RogersがCiscoにSDVを発注

カナダのケーブルTV事業者のRogers CableはCiscoの製品を使い、SDV(スイッチド・デジタル・ビデオ)サービスを実現させる。CiscoはRogers CablekらSDVサーバー、圧縮、それにQAM製品の注文があった事を発表した。Ciscoはまた、日本のJ:COMからDOCSIS 3.0モデムの受注があったことも発表した。J:COMは Cisco DOC3000モデムをその160 MbpsサービスのNET Ultra 160で採用する。

EspialがKasennaを買収

カナダのミドルウェア会社のEspialは、カリフォルニア州のIPTV技術会社のKasennaを660万ドルで買収した。KasennaのMediaBaseプラットフォームはイタリアのFastweb、スペインのJazztel等で採用されている。KasennaにはAlloy Ventures、Artiman Ventures、CIR Ventures、Dresdner Kleinwort Wasserstein、Entertainment Media Ventures、Entrepreneurs Fund、Key Venture Partners、US Venture Partnersが投資をしている。

BBCがDVB-T2のテストを開始

BBCはそのHD放送の開始に先駆け、DVB-T2のテストを6月27日に開始した。DVB-T2はDVB_Tより45%近い容量を追加する事が可能。T2は6月26日に規格化されたばかりで、これが最初の正式なテストになる。OfcomはHD放送の為にマルチプレックスBの帯域を再構成しており、英国における最初のHD放送はグラナダ地域で、同地域のアナログ停波が行われる2009年から開始される予定。

動き始めたTru2way

デジタル多チャンネルサービスにおける利用者の大きな不満の1つはSTBである。家中のTVにSTBが必要となり、その置き場所を探し、TVに接続し、利用方法を覚え、また1つ増えるリモコンに対応しなければならない。アナログケーブルTVではTVにケーブルTVチューナが内蔵されているので、有料チャンネル加入者以外はこの煩わしがが無かった。デジタルケーブルTVチューナをTVに内蔵可能する仕様として、CableLabsはOpenCableを開発した。

OpenCable仕様を使うことで家電ベンダーはデジタルケーブルTV対応のTVセット、DVR等を作ることが出来る。しかし、問題はOCAPと呼ばれるミドルウェアの採用であった。ケーブルTV事業者はEPG、VOD等の双方向アプリケーションに対応させるために、STBに標準規格のミドルウェアを採用しようとした。しかし、家電ベンダーはこれに難色を示した。OCAPはEPGの様な簡単なアプリケーションだけでなく、他のデバイスとの通信機能、Eコマース、ゲーム等のより複雑なアプリケーションにも対応する事が出来るため、導入コストは高くなる。しかし、OCAPにより可能になる新しいケーブルTVのサービスの収入はケーブルTV事業者に行き、これを採用した家電メーカーの収入にはならない。箱を売るだけでなく、サービスからの収入も作ろうとしている家電メーカーに取ってこれは問題である。

家電ベンダーはOCAPの無い単方向のOpenCable仕様には合意し、デジタルケーブルTV対応のTVセットは2005年に発売になった。しかし、単方向の仕様ではEPGもVODも受けられず、デジタルケーブルTVサービスの価値を提供する事が出来ず、売れ行きは悪かった。

OCAPの採用に対してケーブルTV事業者と家電事業者はこれまで平行線を辿ってきた。ケーブルTV事業者はそのSTBにOCAPの採用をし始めた。家電ベンダーはOCAPの採用は拒否し、その代わりにEPG、VOD程度が出来るより限定機能のDigital Cable Ready Plus(DCR+)と呼ばれるミドルウェアの採用を求めた。2008年1月のCESにおいて、CableLabsはOCAPの名前を止め、Tru2wayと改める事を発表した。これは、家電製品として提供する際のイメージを考慮した物であった。そして、この5月には家電ベンダーに対して、Tru2wayのライセンスを得ることを楽にし、さらに互換テストを自社で行い、その結果を提出することで認証を得られるようにした。Samsungは以前からOCAPのライセンスを受けていたが、Tru2wayのライセンス契約に切り替え、Tru2wayを採用した最初の家電ベンダーになった。

