2006年1月にDisneyがIntel,Cisco等から5000万ドルの投資を得て,復活させたMovieBeam(The Compass 2007年1月号参照)がMovie Galleryに売られた。MovieBeamは地上波放送を使ったデータ放送で映画を専用のSTBに配信,蓄積するVODサービスで,サービスを受けるには約$200の専用のSTBを購入する必要がある。映画は$2~$5でVODする事が出来る。MovieBeamは2003年末にDisney子会社のBuena Vistaが始めたが,3都市にしか普及出来ずに2006年に中止され,2006年1月に再スタートした。Intel,Cisco等が投資をし,30都市で再スタートしたことで,話題にはなったが,成功はしていなかった。Movie Gallery社はMovie Gallery,Hollywood Videoのビデオレンタル店舗チェーンを運営する会社。MovieBeamにいくら払ったかは発表されていないが,同社はMovieBeamの購入と同事業への2007年の投資は合計で1000万ドル以下と発表しており,かなりの安値で購入した模様。Movie GalleryはMovieBeamのサービスを継続するが,拡張する予定は無い様で,同社は今年の後半にインターネットを使ったVODサービスを開始する事を予定しており,MovieBeamはそのサービスに統合されていく物と思われる。
地上波を使ったモバイル放送
米国のデジタル放送の規格化が行われた時点ではモバイル放送の考えは無く,ATSCが採用した8-VSB方式ではモバイル放送は不可能と考えられ,QualcommのMediaFLOの様な,地上波放送とは別の帯域を使う,モバイル専用の放送が誕生した。しかし,ATSC規格上でのモバイル向け放送が現実化し始めている。SamsungとドイツのRohde & Schwarzは2006年のNABでA-VSB(Advance-VSB)と呼ばれる技術を公開し,2006年秋には,ニューヨーク州のバッファローでフィールドテストを行い,今年の1月のCESでもデモがあった。
今年のNABではA-VSBはラスベガスの放送局との協力でデモを行った。このデモではSFN(Single Frequency Network)と呼ばれる技術が取り入られ,コンベンションホール,パリス・ホテル,ストラタスフィア・ホテルの3カ所に送信機を取り付け,放送局のアンテナだけでは放送を受信しにくい場所でも受信が可能である事がアピールされた。NABのデモでは1 Mbpsの「ハーフレート・エンコーディング」と500 Kbpsの「クウォーター・レート」がデモされた。66マイルで走っている車からの受信テストではハーフレートでは画面がフリーズする事があるが,クウォーター・レートでは問題は無かった。
さらに,今年のNABではこのA-VSBに競合する技術として,LGとHarrisがMHP(Mobile Pedestrian Handheld)と呼ばれる別の方式を公開した。MHPはすでにオハイオ州のコロンバスで地元放送局との協力で,フィールドテストも行っている。MHPは557 Kbps,あるいは299 Kbpsのビデオを2.2 Mbpsの帯域を使って送る。
これまで地上波局の中でモバイル放送に積極的であったのはSinclair等の数社であったが,デジタル化が2009年2月に迫っている中,関心は高まっており,NABではBelo,Fox,Gannett,Gary,ION,NBC,Sinclair,Tribuneの8つの地上波放送局会社がOpen Mobile Video Coalition(OMVC)の設立を発表した。OMVCは現時点では特定の方式を押してはいなく,地上波を使ったモバイル放送の技術開発の加速化を目的としている。
この放送局の強い関心を受け,ATSCはATSC-M/H(Mobile/Handheld)と呼ばれる規格化の動きを正式に立ち上げた事を発表した。すでにMediaFLOのサービスが開始されている中,2つの異なる技術で地上波モバイル放送が行われたのでは受け入られる可能性は低く,放送局は標準規格化を求めている。ATSCはM/H規格はハイスピードで行われ,今年の末には規格のドラフト化を行うことを目標にしている。
ComcastからTiVoへの支払いは1600万ドル
TiVoの四半期報告によると,ComcastがTiVoをそのケーブルTVサービス向けポートする為に払った金額はこれまでで1600万ドル以上になっている。ComcastはそのMotorolaのDVR STB上でTiVoのアプリケーションが走るようにソフトウェアのポーティングを依頼している。TiVo,Comcast共に6月までにはソフトウェアの開発は終了し,2006年末までには殆どのComcastのシステム上でTiVoが提供される予定。Comcastが提供しているMotorolaのDVRの評判は非常に悪く,これを理由にDBSに移行する加入者も出ており,Comcastとしては評判の高い,TiVoを一日も早く導入したい。TiVoもDirecTVがNDS製のDVRを提供し始め,TiVo製のSTBを積極的に売らなくなった事で,加入者数は横ばいになっており,ComcastがTiVoを提供し始めることは重要になっている。
インテルの2つのアライアンス
インテルはビデオ関係の2つのアライアンスを発表した。1つはEricssonが買収することが決まっているTandberg社とのアライアンスで,2社はブロードバンドTV出版システムを共同開発,販売を行う。システムとしてはTandbergのビデオコンテンツ管理ソフトウェアをIntelのプログラミングシステムを統合させた物になり,ビデオコンテンツをウェブ,あるいはモバイル向けに提供する事を容易にする。
もう1つのアライアンスはMobiTVとで,MobiTVが主に携帯電話事業者に提供している放送サービスをインテルプロセッサーを採用しているPC,モバイルデバイスにオプティマイズする物。
MotorolaのSTB売上げが急増
2007年第1四半期でMotorolaは490万台のSTBを出荷した。このSTB売上げのおかげで,同社のConnected Home Solutionsの売上げは10.4億ドルで,前年同期42%増となり,収益は1.13億ドルで,前年同期の4700万ドルより倍増した。
このSTBが売れている理由は2007年7月に開始されるCASをSTBから切り離す規制である。MSOが提供するSTBは7月からCASを内蔵する事は禁止され,CableCARD等の方式で提供される事になる。CableCARD式のSTBは既存のSTBより高価になる。しかし,抜け道もある。7月1日以前に提供されたSTBを再利用(再導入)する事は許可されている。MSOは7月前に出来るだけ既存のSTBを買い占め,一度導入された事として,保管し,7月以降に再導入するつもりである。
