65%に落ちたCDのシェア

音楽の流通に於いて、CDのシェアが大きくと減り始めている。調査会社のNPD Groupによると、2007年ではCDの80%に対して、デジタル配信は20%であったのが、2008年にではCDが70%に減り、2009年第1四半期ではCDのシェアは65%に落ちている。NPDはCDのシェアは2010年中に50%を切るようになり、2011年にはデジタル流通が圧倒的なシェアになると予想をしている。

このデジタル流通が増えるトレンドはビデオ業界にも現れ始めている。ビデオの流通では、まだDVDが圧倒的である。VODの登場で、DVDレンタルが減ると思われていたが、上記の記事のようにNetflixは健在で、Redboxも売上げを伸ばしている。しかし、NetflixのDVDレンタル事業が成長していると同時に、Netflixのストリーミングによる映画のレンタルも増えており、ブロードバンドビデオに対応したテレビ、Blu-rayプレーヤが販売され始めている。さらに、Huluの利用も増え続けており、多チャンネルネットワークのTV番組を配信するTV Everywhereの構想も進んでいる。

CDによる音楽の配信が減ることは資源の節約になり、グリーンであるとのレポートをMicrosoftとIntelが発表している。このレポートでは小売り、陸上輸送のインターネット販売、空輸のインターネット販売、デジタル・ダウンロード、デジタル+CDR、デジタル+CDパッケージの6つの方法での総エネルギーの使用とCO2の排出を比べている。このレポートは下記からダウンロード可能。
http://download.intel.com/pressroom/pdf/CDsvsdownloadsrelease.pdf

CropperCapture[1]

Nielsenへの対抗

大手コンテンツ事業者のNBC Universal、Time Warner、Viacom、Disney、News、Discovery等は視聴者調査に関するコンソーシャムのCoalition for Innovative Media Measurement(CIMM)を設立した。CIMMにはコンテンツ事業者だけでなく、大手スポンサー企業のProcter & Gamble、AT&T、Unilever、代理店のGroup M、Starcom MediaVest Group等も参加している。
アメリカのTV業界における視聴者調査はNielsenが独占してきた。Nielsenに対しての不満はあるが、これまでは大きな問題にはなっていなかった。しかし、TV番組の流通が地上波放送だけでなく、多チャンネルネットワーク、インターネット、モバイルと広がる事で、Nielsenの統計に対する不満が大きくとなっている。

1つの不満はその調査手法である。Nielsenは紙を使った日記形式での視聴記録に頼ってきた。電子式の手法の導入も始まっているが、210のDMA市場の内、トップ23でしか使われていない。85%以上の世帯が多チャンネルサービスに加入し、デジタルSTBではリアルタイムで、視聴データが得られる中、1世代前のNielsenの紙ベースの統計の信頼性、そのタイムラグに対する不満が増えている。
もう1つの不満はDVR、オンライン、モバイル等の通常の放送以外でのTV番組の配信に対する統計である。NielsenはC3と呼ばれる統計を提供しているが、このデータはこれまでにTVだけの統計に比べて非常に高価である。デジタルデバイス向からの統計は自動的に収集出来るのになぜ、手間のかかる紙のデータより高くなるのか、不満が出ている。また、C3のデータが高価な事で、利用が少なく、広告料を決める標準になっていないとの不満も多い。

NBC Universalは北京オリンピックの時に独自で、TAMI(Total Audience Measurement Index)と呼ばれる、放送時のTV視聴だけでなく、DVR、オンライン、モバイル等での視聴をまとめた統計を作り、その後、自社の主要番組に対して、毎週TAMI値を発表している。TAMIはNielsen、Omniture、Rentrak等の会社から集めた統計を使っている。

CIMMの目的は必ずしもNielsenの競合を作る為ではない。Nielsenの競合を作る事は容易では無い。TiVoが最近、そのSTBを使った視聴者統計を売ってい他、TNS Media ResearchがDirecTV等と視聴者統計と作っている等の例があるが、どれも小規模であり、Nielsenをすぐにリプレース出来る物ではない。短期的なCIMMの目的は、Nielsenにプレッシャーを与える事である。コンテンツ事業者も、スポンサーも新しい媒体によるTV番組の提供がどの様に視聴され、どの様な広告価値をもたらせているのかを知りたがっているが、Nielsenは変化の速度に追いついていない。しかし、中立であるべきのNielsenにCIMMがプレシャーを与え、その調査方法を変えさせる事も問題である。

別なニュースで、Nielsenは2009/2010年のテレビシーズンにおける全米視聴世帯を1.149億とする事をは発表した。昨年期からの増加は400,000世帯で、これまででは最も低い、増加になっている。トップ10のDMA市場順位には変動は無いが、10位から20位ではシアトルが14位から13位に上がり、デンバーが18位から16位に上がった。反対にマイアミとクリーブランドが順位を落とした。2009/2010年シーズンの総TV市場とDMAは下記からダウンロード可能。
http://blog.nielsen.com/nielsenwire/wp-content/uploads/2009/08/2009-2010-dma-ranks.pdf

