アナログ停波の準備

FCCは6月12日にアナログ停波する放送局に対して、5月12日に停波テストを行う事を呼びかけている。FCCは午前7:30、午後12:30、午後6:30の3回に、5分間の停波を行う事を呼びかけている。

{+++}これは、TV視聴世帯がアナログ停波に対応出来ているか、知る為に行う物である。Nielsenが発表しているDTVにまったく未対応の世帯は2月中旬から2月下旬にかけ、4.4%から3.8%へと大きく減った後も、徐々に減少を見せている。

未対応率は3月末で3.4%、4月中旬で3.2%、そして4月末で3.1%であった。4月待つでの未対応の世帯は全米で350万世帯となる。全く未対応の世帯が最も多いのはアルバカーキー/サンタフェ地区(ニューメキシコ州)で、4月中旬で9.1%の世帯が未対応である。第2位はダラス/フォートワース地区(テキサス州)で、6.3%が未対応であった。

3D TV放送

ケーブルTV事業者の共同研究開発団体のCableLabsは3月末にベンダーに対して3Dビデオに関する情報の要望を伝えた。CableLabsはこれはバックグラウンドの調査のため、様々な技術をそのメンバー事業者に報告するためであり、仕様化の為では無いと説明している。CableLabsのコンシューマ向けビデオ技術のVP、デビッド・ブローバーグは先月にケーブルTV業界の規格組織、Society of Cable Telecommunications Engineers(SCTE)の3D TVに関するワークグループの委員長に任命されている。3Dビデオには様々な方式が提案されており、規格化はまだ先の事である。ケーブルTVでの3Dビデオの場合、そのコンバージョンをSTBで行うのか、あるいはパススルーしてTVで行うのかも未定である。

英国ではDBS事業者のBskyBがHyndaiの3D TVディスプレイを使ったテストを始めており。4月にポップバンド、Keaneのコンサートを3Dで放送した。米国のケーブルTV事業者も今年からテストを行っていくと思われる。

NABにおいて、Panasonicは1080pベースの「3DフルHD」プロダクションシステムの開発を行っている事を発表し、ダブルレンズのカメラレコーダー、フィールドレコーダーを展示し、また、103インチのプラズマ画面を使い、その3D技術のデモンストレーションを行った。

しかし、ベンダーが全て3Dに賭けている訳ではない。オランダのPhilipsは3Dイメージングの製造と開発から撤退し、その3Dディスプレイ、WOWvxの製造を廃止し、3Dソルーションズ部門も閉鎖する事を発表した。Philipsはこれまでにその3Dメガネを必要としないディスプレイ技術に多額の投資を行ってきたが、3D市場の普及は予想以上に遅いと判断して、これ以上の投資を中止した。

ABCがHuluに参加

ABCはNBC UniversalとFoxのジョイントベンチャーのHuluに資本参加し、そのテレビ番組をHuluで配信していくことを発表した。ABCがHuluに投資する額は発表されていないが、NBC、Foxと同じ、30%のシェアを持ち、Providence Equityが残りの10%を持つことになる。

ABCはインターネットを使ってそのTV番組を配信する事には一番乗りをしたが、配信はABC.comのみで、独自のプレーヤーを使っていた事で、そのポピュラリティーは限られた物であった。HuluはNBC、Foxだけでなく、他のコンテンツ事業者のビデオも配信し、また、AOL、MySpace、Facebook、MSN等のサイトに対してもビデオ配信する等で、成功をしている。

Nielsenの調査では3月には967万本のビデオがストリームされた。その内、548万本はYouTubeが配信した物のであり、トップシェアであった。Huluは2位に入っている。YouTubeに比べると、2位のHuluの配信ストリーム数はかなり低い。しかし、YouTubeが配信しているのは3分程度のビデオが主体であり、HuluはTV番組、あるいは映画を配信している事を考えると、このストリーム数での比較は必ずしも平等ではない。

2009年3月のトップ10ビデオ配信サイト

サイト

合計ストリーム数(000)

ユニークビジター数(000)

YouTube

5,479,609

89,407

Hulu

348,520

8,865

Yahoo!

231,795

24,761

Fox Interactive Media

207,538

14,719

Nickelodeon

196,160

6,391

ABC.com

176.931

6,881

MSN/Windows Live

168,907

12,076

Turner Networks

137,621

5,822

MTV

123,888

6,337

CNN

103,453

9,021

Source: Nielsen Online, VideoCensus

ABCのHuluへの参加はYouTubeに取り、悪いニュースである。YouTubeはストリーム数では圧倒的なシェアを持っているが、ユーザ投稿のビデオは殆ど広告無しであり、収入は少ない。証券会社のCredit SuisseはYouTubeは昨年で4.7億ドルの損失があったと推定している。これに対して、ABC.comは広告スペースは全て売れていると発表している。今後、広告価値のあるTV番組、映画の配信をHulu等に奪われたのではYouTubeが収益を出すことはさらに困難になっていく。

