インターネットとTV広告の差が増す

2016年にテレビが広告媒体として1位の座から落ちたが、その差は広がっている。PriceWaterhouseCoopers(PwC)のEntertainment & Media Outlookによるとインターネット広告は2017年に$864億に達し、$710億のテレビ広告に$150億以上の差を付ける。インターネット広告は2021年には$1162億になるが、テレビ広告の成長は弱く、$752億にしかならない

アメリカ広告媒体市場

媒体

2017年

2021年

インターネット

$864億

$1,162億

テレビ

710

752

ラジオ

182

191

一般雑誌

168

167

新聞

168

122

屋外

95

110

業界雑誌

44

45

ビデオゲーム

14

19

映画

9

10

PriceWaterhouseCoopers

6秒広告の必要性

インターネット広告がテレビ広告を追い抜いているが。ビデオ広告としては、放送が圧倒的であり、インターネットビデオ広告の規模はまだ小さい。OTTビデオでは多くの広告は流せない。OTTで放送と同じ長さの広告をしたら、途中で視聴をやめられてしまう。対応する方法として登場しているのは6秒広告である。YouTube、Facebookだけでなく、Foxも6秒フォーマットをサポートする事を発表している。6秒で終わる広告は30秒物より、見終わってくれる可能性が高く、1つの枠が短いので短い枠でも多くのスポンサーが得られる。特に、コンテンツ自体が短いビデオには30秒広告は適さない。FreeWheelの「Video Monetization Report Q1 2017」によると、プリロール広告を見終わる確率はビデオクリップ(短編)の場合は70%でしかなく、30%は途中で放棄している。それに対して、コンテンツがTV番組、映画等の場合のプリロール広告を見終わる率は87%である。YouTubeは6秒広告を標準にする計画だが、すべてが6秒広告になるかは不明だ。制作されている広告の殆どは30秒であり、それを6秒に再編集する事は困難である。30秒広告に馴染んでいる広告主と広告製作会社の説得も簡単ではない。

AppleのTVODでのシェアが落ちる

Wall Street JournalによるとTVODとEST(電子媒体のビデオレンタルと販売)におけるApple iTunesのシェアは2012年では50%以上であったのが、現在では20%から35%に落ちている。Amazonが急速にシェアを伸ばしている以外、X1の成功でComcastのシェアも増えている。しかし、TVOD/EST市場が成長している事からiTunesの売上は増えている。Bernstein Researchによると音楽、ビデオ、アプリ、書籍を含めたiTunesの世界売上は2016年で$41億であった。

Digital Entertainment Groupの報告では2017年上半期のEST市場は$10.7億で昨年同期から8.3%の成長をしたが、TVOD市場は10.8億で、マイナス3.6%であった。SVODは24%の成長をしている。

アメリカのビデオ・エンターテイメント市場($100万)

2016年前半

2017年前半

増減

デジタル合計

$5,029.97

$5,772.58

14.76%

 EST

989.94

1,072.18

8.31%

 TVOD(多チャンネルサービスとOTT)

1,121,23

1,081.36

-3.56%

 SVOD(単体SVODサービスのみ)

2,918.80

3,619.04

23.99%

物理媒体合計(レンタルと販売)

3,913.54

3,400.81

-13.10%

合計

8,943.51

9,173.39

2.57%

Digital Entertainment Group

欠かせないTVチャンネル

Solutions Research Groupは過去10年間、欠かす事の出来ないテレビチャンネルのランキング「Must Keep TV」を発表してきた。今年から初めて放送チャンネルだけでなく、Netflix、Amazon、Huluの3大SVODサービスも加えられた。この結果、トップ3はABC、CBS、NBCで昨年から変わっていないが、Netflixが4位入り、Foxが5位に落ちた。Amazonは14位、Huluは22位であった。多チャンネルネットワークではESPNがトップで全体の5位、HBOは全体で6位であった。

2017年Must Keep TVトップ15

チャンネル

2017年順位

2016年順位
ABC(地上波)

1

1

CBS(地上波)

2

2

NBC(地上波)

3

3

Netflix(SVOD)

4

–

Fox(地上波)

5

4

ESPN(多チャンネル)

6

7

HBO(有料多チャンネル)

7

6

Discovery(多チャンネル)

8

5

PBS(地上波)

9

11

CW(地上波)

10

10

History(多チャンネル)

11

9

AMC(多チャンネル)

12

12

HGTV(多チャンネル)

13

19

Amazon Prime Video(SVOD)

14

–

CNN(多チャンネル)

15

13

Solutions Research Group

NBC等がSNSでニュース配信

若者のテレビ離れが進んでいるが、特にそれが目立っているのはニュース番組である。ニュースはインターネットで得ており、Nielsenの統計ではNBCのNightly Newsの視聴者年齢の中央値はなんど64歳である。広告価値の高い、若い層が見ないテレビニュースの広告価値は落ちている。若い世帯を引き付けるために為に、NBCはソーシャルワークのSnapchat向けのニュース番組「Stay Tuned」の制作を開始した。Stay TunedはSnapchatで平日は2回(7時と14時東部時間)と週末は1回(13時)に配信される。NBCUniversalは3月に Snapchatに$5億の投資をしている。

ABCもソーシャルワーク向けのニュース制作を始める。ABCはインターネットのニュースサイト、ATTN:との協力でFacebookのInstagram、それにTwitterが配信するニュース番組の制作を行う。ABCはATTN:の設立者で、編集長のMatthew SegalをABC Newsの寄稿者として迎える。ABC Newsはインターネットでの配信もしているが、その視聴者は40代であり、視聴者年齢が20代のATTN:と協力し、さらに若い年齢層にアピールする事を狙う。