動き始める東欧州のデジタル放送

2007年8月31日は中央/東欧州のデジタル放送において大きな日となった。チェコではドイツ国境に近いドマジュリツェ(Domazlice)でアナログ放送が終了となり,デジタル移行を完了させた。また,ポーランドではTVNが中央/東欧州で始めてHD放送を開始した放送局となった。

全国提供を開始するTiscali TV

英国のIPTVサービス,Tiscali TVはその80チャンネルのサービスを全国規模で提供する予定を発表した。現在,約500万世帯を通過しているサービスは今年中に1000万世帯通過をし,全国に拡げていく。イタリアのTiscaliは昨年,Video Networks社のHomeChoiceを購入し,Tiscali TVとした。サービスは現在,ロンドンの北と西,それにハートフォードシャーとスティーブネッジで提供され,5万世帯の加入者を持つ。

U-Verseの売り方

U-Verseの規模はまだ小さい。AT&Tは第1四半期に18.7万の新規ビデオ加入者と契約したと言っているが,その大半はAT&Tが再販しているEchoStarのDBSサービス,Dish Networkへの加入者である。そのIPTVサービスのU-Verseはヒューストン,ダラス,サンノゼ,サンディエゴ,LA,デトロイト等20以上の都市でサービスが開始されていると言っているが,これら都市の全地域をカバーしている訳ではない。U-Verseのサービスが提供されている都市の1つ,LAだけでその世帯数は150万近いのに対して,U-Verseの通過世帯数は6月時点で300万である。U-Verseが提供されているのはこれら都市の一部のコミュニティーだけである。

このように分散された地域でAT&TはいかにU-Verseを売り込もうとしているか。AT&Tは広範囲はU-Verseの広告は行っていない。提供されている地域が限られており,広範囲な宣伝は無駄であり,また,消費者を混乱させるだけである。AT&TのU-Verseの宣伝活動はその地域の限定した,ゲリラ的な戦略である。

U-VerseのサービスデモはAT&Tの小売り店舗で行われている他,地域のモール,イベント等でデモを行っている。広告も地域的である。コネチカット州のノーウォークでは「Bobby Choice」と呼ばれる架空の地元の人間を作り,MySpaceに似せたウェブサイト等で,ボビーがなぜ,CablevisionからU-Verseに乗り換えたかを説明するキャンペーンを行っている。

AT&Tはよりパーソナルな宣伝活動もしている。AT&Tの狙いはハイエンドのユーザである。一番安いのは100チャンネルで月額$59ドルのパッケージであるが,80%の加入者は240チャンネルで月額94ドル,あるいは300チャンネルで119ドルのパッケージに加入している。一番安いパッケージ以外には3台のHD対応のSTB(内,1つはDVR)が提供される。これらパッケージに加入するのは郊外(サバーブ)に住む,中階級の上の層で,子供がいる家庭である。この様なデモグラフィーの家庭への宣伝にAT&Tが選んだのはアイスクリーム・トラックである。米国のサバーブではアイスクリーム・トラックが巡回し,子供にアイスクリームを売っている。AT&Tのアイスクリーム・トラックは無料のアイスクリームとU-Verseのパンフレッドを配っている。

AT&Tのもう1つの戦略は口コミでU-Verseを広めることで,その為に設置,サポートを重視している。U-Verseの設置には外部コントラクターでは無く,AT&T社員が使われ,家庭に入る時は,床を汚さないように靴にカバーをする等し,印象を高めている。設置導入後にはサービスの説明を行う別の社員が家庭を訪問し,DVRの使い方等の説明を行っている。
出だしは大切であり,最初に問題を起こしては悪いイメージを引きずることになる。この様な設置を行っているのであれば,300万の通過世帯に対して,加入世帯が5万と低いのもうなづける。しかし,これでは永遠にケーブルTVとDBSに対決する事は出来ない。AT&TはU-Verseの通過世帯数は2007年末には800万,2008年には1800万に達する予定だと発表しており,いずれは今のゲリラ的な戦いから本格的な戦いに切り替える必要がある。

700MHz競売: FCCとGoogleの提案

FCCは4対1で700 MHz帯域の競売のルールを決定した。FCCは合計で62 MHzの帯域を販売する。その内の22 MHzはどの様な端末,アプリケーション,サービスが使え得る様なオープンアクセスが条件になる。オープンアクセスを条件にする事に対しては,Google,Intel,Yahoo,Skype,DirecTV,EchoStar等の会社がロビーをしており,特にGoogleはオープンアクセスを条件にした競売であれば,最低でも46億ドルを払う意志がある事を表明していた。しかし,GoogleはFCCが決めたルール以上の開放を求めている。その要求は700 MHz帯の競売で提供されるサービスすべてにおいて,

  • どの様な端末からでもアクセス可能にする。
  • どの様なコンテンツ,アプリケーション,サービスへのアクセスを可能にする。
  • 第3者に対して,公平にホールセールされる。
  • 外部のインターネット事業者にインターコネクトの場を提供する。

FCCのルールはこのGoogleの要求を満たすには至っていなく,Googleは競売に対して関心は持っているが,参加するかに対してのコミットメントはしていない。

モバイル通信会社を代表するCTIAはこのGoogleの提案に対して,Googleが競売に参加し,得た帯域で,彼らが提案するビジネスモデルを適用する事は自由であるが,競売に参加したい他の事業者に自分のビジネスモデルを押しつける必要は無いと反論している。

ケーブル業界が「Must Buy」規制の廃止を求める

ケーブルTV業界はFCCに対して,地上波再送信に加入しない加入者にはケーブルTVチャンネルを売ることは出来ないと言う,地上波再送信の「Must Buy」規制を廃止する事を求めている。ケーブルTVにおいては地上波再送信が基本サービスであり,そのサービスに加入しない世帯に対してはCNN,ESPN等のケーブルTVチャンネルの販売をする事は許されていない。しかし,同じ多チャンネルサービスのDBSでは地上波再送信はオプションであり,加入者は再送信無しでサービスに加入する事が出来る。ケーブルTV事業者はDBSと同じ条件にするべき事を求めている。FCCは地上波再送信をオプションとする事は地上波放送に大きなインパクトを与える可能性があるとして,この要求には否定的である。議会も否定的であるが,一部ではコンシューマの選択の自由を認める上で,この要求に賛成の声もある。