Comcastの新VODアーキテクチャー

Comcastは新たなVOD配信のアーキテクチャーを検討している。同社はそのVODのタイトルを10万以上に増やす、「Project Infinity」を発表しているが、このアーキテクチャーはその実現化に必要となる。現在、Comcastはサービス地区に複数VODのサーバーセンターを設置している。例えば、フィラデルフィアだけで、13のVODセンターがあり、それぞれがほぼ同じ内容のビデオを蓄積している。このアーキテクチャーでは10万本のVODタイトルに対応する事は困難である。Comcastは新たに2つのスーパーセンターをウェスト・チェスター(ペンシルバニア)とデンバーに設置する。それぞれ、東側、西側の市場を担当し、また、お互いのバックアップを行う。ビデオは自動的に階層式に分散され、頻繁にアクセスされるビデオはヘッドエンド、あるいはハブのサーバーにキャッシュされる。基本的にインターネットでのコンテンツ配信ネットワークと同じ構成である。

このアーキテクチャーはまた、全国レベルでの広告の挿入も可能にする。Comcastが計画中の放送中の番組を録画し、放送中だけに再スタートを可能にする「Start Over」のサービスもこのスーパーセンターで行われる。現在、ComcastはMotorola、それにSeaChangeのVODサーバーを採用している。

Seattle PIが廃刊

米国の主要な新聞の1つである、シアトルのPost-Intelligencer紙が廃刊になった。PIは引き続きオンラインとして運営されるが、スタッフは150人から20人に減る。新聞の発行部数は2008年9月末までの6ヶ月間で、日刊は4.6%、日曜版は4.8%の減少をし、日刊の発行部数は48,408,000、日曜版は48,786,000になっている。発行部数のトップはUSA Today(2,250,000)、Wall Street Journal(2,000,000)、New York Times(1,100,000)、LA Times(739,000)である。

新聞発行部数

Audit Bureau of Circulation

ENGデジタル化のさらなる遅れ

ENG(Electronic News Gathering)に使われるBAS(Broadcast Auxiliary Services)のデジタル移行はさらなる遅れが出ている。ENGのデジタル移行はSprint Nextelが放送局に対して移行に必要なデジタル通信機器のコストを支払う事で進められている。Sprint Nextelは公共安全通信との干渉が問題になっているその800 MHz帯域をBASのデジタル化で空く,2 GHz帯域と交換する条件として,BASのデジタル移行の費用を支払うことになっている。しかし, 2007年9月7日に完了の予定であったBASのデジタル移行は、大幅に遅れ、FCCは2008年2月に期限を2009年3月5日に延期した。

しかし、BASのデジタル化はまだ3分の2程度であり、Sprint Nextelは2010年2月までの延期を申請し、FCCはこれを検討する期間として、45日の延期をした。

Sprint Nextelが払う費用はアナログ同等(SD)のデジタル設備であり、HD化のためには放送局が、追加分を支払うことになるが、多くの局はHD器材を導入して、デジタル化が完了した放送局ではニュースのHD化が進められている。しかし、その他の局ではHDはまだ先の事である。

TV番組のインターネット配信

インターネットでのビデオ視聴時間は増えている。Nielsen社の統計では2008年第3四半期のインターネットビデオの月間平均視聴時間は27時間4分(TV自体は151時間3分)であった。NBCの報告では同ネットワークのヒット番組、「Heroes」の今シーズンの合計視聴者数はTVが2.49億で、インターネットストリーミングは7917万であった。

現時点ではインターネットでストリーミングされている番組の主体は地上波放送の物であり、多チャンネルネットワークの番組は少ない。これは、地上波ネットワークと多チャンネルネットワークでは収入構造が異なるからである。地上波ネットワークの収入は広告であり、インターネットでの配信をする事で広告収入がえられれば、基本的なビジネスモデルは変わらない。

多チャンネルネットワークも広告を売っているが、その収入の約半分はケーブルTV等の多チャンネル事業者が支払うライセンス料(視聴者料)である。広告収入だけで、インターネット配信を始めた場合、このビジネスモデルが崩れる事になる。多チャンネルネットワークは例え、放送と同じレベルの広告収入を確保する事が出来たとしても、収入は半分でしかない。有料サービスとして配信を始めた場合、多チャンネル事業者に競合する事になり、リスクを伴う。