それに続き、SonyはComcast、Time Warner Cable、Cox、Charter、Cablevision、Bright Houseの6大ケーブルTV事業者とTru2wayの採用で合意した事を発表した。SonyはこれまでOCAP /Tru2wayの採用には大きな反対をしてきたCEベンダーである。SonyがTru2wayの採用に合意した事で、他の家電ベンダーもこれに合意をし、DCR+の動きは消え、やっと双方向サービスに対応するデジタルケーブルTVチューナ内蔵のTVセットの発売が実現するであろう。

5月17日から開催されたNCTAのThe Cable Showでは多数のTru2wayのアプリケーションがデモされた。

  • Softel-USAのMediaSphere TX: Tru2wayとEnhanced TVの双方向アプリケーションの両方の提供可能
  • UniSoft/Strategy & Technology: Tru2wayとETVアプリケーション開発、テスト、導入ツール
  • Zodiac InteractiveのTru2way Zidget framework: ローカルニュース、検索等のプラグイン・アプリケーション提供
  • BIAPのEBIFとtru2wayアプリケーション: イエローページ、2008年選挙、ファンタジー・スポーツ等
  • Cisco Systems’ demo of Time Warner Cable’s digital navigator program guide, Comcast’s new iGuide, and demos of Navic Networks’ enhanced programming and advanced advertising;
  • Time Warner CableのEPG、ComcastのiGuide
  • CNN Newsのプログラムガイド(Ensequence社開発)
  • ComcastのChill Games(PixelPlay社開発)
  • Cox CommunicationsのEPG(NDS Group社開発)
  • WWEとFordの双方向TV(Ensequence)
  • Harmonicのナビゲーション
  • HSNのEコマース、「Shop by Remote」(Tandberg TelevisionとEnsequence)
  • ICTVのTV向けSNS
  • MotorolaのマルチルームDVR、発信者番号表示
  • Oberon Mediaのゲーム
  • QVCのEコマース・サービス、「Buy Button」
  • The Weather Channelの双方向サービス(Vidiom Systems開発)

また、Comcastが提供する中小事業者向けの番組配信サービスのComcast Media CenterはAdvanced Interactive Services(AxIS)を発表した。AxISはゲームその他のTru2wayのアプリケーションを衛星で中小事業者向けに配信する。

DTAへの期待

The Cable Showのもう1つの話題はDTA(Digital-To-Analog Boxes)であった。DTAとは米国政府が配っている$40クーポンで購入出来るATSCのデジタル地上波放送をアナログTVで視聴可能にするDTVコンバーターと同じ様な物で、違いはATSCチューナの代わりに、デジタルケーブルのチューナが付いている事である。デジタルケーブルTVで配信する番組をアナログ変換して見えるようにするコンバーター・ボックスである。ベーシックなデジタルSTBとの大きな違いは、EPG、VOD、プレミアムチャンネルへの対応等の機能をカットし、DTVコンバーターの様に数十ドルで製造出来る物である。The Cable ShowではSTBベンダーのMotorola、Cisco、Thomson、Pace、それにEvolution Digitalと言う会社がDTAを展示していた。

DTAへの関心の高まりはケーブルTV事業者のデジタル化への焦りと、諦めの象徴でもある。ケーブルTV事業者はそのアナログ放送をデジタル化してきた。既存のアナログ放送を残し、残りの帯域でデジタル放送を行うハイブリッド型であり、アナログサービスもこれまで通りに提供する事が出来る。問題はアナログは大きな容量を使う事である。アナログ放送の残りでデジタル放送を提供する事は最初は大きな問題では無かった。しかし、デジタルチャンネルが増え、ケーブルモデムの速度が上がり、ケーブルTV電話への加入者が増えていくことで、帯域は満杯になっている。そこに、急速にHDチャンネルへのデマンドが増えてきた。さらに、2009年2月17日のアナログ停波後は、アナログサービスを続けるケーブルTV事業者はアナログとデジタルでの2重再送信を行う義務がある。何とかして、新たな帯域を得ないと再送信規制に対応出来なく、また、HDチャンネルを増やしているDirecTVに負けてしまう。