YouTubeは最近、そのTV番組、映画の配信を増やすためにSony、Lionsgate、CBS、MGM、Liberty Media、Discovery等との契約を発表した。YouTubeはその「Shows」のカテゴリーからこれらコンテンツ事業者のTV番組、映画の配信を行う。多くのコンテンツは古い物だが、CBSの「Harpers Island」等、新番組の配信も含まれる。これらTV番組、映画には広告が挿入され、その収入はYouTubeとコンテンツ事業者が分ける事になっている。YouTubeはまた、Universal Music Groupと共同で、Vevoと呼ばれる音楽ビデオのウェブサイトを立ち上げる事も発表した。ビデオは無料で配信される、Vevoは広告で収入を得る予定。

YouTubeは最近、ABCとの交渉を行っており、その短編、それにニュースビデオの配信権を得ており、ABCとの協力を増やそうとていた。また、ABCのHuluの参加により、TV.comと言う、Huluに競合するサイトを立ち上げている。CBSの立場も難しくなる。

Nielsen Onlineの統計によると、インターネット上でのユニーク・ビデオ視聴者は2009年3月で、1.3億人であり、2月より1.9%増えた。合計ストリーム数は967万本で、2月の890万本より、8.7%の増加があった。

インターネットビデオ視聴

09年2月

09年3月

成長率

ユニークビジター数(000)

127,613

130,075

1.9%

合計ストリーム数(000)

8,897,943

9,672,341

8.7%

1人あたりのストリーム数

69.7

74.7

7.6%

1人あたりの視聴時間

169.3

190.7

12.6%

Nielsen Online, VideoCensus

マルチルームDVR

一台のDVRに録画した番組を別の部屋にあるTVで視聴することを可能にするマルチルームDVR(あるいはホールハウスDVR)は2005年頃に登場し始めた。2005年1月にはTime Warner CableがCisco(当時S-A)の製品を使った市場テストを発表し、BendBroadband(オレゴン州)、Sunflower Broadband(カンザス州)はその4月にDigeoのマルチルームDVRの採用を開始した。同年にDBS事業者のDISHもマルチルームDVRの提供を始めた。

当時のマルチルームは伝送にRFを使った物であったため、HDには対応出来なかった。多チャンネルサービスの事業者はHD化に熱心になり始め、HDに対応出来ないマルチルームDVRでは無く、HD対応のDVRの導入に力を入れ、マルチルームDVRはポピュラーにならなかった。唯一、DISHが1台のSTB(DVR)で2つの部屋のTVに番組を配信する方法としてアナログRFベースの製品を採用し続けた。

IPを伝送に使う、マルチルームDVRの登場で、やっとマルチルームDVRは普及を見せ始めた。先月号で書いたように、今年のNational Cable Telecommunications Association主催のCable ShowではMotorola、Cisco共に伝送にIPを使う、HD対応のマルチルームDVRを発表し、また、TWC、Cox、Brighthouse等の事業者がその採用を明らかにした。AT&T、Verizonは共にすでにマルチルームDVRを導入している。AT&T、Verizon共にマルチルームDVRは利用者の満足度が高く、チャーン防止の重要な機能になっていると語っている。Verizonによると、そのFiOS加入世帯の25%はHome Media DVRと呼ばれるマルチルームDVRを導入している。FiOS TVはHome Media DVRを月額$19.99で提供している。これは、通常のDVRのレンタルより、$4高い。

STBベンダーが製品を発表しているだけでなく、関連ベンダーもマルチルームDVRに関わる製品を相次いで発表している。Macrovision SolutionsはそのEPG製品のPassport Echo 3.5とI-Guide A28にマルチルームDVRをサポートする機能が盛り込まれる事を発表してる。共に、MotorolaのDCXが対象で、今年の第4四半期に出荷される予定。どちらのEPGも2つのHD番組を録画し、同時に3つのHDストリームをMoCAネットワーク上で配信することに対応している。

また、BroadcomはSTB、その他の製品用のMoCA対応ホームネットワークのレファレンスデザインを発表した。このレファレンスデザインはマルチルームDVR、他のメディア共用機能を提供する。

FCC: 次のアナログ停波の予算

FCCのコップス委員長代理は2009年10月1日に開始する2010年期の予算に、アナログ停波の為に100万ドルの予算を申請している。これにはアナログ停波後の跡地問題だけでなくでなく、低出力局(Low Power TV)のアナログ停波の準備も含まれている。米国には、2700局程度のコミュニティー系のLPTV局、それに3000程度の低出力中継局がある。これらLPTV局のアナログ停波の予定は決まっていない。フルパワー局のアナログ停波の後、これら局のデジタル移行をいかに進めていくかを検討する必要がある。コップス委員長代理は合計予算として、2009年期より600万多い、$335,794,000を求めている。