しかし、多チャンネルネットワークも、そして多チャンネル事業者もインターネットを使ったビデオの配信サービスに強い関心を持っている。Time Warner、それにケーブルTV事業者のTime Warner Cableは多チャンネル事業者を巻き込んだ「TV Everywhere」と呼ばれる構想を売り込もうとしている。TV Everywhereでは多チャンネルネットワークは、Hulu等のインターネットサイトでその番組を配信するが、配信はメンバー制になり、視聴可能な人はそのネットワークが放送されている多チャンネルサービスの加入者に限られる。どの様な方法で認証をするか、サービスは有料オプションか等、未決定の部分も多い。NTIAのCable Showにおいて、Disney ABCは「TV Everywhere」構想を拒否する発言をしたが、多チャンネルネットワーク、それに多チャンネルサービス事業者の両方に取り、メリットがあるビジネスモデルであり、関心は高い。Cable ShowではTime Warnerはそのプレミアム(有料)チャンネルのHBOはHBO Goと呼ばれるブロードバンド配信のサービスを発表した。HBO Goは多チャンネルサービスでHBOに加入している視聴者だけが利用可能になっている。

Time Warner CableはHBO、Turner Broadcastingを含めたネットワークと共にこのサービスの実現化に向け、認証方法等のテストを行っていると発表している。TWCはウィスコンシンで、HBO Goのテストを行っている。ケーブルTV事業者のComcastもTV Everywhereのテストを実施すると発表した。同社はOn-Demand Onlineと呼ばれる多チャンネルネットワークの番組をそのケーブルTV加入者に対してストリーミングをするサービスを今年中に開始すると発表している。

タイムシフト視聴

Nielsenによると、2008年におけるDVRの世帯普及率は25%であった。DVRを使ったタイムシフトの視聴統計が発表される事で、面白いトレンドが明らかになっている。

DVRによる視聴者統計をそのサービスの1つとして売り込もうとしている、TiVoは2009年1月のシーズンスタートの幾つかの番組のDVR視聴統計を発表した。このTiVoのStopWatch統計によると、7つ中の6つの番組の視聴者の最低50%はDVRでタイムシフトされた視聴であった。また、ABCの「Lost」では放送日から3日から14日後の視聴がタイムシフト視聴全体の27%もあり、Nielsenが使っている統計では計算されない視聴が多くある事が明らかになっている。

1月スタートの番組のタイムシフト視聴

番組

ネットワーク

放送日

タイムシフト視聴率

タイムシフトでのシェア

<1時間

<24時間

3-14日

<1時間

<24時間

3-14日

Lost

ABC

1/21

2.7

5.6

2.9

26%

52%

27%

24

Fox

1/11

2.7

5.5

1.8

30%

61%

20%

American Idol

Fox

1/13

4.3

8.4

1.3

37%

73%

11%

Scrubs

ABC

1/6

1.0

1.8

0.5

29%

66%

17%

Friday Night Lights

NBC

1/16

0.8

1.5

0.5

40%

57%

20%

The Bachelor

ABC

1/5

1.7

3.2

0.4

40%

76%

11%

The Biggest Loser

NBC

1/6

1.7

2.8

0.4

45%

77%

11%

TiVo StopWatch

7つの番組中の3つはリアリティーショー(American Idol、The Bachelor、The Biggest Loser)で、これらは24時間以内での視聴が多く、3日後の視聴は少ない。それに比べ、ドラマでは3日以後の視聴も番組によってはかなり高い。

タイムシフト視聴

また、Empower MediaMarketing社はNielsenの9月1日から10月31日までのLive+7(放送当日、プラス7日間)の視聴データを基にした分析の結果を発表した。これによると、DVRでのタイムシフト視聴は番組によって大きな違いがあるだけでなく、ネットワーク間でも違いがある。タイムシフトでの視聴が多いのは5大ネットワーク中ではNBCで、その21.8%がタイムシフト視聴であった。2位はCWで、21.4%であった。

5大ネットワークの視聴シェアの順位はCBS、Fox、ABC、NBC、CWであり、視聴シェアが低いほど、タイムシフトの視聴が多い傾向になっている。