を持つTurner Broadcasting、それに「Time」、「Entertainment Weekly」、「Sports Illustrated」等の雑誌を持つTime Inc.を得る。
ComcastによるNBC Universalの買収と似ているが、AT&Tの目的は多チャンネルサービス事業のためでは無く、OTTとモバイルサービスでの優位性である。
DirecTV Now
AT&TがOTTベースでの多チャンネルサービスを主流にし、DirecTVの衛星サービスを2020年までに終止するとの報道があったが、その信憑性は低い。もし、AT&Tがこれを実施するのであれば、最低でも自社の営業地域で高速ブロードバンドサービスを導入して行く必要がある。サービスを提供する上では自社で回線を持つ必要は無い。しかし、DirecTV Nowの加入者がケーブルTV事業者のブロードバンドサービスを使っていたのでは、ケーブルTVを事業者を儲けさせるだけであり、AT&Tの儲けにはならない。
AT&TはUverse TVを含め、光ファイバーへの投資を止めており、再開する意図は無い。5Gを使う事は可能であるが、2020年までに十分な普及をさせるのは難しい。もし、OTTでのサービス提供が目的であれば、DirecTVを買収する必要は無く、Uverse TVのOTT化でよく、わざわざ$484億をDirecTVに使う必要は無かった。
Layer3 TV
Layer3 TVがシカゴ、ワシントンDCでサービスを開始した。Layer3 TVは自らは回線を持たないので、ケーブルTVとは違う。回線はブロードバンドであるが、契約した事業者の回線に限られていおり、専用のSTBがあるので、Sling TVの様なOTT多チャンネルサービスとも違う。また、テストとしてスタートしたテキサスとワシントンDCでは内容も異なり、Layer 3のビジネスモデルは把握しにくい。
視聴されているチャンネルは10%以下
Nielsenの「Total Audience Report Q2 2016」(https://goo.gl/eIa2Wi)によると、2016年に多チャンネルサービス加入者が受信可能なチャンネル数は205.9チャンネルで前年同期の208チャンネルより僅かであるが数が減った。コンテンツ料金が高騰する事で多チャンネルサービスの料金も値上げしており、チャンネル数の少ないパッケージにダウンサイズする世帯が出ている。
視聴可能な205.9チャンネルの内、実際に視聴されているチャンネルは19.8チャンネルで、比率としては9.6%であった。視聴可能なチャンネルの内、見られているチャンネルの率が9.6%である事は2015年と同じである。2014年は197.4チャンネルが視聴可能で、視聴されていたのはその10.6%にあたる20.9チャンネルであった。見る事が出来るチャンネルは増えたが、視聴されるチャンネルは減った訳である。
