デジタル多チャンネルサービスにおける利用者の大きな不満の1つはSTBである。家中のTVにSTBが必要となり、その置き場所を探し、TVに接続し、利用方法を覚え、また1つ増えるリモコンに対応しなければならない。アナログケーブルTVではTVにケーブルTVチューナが内蔵されているので、有料チャンネル加入者以外はこの煩わしがが無かった。デジタルケーブルTVチューナをTVに内蔵可能する仕様として、CableLabsはOpenCableを開発した。
OpenCable仕様を使うことで家電ベンダーはデジタルケーブルTV対応のTVセット、DVR等を作ることが出来る。しかし、問題はOCAPと呼ばれるミドルウェアの採用であった。ケーブルTV事業者はEPG、VOD等の双方向アプリケーションに対応させるために、STBに標準規格のミドルウェアを採用しようとした。しかし、家電ベンダーはこれに難色を示した。OCAPはEPGの様な簡単なアプリケーションだけでなく、他のデバイスとの通信機能、Eコマース、ゲーム等のより複雑なアプリケーションにも対応する事が出来るため、導入コストは高くなる。しかし、OCAPにより可能になる新しいケーブルTVのサービスの収入はケーブルTV事業者に行き、これを採用した家電メーカーの収入にはならない。箱を売るだけでなく、サービスからの収入も作ろうとしている家電メーカーに取ってこれは問題である。
家電ベンダーはOCAPの無い単方向のOpenCable仕様には合意し、デジタルケーブルTV対応のTVセットは2005年に発売になった。しかし、単方向の仕様ではEPGもVODも受けられず、デジタルケーブルTVサービスの価値を提供する事が出来ず、売れ行きは悪かった。
OCAPの採用に対してケーブルTV事業者と家電事業者はこれまで平行線を辿ってきた。ケーブルTV事業者はそのSTBにOCAPの採用をし始めた。家電ベンダーはOCAPの採用は拒否し、その代わりにEPG、VOD程度が出来るより限定機能のDigital Cable Ready Plus(DCR+)と呼ばれるミドルウェアの採用を求めた。2008年1月のCESにおいて、CableLabsはOCAPの名前を止め、Tru2wayと改める事を発表した。これは、家電製品として提供する際のイメージを考慮した物であった。そして、この5月には家電ベンダーに対して、Tru2wayのライセンスを得ることを楽にし、さらに互換テストを自社で行い、その結果を提出することで認証を得られるようにした。Samsungは以前からOCAPのライセンスを受けていたが、Tru2wayのライセンス契約に切り替え、Tru2wayを採用した最初の家電ベンダーになった。
それに続き、SonyはComcast、Time Warner Cable、Cox、Charter、Cablevision、Bright Houseの6大ケーブルTV事業者とTru2wayの採用で合意した事を発表した。SonyはこれまでOCAP /Tru2wayの採用には大きな反対をしてきたCEベンダーである。SonyがTru2wayの採用に合意した事で、他の家電ベンダーもこれに合意をし、DCR+の動きは消え、やっと双方向サービスに対応するデジタルケーブルTVチューナ内蔵のTVセットの発売が実現するであろう。
5月17日から開催されたNCTAのThe Cable Showでは多数のTru2wayのアプリケーションがデモされた。
- Softel-USAのMediaSphere TX: Tru2wayとEnhanced TVの双方向アプリケーションの両方の提供可能
- UniSoft/Strategy & Technology: Tru2wayとETVアプリケーション開発、テスト、導入ツール
- Zodiac InteractiveのTru2way Zidget framework: ローカルニュース、検索等のプラグイン・アプリケーション提供
- BIAPのEBIFとtru2wayアプリケーション: イエローページ、2008年選挙、ファンタジー・スポーツ等
- Cisco Systems’ demo of Time Warner Cable’s digital navigator program guide, Comcast’s new iGuide, and demos of Navic Networks’ enhanced programming and advanced advertising;
- Time Warner CableのEPG、ComcastのiGuide
- CNN Newsのプログラムガイド(Ensequence社開発)
- ComcastのChill Games(PixelPlay社開発)
- Cox CommunicationsのEPG(NDS Group社開発)
- WWEとFordの双方向TV(Ensequence)
- Harmonicのナビゲーション
- HSNのEコマース、「Shop by Remote」(Tandberg TelevisionとEnsequence)
- ICTVのTV向けSNS
- MotorolaのマルチルームDVR、発信者番号表示
- Oberon Mediaのゲーム
- QVCのEコマース・サービス、「Buy Button」
- The Weather Channelの双方向サービス(Vidiom Systems開発)
また、Comcastが提供する中小事業者向けの番組配信サービスのComcast Media CenterはAdvanced Interactive Services(AxIS)を発表した。AxISはゲームその他のTru2wayのアプリケーションを衛星で中小事業者向けに配信する。
