ケーブル業界イベントの再編成

ケーブル関係の団体は協力し、2009年からイベントを春と秋の2回に集中させ、参加者のスケジュール調整を楽にする事を発表した。National Cable Telecommunications Association(NCTA)、Society of Cable Telecommunications Engineers(SCTE)、Cable & Telecommunications Association for Marketing(CTAM)、CableLabs等12のケーブルTV関係の組織はそれぞれのイベントをCable Connection-SpringとCable Connection-Fallに集中して行うことを決めた。SpringのメインイベントはNCTAのCable Showで、SCTEのEmerging Technologies等のイベントは同じ時期に同じ場所(2009年は4月2日からワシントン DC)で開催される。Fallのメイン・イベントはSCTEのCable-Tec Expoで、CTAM Summit、CableLabsのセミナー等はこれに合わせて行われる(2009年は10月25日からデンバー)。

地上波を使った新サービス

Sezmi(セズミー)は地上波を使った新しいマルチチャンネル・ビデオサービスをこの夏から開始すると発表した。地上波デジタル放送の空き容量を使ったサービスはこれが始めてではない。地上波局はそれぞれ、19.4 Mbpsの伝送容量を持っているが、HD放送でもこれを全て使うことは無く、SDだけであれば、約15 Mbpsのあまりがある。US Digital Television社(USDTV)は地上波放送局と契約し、これら放送局の空いた容量を使い、主要なケーブルTVチャンネルを有料で提供するサービスを2005年末に開始した。月額20ドルのサービスはソルトレーク市,ダラス,ラスベガス,アルバカーキで提供されたが、十分な加入者を得ることは出来なく、2007年4月に同社は倒産し、サービスは閉鎖になった。Sezmiの基本的なビジネスモデルはUSDTVと同じであるが、伝送にはブロードバンドも加えている。そのFlexCastでは、生放送、あるいは視聴率の多い番組は地上波で放送するが、視聴者の少ない番組とVODはブロードバンドで配信する。

Sezmiは地上波放送に加え30~40のケーブルTVチャンネル、それにVODをて提供する予定である。STBは1テラバイトの容量を持ち、スマートアンテナを使うことで、屋外アンテナ無しで放送を受信する事が可能と発表されている。SezmiはISPと協力し、ISPがブロードバンド、VoIPにこのサービスを加え、トリプルプレーとして販売していく予定。

Sezmiは3つの都市でテストを開始すると発表しているが、同社のビジネスモデルには幾つかの疑問点がある。

  • USDTVは低コストで基本的なケーブルTVチャンネルを提供すれば需要はあると考えていたが、結果は必ずしもそうではなかった。SezmiはVODによりチャンネル数の不足は補えると言っているが、果たしてどうか。
  • マルチチャンネル・サービスの加入者に取ってはHDチャンネルの数が重要になっている。Sezmiは積極的にHDチャンネルを提供していくと言っているが、その放送容量はどこから得るのか。主要局はHDでの放送を始めており、余り容量は少なく、さらに地上波を使ったモバイル放送も2009年には開始される予定で、その為に容量が必要になる。2009年後もSDだけの放送を続けるマイナーな局もあるが、1つの都市で数局しかない。15 Mbpsの余りがある局を4つ集めても60 Mbpsにしかならない。60 MbpsではMPEG4でもHDチャンネルを10しか提供出来ない。SezmiはVODでHDを提供出来ると言うが、アメリカのブロードバンド事情ではHDのブロードバンド配信は困難である。STBに先に蓄積して置くことも可能だが、これもAkimboが試して失敗している。
  • SezmiはISP事業者がこのサービスをトリプルプレーの1つとして販売すると言っているが、アメリカの主要なISP、特に自ら回線を持つ会社は電話会社とケーブルTV事業者で、どちらもすでにビデオサービスを提供し、Sezmiの競合になる。小さなISPだけでは十分な市場にはならない。

デジタル地上波放送の余りとブロードバンド配信を融合させるアイデアは面白い。しかし、USDTVも、ブロードバンドを使ったマルチチャンネル・サービスのAkimboも失敗しており、2つをミックスする事で成功させられるかは疑問である。

U-VerseとFIOS TVの加入世帯数

AT&TはそのU-Verseサービスの加入世帯数が第1四半期で148,000世帯増え、379,000世帯に達した。加入世帯数としてはまだ少ないが、AT&Tは2008年末には100万世帯を越えると発表している。AT&TはIPTVサービスのU-Verse以外にDBSの再販も行っており、これを加えた総ビデオサービス加入世帯数は2008年第1四半期末で260万世帯に達した。しかし、良いニュースばかりではなく、AT&Tの有線電話サービスのキャンセル率はこれまで最高の10%に達した。

VerizonのFiOS TVサービスは第1四半期で263,000世帯増え、120万世帯に達した(FiOSインターネットの加入世帯は180万)。これにより、Verizonは全米で第9位のケーブルTV事業者になった。8位のSuddenlink、7位のMediacomは共に加入世帯数は130万であり、第2四半期中にはこれら事業者を越え、DirecTVとDish Networkを加えた、マルチチャンネル事業者全体の市場でもトップ10入りを果たすことになるはずである。

また、別のニュースでVerizonはNY市でケーブルTVフランチャイズの申請を行っている事を発表した。これまでVerizonのFiOS TVサービスが提供されてきたのは郊外の住宅地が主体であったが、これほどニューヨーク市全体のケーブル・フランチャイズへの申請を行った。ニューヨーク市には305.5万の世帯があり、その59%の180万世帯がケーブルTVに加入している。ニューヨーク市はTime Warner CableとCablevisonがフランチャイズを分け合っている以外、一部の地域でRCNが競合事業者としてケーブルTVサービスを提供している。

(単位: 1000世帯)

世帯数

ケーブル加入世帯

加入率

TWC加入世帯

Cablevision加入世帯

マンハッタン

745

600

81%

600

0

ブルックリン

875

455

54%

275

200

クイーンズ

785

340

43%

340

0

ブロンクス

480

300

63%

0

300

スタッテン・アイランド

170

85

50%

85

0

合計

3,055

1,800

59%

1,300

500

Pauli Research

Verizonがアナログチャンネルを廃止

VerizonはそのFiOS TVサービスでアナログサービスを廃止する事を発表した。FiOSサービスは光ファイバーベースだが、既存のケーブルTVと同様にSTB無しで視聴可能なアナログチャンネルが提供されていた。アナログチャンネルを提供する事で、Verizonは加入世帯の全てのTVにSTBを提供する事無く、基本的なサービスを提供する事が出来た。しかし、2009年2月17日のアナログ停波以後は、アナログサービスを提供するケーブルTV事業者は地上波をデジタルとアナログの両方で再送信する事が義務付けられている。Verizonはアナログサービスを廃止する事で、このデュアル・マストキャリーから逃れることが出来る。Verizonはニューヨークで4月21日にアナログサービスをストップし、徐々にその全地域でフルデジタルに移行していく。Verizonは2台目のSTBを月額$3.99で提供していく。

DishがHDローカルチャンネルを増やす

Dish NetworkはHDでローカルチャンネルを提供している地域として、クリーブランド、ミルワーキー、リッチモンド、タンパ、バルチモア等を加え、ローカルHDの地域を55に増やした(2008年5月2日現在)。Dishは年内に100地域でローカルチャンネルをHDで再送信する予定。