新たな帯域を得る一番簡単な方法はアナログ放送を止めることである。今、60のアナログチャンネルを提供していれば、アナログサービスを止める事で360 MHzの帯域をリカバーする事が出来る。既存のアナログサービスへの加入者を失わずにこれを行う事は簡単な事ではない。TVの視聴者には2つのタイプがある。より多くのチャンネル、より良い画質を求め、その為には支払いを増やしても良いと思うユーザと、現在のサービスで満足、それ以上は求めていないユーザである。ケーブルTVの加入者の50%~60%は前者である。これらのユーザをより多くのチャンネルが見え、画質も良いデジタルサービスにアップグレードする事は比較的に簡単であった。問題は後者である。ケーブルTV事業者は飴から鞭まで、様々な方法を試した。理想はアナログユーザを、デジタルサービスへ引き上げる事である。数ヶ月間の割引をしても、有料チャンネルに加入したり、VODを使ってくれれば、マイナスにはならない。ケーブルTV事業者はデジタルサービスにアップグレードするアナログユーザに数ヶ月間無料でHBO等の有料チャンネルを提供する等のオファーをしてきた。しかし、これ以上を求めない視聴者には無意味の事である。

飴が駄目なら鞭と、次はケーブルTV事業者はアナログチャンネルを減らし、強制的にデジタルに移行させる方法を取った。アナログ放送は規制上必要な地上波の再送信と数チャンネルの多チャンネルネットワークにして、CNNとかの一般的な多チャンネルネットワークが見たければ、デジタルサービスに加入しなければならない様にした。これ以上を求めない視聴者でも、チャンネルを奪われることには反応する。しかし、彼らは黙ってデジタルサービスに移行するのではなく、怒り、市議会、公共企業委員会等に訴え、ケーブルTV事業者の立場を悪くした。

ケーブルTV事業者の描いていた世界はすべてのケーブルTV視聴世帯の全てのTVに双方向サービス対応のSTB(あるいはTru2wayのテレビ)があり、TV番組を見るだけでなく、VOD、ゲーム、Eコマース等のアプリケーションを使い、新たな収入を得ることである。しかし、双方向STBは高価になり、デジタルサービスの最低月額を高くし、STBが不要のアナログサービスとは同じ価格には出来ない。

DTAには双方向機能は無く、新たなサービスの提供は出来ない。しかし、その分、安く提供出来る。どこまで安く出来るかの鍵はCASにある。CASに対応させるにはライセンス料等で、$10程度値上がる。さらに、CASを搭載するとFCCが求めるCAS分離に引っかかり、CableCARDを採用しなければならない可能性があり、これで数十ドル値上がってしまう。地上波の再送信はCAS無しで出来るが、多チャンネルネットワークの一部はデジタル放送をする際はCASを要求している。ComcastはCAS無しでDTAが出来れば、コストは$35程度になると語っている。

大手ケーブルTV事業者はDTAにコミットした訳ではないが、DTAの導入を開始した事業者もある。オハイオ州のマシロン市のMassillon Cable TVはDTAを使い、アナログサービスを終了させる。Massillon Cableは加入世帯45,000の事業者で、現在750 MHzのシステムを使っている。他のケーブルTV事業者と同様に帯域が不足し始めている。マシロンにはAT&TがU-Verseサービスを始める予定があり、対抗する必要がある。帯域を増やす為にネットワークを1 GHzにアップグレードするには1000万ドルのコストが必要となる。しかし、現在設置されているSTBは860 MHzまでの対応であり、1000万ドルを掛けても100 MHzしか得られない。アナログサービスを止めれば、るためには全加入世帯の全TVにデジタルSTBを置く必要がある。STBはレンタルとして、コスト回収出来ても、事業者が最初にSTBを購入する必要がある。45,000の世帯に平均2.8台のTVがあるとすると126,000台のSTBが必要になる。Massillon CableのデジタルSTBの設置台数は25,000台であり、後100,000台のSTBを購入する必要がある。MotorolaのベーシックなデジタルSTBを使っても、初期コストは750万ドルになる。Massillon CableはEvolution Digital社のDTAを採用する事を決定した。Evolution DigitalのDTAは約$50で、500万ドルで100,000台が購入出来る。

Massillon CableはMotorolaのヘッドエンド、STBを現在使っているので、CASもMotorolaのMediaCipherである。Evolution Digitalは高価になるMediaCipherのCASライセンスしていなく、ノルウェーの通信事業者、Telenorの子会社のConaxのCASをサポートしている。このためMassillon Cableは現在、アナログサービスとして提供している75チャンネルはMotorola STB向けにMediaCipherで送り、さらにDTA向けにConaxでと2重で送る必要がある。それでも350 MHz程度の帯域を回収する事が出来る。Massillon Cableは来年の3月まではDTAを無料で提供するが、それ以降は月額25セントのレンタル料金を請求する予定。