テレビ受像機メーカーが放送の競合になっていると言えば、不思議に聞こえるが、スマートTVプラットフォームは広告を売り、放送広告で競争している。スマートTVがどれほど、放送/ストリーミングの視聴に影響を与えているのか。イギリスのSamsung Adsから興味深いレポートが発表されている(https://bit.ly/3GUQHj3)。
このレポートにとると、2022年ではスマートTV利用時間のトップはリニア放送、2位はNetflixで、TV OS(スマートTVのUI)の利用時間は3位であったのが、2023年では2位になっている。レポートは、2025年にはTV OSの時間がリニアTVを抜き、トップになると予想している。
以前はTV OSを使う時間は限られていた。スイッチを入れた後は、リニア放送を見るか、あるいはストリーミング・サービスのアプリを立ち上げ、見たいコンテンツを探していた。見つからない場合はTV OSに戻り、別のアプリを立ち上げており、TV OSを使っている時間は短い。しかし、TV OSから複数のサービスのコンテンツが検索可能になり、アプリを立ち上げずにTV OSの統合検索機能を利用する人が増えている。
便利だが、時間短縮にはなっていない。アプリ内での検索よりも多くの結果が出てくるので、迷うことになる。さらに、TV OSの検索機能、レコメンドは必ずしも良くなく、コンテンツを探すのに必要な時間は増えている。視聴者が迷い、TV OSを使う時間が増えるほど、TV OSの広告収入は増える。利用者が見たいコンテンツをすぐに見つけるより、時間をかけさせたほうが、スマートTVプラットフォームの広告収入が増えることになる。
TV OSを使う時間が、個別のストリーミング・サービスを抜くのは分かるが、いくらリニア放送の視聴が増えているは言ってもTV OSを使っている時間が放送を見ている時間を追い抜くのは衝撃的な予測である。それだけリニア放送を見る時間が減っているわけである。それはスマートTVの意図かも知れない。スマートTVの多くはリニア放送を見せないようにしているように見える。ライブTVのボタンはリモコンにはあっても、UI上では目につきにくいインタフェースがある。さらに、UI上にライブのアイコンがあっても、それはリニア放送ではなく、TV OSプラットフォームが提供しているFASTサービスである場合もある。大きな問題はTV OSの検索機能にはリニア放送のデータは含まれていないことだ。検索した番組が放送中であっても、TV OSの検索結果には出ず、オンデマンドの結果しか表示されない。
TV OSにはリニア放送は統合されていない。理由は利用者がリニア放送を見てもスマートTVベンダーの金にはならないからだ。TV OSプラットフォームはアプリから収入得ている。アプリは大きな広告主でもある。しかし、リニア放送からスマートTVベンダーに金が行く仕組みは無い。スマートTVベンダーが一番使って欲しいのは自社のFASTサービスであり、次はUI上の広告が多いサービスである。それらを優先することはTV OSの検索/レコメンドの精度を落とすことになるが、利用者が不満を持たない程度にTV OSを使う時間が増えた方が収入になる。

Samsung Ads
