U-Verseの売り方

U-Verseの規模はまだ小さい。AT&Tは第1四半期に18.7万の新規ビデオ加入者と契約したと言っているが,その大半はAT&Tが再販しているEchoStarのDBSサービス,Dish Networkへの加入者である。そのIPTVサービスのU-Verseはヒューストン,ダラス,サンノゼ,サンディエゴ,LA,デトロイト等20以上の都市でサービスが開始されていると言っているが,これら都市の全地域をカバーしている訳ではない。U-Verseのサービスが提供されている都市の1つ,LAだけでその世帯数は150万近いのに対して,U-Verseの通過世帯数は6月時点で300万である。U-Verseが提供されているのはこれら都市の一部のコミュニティーだけである。

このように分散された地域でAT&TはいかにU-Verseを売り込もうとしているか。AT&Tは広範囲はU-Verseの広告は行っていない。提供されている地域が限られており,広範囲な宣伝は無駄であり,また,消費者を混乱させるだけである。AT&TのU-Verseの宣伝活動はその地域の限定した,ゲリラ的な戦略である。

U-VerseのサービスデモはAT&Tの小売り店舗で行われている他,地域のモール,イベント等でデモを行っている。広告も地域的である。コネチカット州のノーウォークでは「Bobby Choice」と呼ばれる架空の地元の人間を作り,MySpaceに似せたウェブサイト等で,ボビーがなぜ,CablevisionからU-Verseに乗り換えたかを説明するキャンペーンを行っている。

AT&Tはよりパーソナルな宣伝活動もしている。AT&Tの狙いはハイエンドのユーザである。一番安いのは100チャンネルで月額$59ドルのパッケージであるが,80%の加入者は240チャンネルで月額94ドル,あるいは300チャンネルで119ドルのパッケージに加入している。一番安いパッケージ以外には3台のHD対応のSTB(内,1つはDVR)が提供される。これらパッケージに加入するのは郊外(サバーブ)に住む,中階級の上の層で,子供がいる家庭である。この様なデモグラフィーの家庭への宣伝にAT&Tが選んだのはアイスクリーム・トラックである。米国のサバーブではアイスクリーム・トラックが巡回し,子供にアイスクリームを売っている。AT&Tのアイスクリーム・トラックは無料のアイスクリームとU-Verseのパンフレッドを配っている。

AT&Tのもう1つの戦略は口コミでU-Verseを広めることで,その為に設置,サポートを重視している。U-Verseの設置には外部コントラクターでは無く,AT&T社員が使われ,家庭に入る時は,床を汚さないように靴にカバーをする等し,印象を高めている。設置導入後にはサービスの説明を行う別の社員が家庭を訪問し,DVRの使い方等の説明を行っている。
出だしは大切であり,最初に問題を起こしては悪いイメージを引きずることになる。この様な設置を行っているのであれば,300万の通過世帯に対して,加入世帯が5万と低いのもうなづける。しかし,これでは永遠にケーブルTVとDBSに対決する事は出来ない。AT&TはU-Verseの通過世帯数は2007年末には800万,2008年には1800万に達する予定だと発表しており,いずれは今のゲリラ的な戦いから本格的な戦いに切り替える必要がある。