- フランスのOrangeは同社が欧州で提供しているIPTVサービスの加入者数が2008年第1四半期で141万に達したと発表した。前年同期の加入者数は77万であった。加入者の内の128万はフランス国内である。Orangeはまた、フランスでDBSサービスを7月3日より開始すこれにより、IPTVを提供出来ないでもトリプルプレーが可能になる。
- スイスのSwisscomのIPTVサービス、Bluwinの加入者は2008年第1四半期で64万であったと発表された。
- 英国のBT Visionの第1四半期の加入世帯数は21.4万に達し、5月15日には25万に達した。2007年末の時点での加入者数は12万であり、今年の数ヶ月間で、倍増している。
- ドイツのT-MobileのIPTVサービス、Entertainの加入者数は第1四半期で20万世帯に達した。
ドイツ: Mobile 3.0がスタート
ドイツのDVB-H事業者のMobile 3.0はハンブルグ、ミュンヘン、フランクフルト、ハノーバーの4都市でモバイルTVのサービスを開始した。チャンネルはARD、ZDF、RTL、VOX、SAT-1、PRO 7、n-tv、N24に加え、ラジオ局が再送信されている。
また、オーストリアでもDVB-Hのサービスが開始した。Media Broadcastと4つの携帯電話事業者で構成されるコンソーシャムは15のTVと5つのラジオチャンネルの放送がウィーン、ザルツブルグ、インズブルック、クラーゲンフルトで始まった。年内には人口の50%をカバーする予定。
NAB Showの進化
NAB(National Broadcasters Association)は米国の地上波放送局を代表する産業組織であり、地上波ラジオ、テレビ局とそのネットワークの為のロビー活動を行っている。そのNABが主催するNAB Showは放送業界最大の展示会であり、10万以上の参加者がある。日本でも放送機器展として有名だが、NAB Showの対象はあくまでも地上波放送であり、ケーブルTV放送向けの伝送機器等は無い(ケーブルTV向けの展示会としてはNCTAとSCTEがある)。NAB Showの展示は地上波放送局が使う為の製品/サービスであり、主役は制作と伝送機器であった。
しかし、4月7日から開催された今年のNAB Showでは明らかな変化があった。NAB Showは毎年、ラスベガスのコンベンションセンターで開催され、これまでは制作と伝送機器が主体の中央ホールがもっと重要な会場であったが。しかし、ここ数年でフォーカスは徐々にポスト・プロダクションが主体の南ホールに移行してきた。今年の展示会では南ホールに主要なベンダーが集まり、完全に主役が変わった印象があった。
これはどの様な意味か? 業界の関心が番組を制作し、それを地上波で放送する事から、持っているコンテンツをいかに活用するかに移っている事である。それを表すようにNAB 2008の副題は「Where Content Comes to Life」で、コンテンツの重要性をアピールしていた。また、今年の主要なパビリオンはContent Centralで、「On Screen、On Air、Online、On the Go」をテーマにコンテンツを放送だけでなく、オンライン、そしてモバイルな環境でも提供する技術をアピールしていた。
地上波ネットワークはその番組をインターネットで配信するだけでなく、ケーブルTV事業者に対してVODで提供し、また、モバイル向けにも提供を始めている。視聴者のTV離れが進む中、地上波放送局、ネットワークがTV放送以外の新たにそのコンテンツを提供する媒体を媒体を求めている。これまで、放送局、ネットワークは新たな媒体の重要性を認識しながらも、放送による広告収入を減収させる恐れから、複数の媒体に展開する事には消極的であった。しかし、この考えは急速に変わっており、今回のNABのテーマがこれまでの放送を離れ、コンテンツの再利用になっている事もこのトレンドを象徴している。
大学のバスケットボール・トーナメントの全試合の放送権を持つCBSは今年は試合をTVで放送するだけでなく、全試合を広告付きで、インターネットで無料配信をした。視聴率的にはインターネットでの配信は大成功で、視聴者数は480万以上で、昨年の120万を大きくと上回った。しかし、TVでの放送の視聴率は4.8%、シェア11%で、昨年の視聴率5.3%、シェア12%を下回る結果となった。この発表で、インターネットでのTV番組の配信はやはり、TV視聴率の低下を招き、結局は減収になるとの意見も出た。しかし、その後、CBSが発表した結果では減収ではなく、逆に増収になったようである。CBSの発表でインターネット放送に対する広告料は、TV広告と同レベルかそれ以上であり、広告収入はインターネットの場合、420万の視聴者に対して一人あたり4.83ドル、TV広告は1.32億の視聴者に対して一人あたり4.12ドルであった。CBSはインターネット配信でも、TV放送でも1試合あたり、同じ時間の広告を挿入した。インターネットでも試合を放送する事で、CBSはTVの視聴者を失ったかも知れないが、インターネットで配信する事で、TVだけで得られる以上の視聴者を得た。そして、視聴者あたりの広告収入はインターネットの方がTV上であり、CBSの収入はTVで放送しただけより多くの広告収入を得たことになる。
