SinclairがDielectricを買う

数多くの放送局を持つSinclair Broadcasting Group社が先月閉鎖されたアンテナ会社のDielectricの資産を購入した。購入額は500万ドル以上と報道されている。SinclairはDielectricの在庫を得ただけでなく、殆どの社員を引き続き雇用する。

放送局向けアンテナでは60%以上のシェアを持つ、Dielectricが無くなることは、放送波の再編成の実施に大きな影響を与える事になり、Sinclairの買収で最悪の事態は避けられた。Sinclairは、現在87の放送局を持ち、さらに6社と放送局買収の契約がある、これらが全部実行されると、Sinclairの持つ局数は140になる。これら140局中、124局はDielectricのアンテナを使っており、Dielectricのエンジニアが居なくなることは、Sinclairには深刻な問題となる。SinclairはAcrodyneと呼ばれる放送エンジニアリング会社を持っており、Dielectricの事業とはシナジーもある。

TribuneがLocal TVを買収

地上波局グループのTribuneは、27億ドルでLocal TV社の19局を買収した。この買収によりTribuneが持つテレビ局数は42局となった。内訳は、CW系14局、Fox系14局、CBS系5局、ABC系3局、NBC系2局、それに独立系4局となる。これは、進んでいる地上波局グループの整理統合のトレンドの1つである。Gannet社はBelo Corporationから15億ドルで、20の局を買収する契約がある。また、Sinclair社は6つの会社と買収の交渉をしており、すべてが認められると、同社の保有局数は140局となる。

整理統合が進んでいる理由は2つある。1つは、数による効率である。地上波局の経営は困難になっていおり、効率の良い運営が重要になっている。また、デジタルDTVによりモバイル向け放送、あるいはIPでの同時再配信等、既存の放送以外のサービス、それにその為のビジネスモデルが必要になっており、生き残るには資本力が必要になっている。
もう1つの理由は、来年に予定されているテレビ帯域の競売とその後の再編成である。競売により放送局数が減る事は確実である。しかし、誰が売り、誰が残るかは分からない。放送局を多く持っている会社は、不要な局を売り、戦略的に重要な局を残し、競売で儲け、さらに効果的な再編成をする事が出来る。

TV Everywhereへのサポート

多チャンネルサービスへの加入を条件として、インターネットでのテレビ番組の視聴を可能にするTV Everywhereのサポートは地上波ネットワークにも広まっている。Watch ABCの名称で、契約のある多チャンネルサービスへの加入を条件に地上波放送のIP同時再配信を始めたABCは、そのサービス地域を増やす事を発表した。現在、Watch ABCのサービスは最初、ニューヨーク市とフィラデルフィア市で提供されていたが、7月1日にロサンジェルス、サンフランシスコ、シカゴ、ローリー・ダーラム(ノースカロライナ州)でもサービスが始まった。

Foxはすでに一部の地上波番組はTV Everywhereで公開しているが、2014年のスーパーボウルの中継もTV Everywhereで提供する事を検討している。スーパーボウルのインターネットでの中継は2011年にNBCが始め、昨年の2013年もCBSが行った。スーパーボウルのネット配信はこれまで無料で行われてきたが、2014年の中継ではFoxはTV Everywhereを採用し、多チャンネルサービスへの加入が条件となる可能性がある。2012年のオリンピックのインターネット配信は、NBCが行ったが、TV Everywhereで提供された。

そのNBC Sportsは2014年の冬季オリンピックの中継をTVの Everywhereで提供するだけでなく、NHL(アイスホッケー)、イギリスのプレミアリーグ(EPL)サッカーもTVの Everywhereで提供をする事を検討している。NBCUniversalは2014年のEPLの全360試合の権利を得ており、一部の試合をTVの Everywhereで提供する以外、テレビでは中継されない試合をインターネットの有料VODで提供する事を計画している。NBCUniversalは、その地上波放送、多チャンネル放送をTV Everywhereのモデルで提供する事にコミットしており、最初のアプリとしてUSA Network向けのUSA Nowを公開した。NBCUniversalは地上波ネットワークのNBCの番組のネット配信もTV Everywhereで行う予定だが、サービスの詳細は不明である。

調査会社のThe Diffusion Groupによると、TV Everywhereのサポートは増えているが、まだクリティカルマスには達していない。同社は主要14ネットワークと15多チャンネル事業者のTV Everywhere契約を調べ、契約率はまだ45%だと発表している。主要ネットワークは、TV Everywhereを採用し、主要多チャンネル事業者はTV Everywhereを提供しているがが、まだ殆どのネットワークは、多チャンネル世帯の50%をカバーする事は出来ていない。

タブレットの普及

Magid Media Futuresレポートによると、インターネットを利用している8歳から64歳のアメリカ人における、タブレット保有率は2012年の30%から大きくと増え、2013年5月には44%に達した。同社はタブレットの普及は来年5月には54%を超えると予想している。インターネットを利用している人々におけるスマートフォンの普及は2013年5月で61%であった。18歳から34歳では、79%がスマートフォンを持っている。
タブレット利用者の51%はフルサイズのiPadを持っており、8%はiPad Miniであった。Kindleの利用者は2012年の28%から、31%に増え、Samsungのタブレット利用者は13%から19%に増えている。スマートフォンでは、Androidのシェアが53%で、iPhoneが41%であった。

Pew Research Centerも最近、タブレットの保有に関する調査結果を発表している。これよると、タブレットの保有率は2013年5月で34%で、昨年4月の18%から2倍近く増えている。タブレットの保有率が最も多い年齢層は35歳~44歳で、49%がタブレットの利用者である。
年齢層別タブレット保有率(2013年5月)
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Pew Research Center

モバイルDTVの現状

既存のデジタル地上波放送上でモバイル向け放送を行うATSC M/H(A/53)の規格は2009年に決まった。その後、サービスを提供する母体として、Mobile Content Venture(MCV、サービス名はDyle)とMobile500が設立され、サービスは開始されている。調査会社のSCRIによると、アメリカの放送局中の23.8%がすでにモバイルDTVでの放送を行っており、4.8%が2013年中に放送を開始する。今年の末には、28.8%がモバイルDTVの放送をしている事になる。しかし、モバイルDTVは、殆どニュースにはなっていなく、視聴者もまれである。iPad向けのチューナが売られているが、モバイル放送を見るためにこれを買う人は少ない。様々なビデオコンテンツがYouTube、その他のサイトで配信されている中、モバイルDTVに対する関心は低い。SCRIの調査では、放送局の30.7%が「分からない」、23.8%が「予定なし」と答えている。MCV/DyleとMobile500は合併する話し合いを進めているが、モバイル向けのビデオ配信は通信回線が主流となり、来年には放送帯域の競売が予定されており、モバイルDTVはすでに無意味になっているとの意見もある。

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SCRI