AT&Tが25億ドルで700 MHz帯を購入

アナログ停波により空く,700 MHz帯域の競売は2008年1月に開始の予定だが,AT&Tは一足先に全米の人口の75%をカバーする規模の700 MHz帯域を25億ドルで購入した。この281マーケットに於ける12 MHzの帯域はAloha Partnersが2001年,2003年の競売,そして,その後の買収で得た物である。Aloha PartnersはケーブルTV分野のベテランを含む投資家で構成され,この帯域を使い,Hiwireと呼ばれるモバイルTVサービスを計画していた。AT&Tの買収は,帯域に含め,このHiwire部門を含んでいる。これにより,HiwireがT Mobile USAとの共同で計画していたラスベガスでの24チャンネルのモバイルTVのテストはAT&Tが引き継いで行うことになる。

しかし,AT&Tが単にモバイル放送の為にこの帯域を買収したとは考えにくい。AT&Tは今年の初めに,MediaFLOとそのサービスを使う契約を行っている。AT&Tがこの契約を破棄し,独自にサービスを提供する可能性もある。しかし,その為に25億ドルの投資はリスクが高い。アメリカでもデジタル地上波放送を使ってのモバイル向け放送が規格化され始めている。現在,デジタル放送規格を取りまとめているATSC(Advanced Television Systems Committee)ではモバイル/ハンドヘルド向けの放送規格の標準化作業を急ピッチで進めている。ATSCはLG/Harris,Samsung/Rohde & Schwarz,MediaFLO,Nokia等を含む,10社からのプロポーザルを検討しており,2008年中に標準規格を設立する予定である。モバイルTVに対する興味は高いが,地上波デジタル放送を使ったモバイル向け放送,MediaFLOに加え,さらにAT&Tが参入し,25億ドル,プラスの投資を回収出来るほどの市場性があるとは考えにくい。

モバイルTV放送も行うかも知れないが,AT&Tはこの帯域をブロードバンドサービスに使うと考える方が妥当であろう。AT&TのU-verse TVによる多チャンネルサービスの参入は遅れており,その加速化に為にAT&Tはデジタル衛星放送サービスのEchoStarを買収する事を検討しているとの噂が出ている。デジタル衛星放送の弱点は双方向性が無いことであるが,これにAT&Tが得る700 MHz帯によるブロードバンドを加える事で,この弱みを補うことが出来さらに,モバイルビデオのオプションも加える事が可能になる。

AT&Tが以下にこの帯域を使うかの予測は難しいが,この買収により,1月に予定されている700 MHz帯域の競売がこれまで以上に大きな話題になっていくことは確実である。AT&TがAloha Partnersから購入するライセンスはトップ10市場を含み,トップ100市場の内,72を含む。AT&Tは競売で大きな買い物をしなくても,ほぼ全米をカバーする規模の700 MHz帯を持つ事が可能になる。Verizon等はこれに対抗するネットワークを考えるのであれば,積極的に1月の競売で帯域に入札をしなければならない。オープンアクセスのネットワークの為に入札を検討しているGoogleに取っても,AT&Tが先に人口75%をカバーするライセンスを得てしまった事は大きなインパクトである。さらに,もしも本当にAT&Tがデジタル衛星サービスとモバイルビデオの融合を考えているとなるとComcast等の大手MSOも無線ライセンスの入手により積極的にならざるを得ない。

11.3%の世帯がHDを視聴

Nielsen社が発表した統計では全米の1.13億のTV世帯の内,HDが表示可能なTVセットとHDが受信可能なチューナを持っているのは13.7%で,実際に1つ以上のHDチャンネルを視聴している世帯は11.3%であった。米国で最もHD受信可能世帯が多いのはロサンジェルスで,20.4%の世帯がHD受信可能であった。実際にHDを視聴している世帯が多いのはニューヨークで,17.5%がHDを視聴している。また,NielsenはHDTVを持っていてもHD放送を受信可能なチューナを持たない世帯が21%もあると発表している。

CEAがは発表した統計ではHDTVの世帯普及率は2007年7月で32%であり,NielsenのHDTV+HDチューナとHDTVのみの世帯を合計した34.8%に比較的に近い数字となっている。多チャンネルサービスへの加入が多いアメリカでは,HDTVを持っていても,STBがHDではない世帯も多い。CEAの推定ではHDTVを持っている世帯で,実際にHD番組を視聴しているのは,HDTVを持っている世帯の44%となっている。

ComcastがFCCを訴える

ComcastはSTBからのCAS切り離し規制に関して,FCCに対する訴訟を起こした。ComcastはFCCに対して,ローエンドのSTBに於いて,規制からの免除を求めていたが,FCCはこれを却下した。Comcastは一部の事業者に対しては免除を許可し,Comcastには却下したのは無原則で,気まぐれな決定だとして,FCCを訴えた。また,FCCからの返答は90日の返答期間を大きくと過ぎた503日もかかり,これは同社とその顧客に対して回復不可能な害を与えたと訴えている。

ケーブルTV株が落ちる

Comcastの第3四半期の財務発表がきっかけで,ケーブルTV事業者の株価が軒並み落ちた。10月24日から25日で,Comcast株は10.8%,Charterは22%,Time Warner Cableは8.5%落ちた。このきっかけを作ったのはComcastの加入者数の減少で,同社は第3四半期で6.5万の加入世帯を失った事を発表した。これは第2四半期の9.5万世帯の減少より良いが,前年同期は1.1万世帯増であり,減少が続いている。加入者がアナログからデジタルケーブル・サービスに移行をしていれば,総加入世帯が若干減少しても,収入への影響は少ないが,第3四半期のデジタルサービス加入世帯の増加は48.9万で,2006年同期の55.9万より低い。また,ケーブルモデム加入世帯の増加も45万で,前年同期の53.8万より低くなっている。

ホワイトスペースの再テスト

FCCはホワイトスペース(地上デジタル放送の空き帯域)を無線通信に使う技術を再度テストする事を発表した。Microsoftを含む,コンピュータ会社は地上波デジタル放送の空きチャンネルを,免許不要の通信帯域として使う事を提案している。帯域が使われている事を自動的に検知し,安全な帯域のみを使う技術を開発する事は可能だと言っているが,前回のテストでは成功をしなかった。放送局を代表するNAB等はホワイトスペースの利用には反対しているが,FCCは帯域の有効利用の為にこの技術の再テストを行う。