アナログ停波の時点で放送局を代表するNAB(National Association of Broadcasters)とIT業界は使われていない放送チャンネル(ホワイトスペース)を免許不要で通信に使う事に関して争った。IT業界はホワイトスペースを活用する事でブロードバンドの普及が進むとし、FCCの許可を求めた。NABはホワイトスペースを通信に使う事は放送への干渉リスクがあるとし、反対をした。2013年にFCCはホワイトスペースを利用可能にし、この戦いは決着した。しかし、放送周波数帯域の競売により、利用可能なチャンネルが減った事で、ホワイトスペースの争いが復活した。
放送チャンネルの再編成
周波数競売後のチャンネルの再編成(Repack)は10フェーズに分けて行われる。この費用は競売売上金の中から政府が出し、その予算として$17.5億が計上されている。チャンネルを変える必要のある放送局がFCCに提出した見積総額は$21億で、予算を超えている。FCCは各局の見積を検討し、支払い金額を通知するが、予算を超える可能性は高く、FCCのパイ委員長も$17.5億では不足すると議会に予算追加を求めている。チャンネル移転の経費はフル出力局とクラスAの低出力局(LPTV = Low Power TV)だけに支払われ、営利局は経費の80%、非営利局は90%を受け取る事が出来る。
クラスA以外のLPTV局に対しては移転経費の払い戻しは無い。LPTV局にはさらなる問題がある。Repackは10フェーズで行われれ、完了した周波数を落札した通信事業者が使えるようにするが、Repackをする事無く、一部の地域ではすぐに通信で利用可能な周波数もある。最も多くのライセンスを落札したT-Mobileはこれらの周波数をすぐに明け渡す事を求めている。FCCはこれを認める方向であるが、これにより一部のLPTV局が放送を続けられなくなる可能性がある。
SinclairとNexstarのATSC 3.0計画
SinclairとNexstarはATSC 3.0で協力するコンソーシアムを作っている。2社以外にUnivisionとNorthwest Broadcastingが加わっているが、リーダーシップはこの2社が持っている。SinclairとNexstarは具体的なATSC 3.0への移行計画での合意を発表した。計画では共同で97地域でATSC 3.0の放送を行う。この内の43地域ではそれぞれが放送局を持っているので、1つの局が両者の放送をATSC 1.0で継続し、もう1つの局がATSC 3.0を使ったサービスを提供する事が出来る。残りの54市場では、他のコンソーシアムメンバーとの協力、あるいはメンバー以外の局とのチャンネル共有契約をし、ATSC 1.0での放送を続ける。FCCはATSC 3.0を第4四半期に承認し、その後にならないとチャンネル共有契約は出来ない。しかし、時期的に競売後のチャンネル再編成とも重なる。放送周波数を競売で返上した後もチャンネル共有により放送を続ける局もあり、市場は混乱し、契約はスムーズに行かない可能性がある。
広告管理プラットフォームのWideOrbitが2017年1月に放送局に対して行った調査(https://goo.gl/jsrhdY)によると56%の局はATSC 3.0への移行予定であり、25%は2017年、あるいは2018年に移行をすると答えている。

WideOrbit
解説放送の規模が拡大
FCCはテレビネットワークに対する解説放送の義務を拡大した。2018年7月から4大地上波ネットワーク(ABC、CBS、Fox、NBC)と5大多チャンネルネットワーク(Disney Channel、History、TBS、TNT、USA)は週に87.5時間の解説放送を行わなければならなくなる。現在の50時間から75%の増加であり、対象時間は現在のプライムタイムだけから、6時から深夜までに広がる。解説放送の義務があるネットワークを5大地上波と10大多チャンネルネットワークに広げるべきとの要求もあったが、パイ委員長は法的に可能なのは75%の拡大で、この要求は75%を超えるとして却下した。
テレビの設置台数が減る
アメリカ合衆国エネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)が発表した統計によると世帯平均テレビ保有数はピークの2009年の2.6台から2015年には2.3台に落ちた。2009年にはテレビを3台以上持っている世帯は44%あったのが、39%に減った。テレビを持っていない世帯は2.6%になっている。

Energy Information Administration
