アンテナ視聴は増えるか?

アメリカのテレビ放送市場の大きな特徴は多チャンネルサービスが普及しており、地上波も多チャンネルサービスで再送信され、アンテナでの視聴が少ない事である。これには歴史的な背景がある。テレビ放送の開始時、放送局開設の申請が殺到し、放送局認可が一時ストップした。これを埋めたのがケーブルTVで、放送局のない地域に隣接地域からの放送を「輸入」した。放送局が開設された後でも、国土が広いアメリカでは電波が届かない地域も多く、放送の普及にはケーブルTVは不可欠であった。

その後、地上波の再送信だけでなく、HBO、ESPN等のケーブルTV専門のネットワークも誕生し、多チャンネルサービスに加入するテレビ世帯は増加を続け2009年に88%に達し、アンテナでのテレビ視聴者は少数派になる。ここ数年、多チャンネルサービスの加入率は減ってきたが、地上波アンテナ世帯は増えなかった。テレビを見るには多チャンネルサービスが当たり前であり、アンテナでテレビが見られると言う事を知らない人も少なくない。

インターネット中立性問題

7月12日はネットワーク中立性規制を無くそうとしている共和党下のFCCに対して反対のメッセージを送る「Day of Action」であったが、これまでの様に大きな話題にはならなかった。1つの理由は、Netflix、Google等の影響力が強い会社の参加表明が遅かった事であった。この結果、まとまりに欠け、過去のBlackout Day(2012年の著作権規制改正のSOPA(Stop Online Piracy Act)とPIPA(Protect IP Act)への抗議)とInternet Slowdown Day(2014年のネットワーク中立性支持)の時の様な共通したテーマでの抗議は無く、それぞれがブログ、あるいはウェブサイトでネットワーク中立性規制の継続を求めただけであった。

また、通信事業者もインターネット中立性を支持するメッセージを出した事で、議論する相手がいなくなってしまった事もDay of Actionが盛り上がらなかった理由の1つである。AT&Tは既存のインターネット中立性規制を法廷で訴えている会社であるが、Day of Actionに参加した。正式に参加はしなかったが、ComcastとVerizonもインターネット中立性を支持する表明を当日に出している。

ホワイトスペース: NAB対Microsoft

アナログ停波の時点で放送局を代表するNAB(National Association of Broadcasters)とIT業界は使われていない放送チャンネル(ホワイトスペース)を免許不要で通信に使う事に関して争った。IT業界はホワイトスペースを活用する事でブロードバンドの普及が進むとし、FCCの許可を求めた。NABはホワイトスペースを通信に使う事は放送への干渉リスクがあるとし、反対をした。2013年にFCCはホワイトスペースを利用可能にし、この戦いは決着した。しかし、放送周波数帯域の競売により、利用可能なチャンネルが減った事で、ホワイトスペースの争いが復活した。

放送チャンネルの再編成

周波数競売後のチャンネルの再編成(Repack)は10フェーズに分けて行われる。この費用は競売売上金の中から政府が出し、その予算として$17.5億が計上されている。チャンネルを変える必要のある放送局がFCCに提出した見積総額は$21億で、予算を超えている。FCCは各局の見積を検討し、支払い金額を通知するが、予算を超える可能性は高く、FCCのパイ委員長も$17.5億では不足すると議会に予算追加を求めている。チャンネル移転の経費はフル出力局とクラスAの低出力局(LPTV = Low Power TV)だけに支払われ、営利局は経費の80%、非営利局は90%を受け取る事が出来る。

クラスA以外のLPTV局に対しては移転経費の払い戻しは無い。LPTV局にはさらなる問題がある。Repackは10フェーズで行われれ、完了した周波数を落札した通信事業者が使えるようにするが、Repackをする事無く、一部の地域ではすぐに通信で利用可能な周波数もある。最も多くのライセンスを落札したT-Mobileはこれらの周波数をすぐに明け渡す事を求めている。FCCはこれを認める方向であるが、これにより一部のLPTV局が放送を続けられなくなる可能性がある。

SinclairとNexstarのATSC 3.0計画

SinclairとNexstarはATSC 3.0で協力するコンソーシアムを作っている。2社以外にUnivisionとNorthwest Broadcastingが加わっているが、リーダーシップはこの2社が持っている。SinclairとNexstarは具体的なATSC 3.0への移行計画での