STBのCAS内蔵禁止規制が始まる

1996年通信法の通過から11年後に,やっとケーブルTVのSTB開放が動き始めた。FCCは2007年6月29日に,ケーブルTV事業者代表のNCTAが求めていたSTBへのCAS内蔵規制の延期を拒否し,規制は7月1日から実施になった。1996年通信法は,ケーブルTV市場開放の一部として,STBをケーブルTV事業者以外も提供出来るようにする事を求めている。STBの標準化を可能にするために,FCCはCASをPCMCIAカードで提供し,STBにCASを内蔵する事を禁止する規制を作ったが,これまで延期されて続けて来た。

FCCはNCTAの要求に加え,ケーブルTV事業者が個々に提出してきたローエンドのSTBへの規制の適用の除外の要求を否定した事で,7月1日からケーブルTV事業者がレンタル提供する全てのSTBにCASを内蔵する事が禁止になった。唯一,この規制の適用の除外を受けたのはすでに100%デジタル化した事業者,あるいは2009年2月17日以前に完全なデジタル化が完了する事業者であり,オレゴン州のBendBroadband,アラスカのGCI,テキサスのOneSource等が2009年2月までのデジタル化にコミットをし,規制免除を得た。VerizonのFiOS TVも殆どデジタルであるが,アナログTVでもSTB無しで一部のチャンネルを受信可能にする為に,アナログでの再送信も行っている。Verizonは2007年2月17までにこのアナログでの同時再送信を止める事を約束し,規制から免除された。

AT&TのU-Verse TVは完全なデジタルであり,この除外措置の適用を受けることが出来るが,AT&TはFCCに申請を行っていない。これに対して,AT&Tはこれまで同様に,IPTVはケーブルTVでは無いので,この規制とは無関係と発表している。FCCはIPTVはケーブルTVではないとの判断はされていなく,許可を受ける必要があると言っている。

ケーブルTV事業者が提供するSTBはこれで標準仕様になるが,この規制が目的としている,STBの事業者以外からの提供はまだ始まっていない。STBの標準規格としてOpenCableがあり,単方向のチューナに関してはCEAが標準規格として認め,それを内蔵したテレビは出荷されてている。しかし,単方向のチューナはIPG,VOD等には対応していなく,これら製品は売れていない。家電ベンダーは双方向のOpenCable規格の一部となっているOCAPと呼ばれるミドルウェアの機能範囲が広すぎるとして,採用を拒否しており,双方向機能を持つデジタルケーブルTV対応のテレビはまだ出荷されていない。
1996年通信法が求めるSTBの開放が実現する為には,FCCはNCTAとCEAの間を取り持ち,双方向STBの規格への合意に持ち込まなければならない。

ケーブルプログラミングへの規制

ケーブルTVのプログラミング・パッケージに大きな変化をもたらす可能性のあるFamily & Consumer Choice Act of 2007が下院議会に提出された。この法案はケーブルTVには暴力,性的な表現のある番組が多くあり,それらを見たくない世帯も,パッケージとしてそれらのチャンネルに加入し,支払わなければならないことに対する不満から生まれた物である。これまでに,ケーブルTVのサービスはパッケージでは無く,個々のチャンネル毎での選択を可能にするアラカルト・プログラミングをFCCが提案する等の動きがあった。

Family & Consumer Choice ActはケーブルTV事業者に対して3つの選択肢を与える。

  • 地上波放送と同様な放送番組の内容に対する規制を受け入れる
  • 暴力,性表現の多い番組を外した「ファミリー」パッケージを提供する
  • 特定のチャンネルをパッケージから省き,その分料金が下がる,アラカルト・システムを取り入れる

この法案はFCCマーチン会長,Parents Television Council,Consumer Union等の支持を得ている。
ケーブルTV事業者を代表するNCTAは,パッケージで販売する事で多くの視聴世帯が対象になる安い値段で,ネットワーク(コンテンツ)事業者と契約が出来ているのであり,アラカルト方式になれば,契約は加入者単位となり,有料チャンネルと同じようになり,料金は増えると反対している。NCTAは子供に見せたくないチャンネルがあるなら,Vチップでその家庭のTVでは見えないようにすれば良いことであり,新たに法律を作る必要はないと言っている。