この様な成功事例が発表されることで、TV局、ネットワークによるそのコンテンツの再利用はさらに進むであろう。数年後にはNAB Showは放送機器展示会からニューメディアでのビデオ配信の展示会に姿が変わっているかも知れない。
脚本家ストライキのインパクト
Nielsenは2007年11月から2008年2月まで続いた脚本家組合(Writers Guild of America)が放送業界に与えたインパクトをまとめたホワイト・ペーパーを発表した。WGAのストライキ中により、新しいドラマの制作は中止された。Nielsenのホワイト・ペーパーによると最大のインパクトがあったのは地上波ネットワークで、5大ネット(ABC、CBS、NBC、Fox、The CW)の平均視聴率は5.5で、1年前の同期の5.9から6.8%の減少があった。
プライムタイムで見ると、英語地上波ネット番組の視聴率は1年前の37.3から2.6%減少し、34.7%であった。地上波ネットワークの視聴率が減ったのに対して、無料ケーブルTVの視聴率は44.5から46へと1.5%の増加があった。PBS(公共放送)、スペイン語チャンネル、有料チャンネルへの影響は無く、視聴率は変化しなかった。
地上波ネットワークで新番組が減る中、視聴者はケーブルTVチャンネルを見ただけでなく、テレビ以外の媒体も求めだしたようで、Nielsenはこの時期にインターネット・ビデオの視聴時間が平均で18分も増加した事を指摘している。
Nielsenのこのホワイト・ペーパーは下記のリンクからダウンロード可能。
http://www.broadcastingcable.com/contents/pdf/NielsenStrikeWhitePaper.pdf
誰でもがスポット広告を買える?
Googleは2007年6月より。Dish Networkが放送するA&E、Bravo、CNBC、CNN、Discovery、ESPN、Fox News、MTV等のケーブルTVチャンネルの15秒、30秒のスポット広告をインターネットから買う事を可能にするサービスをテストしてきた。テストは特定された広告主だけを対象に行われて来たが、Googleは数週間後には実際のサービスに移行する事を発表した。フルサービスへの移行後にはDish Networkだけでなく、ケーブルTV事業者にもこのサービスへの参加を呼びかけるだけでなく、スポット広告の購入を限定した広告主だけでなく、インターネットを持つ誰でもが出来るようにする。
Comcast、Time Warner等の大手はすでに独自の広告販売のシステムを持っているが、Googleは販売の対象を拡げ、また、STBからの視聴データをウェブベースで提供する事で、同社のサービスへ参加する事を期待している。
しかし、誰でもがスポット広告を買える様にする事に対しての反対意見も出ている。誰でもインターネットでスポットを買えるようになる事で、低いスタンダードの広告が増加し、視聴者の広告に対する批判を増やすことになる可能性がある。また、YouTube世代はスポット広告を個人的なメッセージに使い始めることも予期出来る。これは広告価値を低める物だとの批判的な意見もある。
しかし、Accentureが最近発表した報告はTV視聴者は広告を含め、TVに幻滅をし始めていると分析している。Accentureが発表した「Global Broadcast Consumer Survey」によるとTVに対する最大の不満は広告で、64%が広告を不満に思っていた。2位は巻き戻しが出来ないこと(40%)、都合の良い時間に見られないこと(38%)であった。また、10人中の6人はPCでビデオを見始めている。TV離れが進む中、テレビにインターネットの要素を取り入れることはマイナスでは無いはずである。Googleが誰でもが広告スポットを買えることにする事で、低いクオリティーの広告も出るであろう。しかし、同時にオリジナリティーのある広告だけでなく、スポット広告自体のオリジナルな利用方法も出てくる事が期待出来る。