700 MHz帯域は誰が入札可能?

アナログ放送の終了が2009年2月に迫り,現在アナログ放送で使われている700 MHz帯を通信事業者に競売する方法に関する議論が本格的に始まった。一番の大きな話題は,誰がこの競売に参加出来るかである。Consumers Union,Public Knowledge,The Media Access Project等の団体はこの競売ではAT&T,Verizon,Comcast,Time Warner等の大手の既存事業者の参加は許さずに,新しい競合事業者を対象にするべきだと言っている。もし,競合を作るのが目的であれば,これには一理ある。しかし,競合を作るという目的と同時に,出来るだけ高い値段でこれら帯域を売りたいと言う政府の本音もある。懐の深い大手事業者が参加しなければ,高い値段につり上がっていく事は無いであろう。また,既存事業者を競売から省いても,競合が育つとは限らない。PCSライセンスにより,Sprintが携帯電話事業に参加する事が出来たが,それ以外では競合が育ったとは言えない。

また,競合通信事業者が全米網を持つことが出来るように,全米の帯域をパッケージして競売するとの提案も出ている。競合を作るのであれば,これは有効かも知れない。しかし,現実的にどれほどの会社が既存勢力ではな会社が,全米網を買える程の金があり,さらにAT&T等と競合出来る通信技術を持っているか。ケーブルTV,電話会社とビデオ市場で張り合ってるDirecTV,EchoStarは関心があるだろうが,それぞれではAT&T,Comcast等に対抗出来る程の資源は無い。帯域を買うことが出来ても,サービスを開始する資源が無く,スタートが出来なければ,意味が無い。

Google等のインターネット会社も積極的にロビー活動をしている。Google等も既存事業者に参加させることは反対で,さらにはこの帯域を使って提供する通信サービスはネットワーク中立性を約束するべきだとも言っている。Googleが自ら競合通信サービスを始める意志があるのなら,面白いが,果たしてどうであろうか。Verizon等はもし,ネットワーク中立性を約束しなければならないのであれば,膨大な金額を出して帯域を買う価値は無くなると反対をしている。

出来るだけ多くの金が欲しいのであれば,真正面からAT&T,Verizon,Comcast,TWC等をぶつけるのが一番であるが,帯域の多くを既存の大手が買ってしまったら,競合を育てると言う目的は達せない。FCCの競売のルール作りはこれからであるが,これまでの競売でも訴訟等で遅れたことが何度もある。これ以上,価値のある帯域が今後,競売になることは無いと言われる700 MHz帯の競売ルールを作るのは大きな騒動になっていくであろう。

デジタルチューナ無しのTVの罰金

2009 年2月に迫ったデジタル放送への移行をスムーズに進めるために,FCCはデジタルチューナ無しのTVの販売を止めさせる事に対して真剣になり始めた。 FCCは過去2年でデジタルチューナの義務付けを進め,今年の3月で全てのTVに対して,デジタルチューナが義務化されている。しかし,今でもアナログチューナしか搭載していないTVは,輸入され,店舗に出回っている。FCCは最近,この義務化に違反して72,000台のアナログTVを輸入した Syntax-Brillian社に対して,290万ドルの罰金を言い渡した。罰金の金額は入荷したTVの台数により違い,1台~100台では1台あたり $50から,5万台以上では1台あたり,$250にスケールアップする。

FCCはまた,5月25日よりアナログしか受信出来ないTVを売る場合,その付近にアナログTVでは2007年2月17日移行は放送が受信出来なくなるとの通知を提示する事も義務化した。この義務は店舗だけでなく,オンラインショップにも適応さる。FCCは6月にBest Buy,Circuit City,CompUSA等の主要チェーンに対して,この通知を怠った場合は1日あたり,$11,000,最大で$97,000の罰金になるとの警告を出した。

SiriusとXMが正式に合併許可を申請

衛星ラジオ事業者のXM RadioとSiriusは合併の意志を明らかにしてきた(The Compass 2007年3月号)が,6月8日にFCCに対して正式に合併許可を求める申請を行った。衛星ラジオ事業者はこの2社であり,合併により市場を独占する事になるとしてラジオ放送事業者を代表するNAB等が反対をしている。