CableCARD規制免除

Evolution Broadband社は6月にFCCからCableCARDを採用していない、DTA(Digital Terminal Adapter)とも呼ばれている低コストSTBのDMS-1002とDMS-1002 CAの販売許可を得た。2007年7月1日以来、ケーブルTV向けのSTBはコンディショナルアクセス・システム(CAS)を内蔵する事は出来なく、CableCARDにより別途提供する事が規制付けられている。これはSTBをケーブルTVサービスからアンバンドリングさせる事が目的であるが、STBの価格を上昇させている。ケーブルTV事業者はアナログケーブルサービスを廃止していく為に、低コストなSTBを求めている。FCCは限定機能のSTBに限って、CableCARD規制を免除出来ると決めており、Evolution社のSTBはこの条件に沿った製品だとして、3年間を期限とした免除を得た。EvolutionはそのDTAを$45程度で販売している。

この後、Motorola、Cisco、Thomson、Paceの4社もそれぞれの単方向のベーシックなSTBに対するCAS内蔵禁止規制免除の許可をFCCに申請した。FCCには8月末に、これら4社のDTAに対してもCAS内蔵での販売を許可した。

Evolution社は7月に新たにHD版のDTAのCableCARD規制免除を申請している。申請によると、そのDMS-1004 HD-CAは、DMS-1002と同様な単方向STBであり、現在、HD機能は一般化しており、ハイエンドの機能では無いとしている。同社はDMS-1004 HD-CAは$100以下で販売されると語っている。

DMS-1004 HD-CA はConax社のCASをSIMカードで採用しており、DVB SimulCryptにより、既存のMotorola、あるいはCiscoのCASと共存する事を可能にしている。Evolution社はその申請書の中で、MotorolaとCisco以外のCASを共存させ、STBのコストを下げる方法として、 DVB SimulCryptの採用を薦めている。Evolution社はConaxを採用したCableCARDも開発しており、最近CableLabsからConaxを搭載したCableCARDの認定を得ている。

また、Evolution社は自治体保有のケーブルTVシステムのFrankfort Plat Board(FPB)がそのDTAを注文したと発表した。ケンタッキー州フランクフォートにあるFPBは17,000の加入世帯を持ち、10月からデジタル移行を予定している。FPBはConaxのCASを採用したDTAを使う。

TiVoがAT&TとVerizonを訴える

TiVoはAT&TとVerizonがその多チャンネルサービスのDVRに於いて、TiVoが持つ「タイムワープ」のパテントを侵害しているとして東テキサス連邦裁判所に訴えを起こした。TiVoはこの裁判所に対して、Dish NetworkとそのDVRを製造しているEchoStarを訴え、勝訴している。TiVoはComcast、Cox、RCN、DirecTVとはライセンス契約を結んでおり、Time Warner Cableとは引き続き協議している。

また、TiVoはパテント局に対して、EchoStarが求めているTiVoのパテント再審査を否定する事を申請したが、パテント局はこれを拒否した。パテント局はTiVoのパテントの再審査を行っており、予備結論ではTiVoのパテントを無効と判断している。

そのTiVoの2009年第2四半期の売上げは前年同期から12%落ち、5740万ドルで、294万ドルの赤字であった。TiVoのサービスを直接に利用しているユーザ数は169万から158万に落ちた。DirecTV、Comcast等の多チャンネル事業者経由の利用者を含めて総ユーザ数は305万で、362万から減っている。

広がるTV Everywhere

多チャンネルネットワークを多く持つ、Time Warnerがコンセプトを提案し、ComcastがOnDemand Onlineとして、テストを行っている「TV Everywhere」にDiscovery Network等を持つ、Discovery Communicationsも参加する事を発表した。Comcastは7月から5000世帯を対象にOnDemand Onlineのテストを開始している。Comcastはその全加入者を対象にしたサービスを2009年第4四半期に開始する予定。大手のコンテンツ事業者でTV Everywhereへの参加をしていないのはViacom、NBC Universal、Fox、それにDisney/ABC。また、その他の多チャンネル事業者もこの構想に関心を示しており、AdAge紙はDirecTVがComcastと話し合いを持っていると報じている。

Comcastに続く第2位のケーブルTV事業者のTime Warner Cable(TWC)も独自の「TV Everywhere」のテストを行うことを発表した。TWCもComcastと同様の5,000世帯規模のテストを行う。TWCは2008年1月にそのウィスコンシンのシステムで、小規模なテストを行っている。
また、VerizonもFiOS TV Onlineと言う名前で「TV Everywhere」のテストを開始した事をを発表した。VerizonのテストにはTime Warner系のネットワークのTNT、TBS、HBO等が参加している。テストは500世帯規模で始まり、数ヶ月後に規模を拡大する予定。

また、HBOは同社が進めているTV Everywhereスタイルのオンラインビデオサービスのプラットフォームとして、AdobeのFlashとRTMPE(Real –Time Messaging Protocol)を採用する事を発表した。HBOは同社が提供する多チャンネルネットワーク上の有料チャンネルへの加入者に対して、追加料金無しでインターネット経由でその番組へのアクセスを可能にするHBO Goと呼ばれるサービスを開発している。HBO GoはComcastがテストするOn Demand Onlineに参加をする。HBO Goの番組はMPEG-4でエンコードされ、最初は全てSD画質で提供される。

HBOは2008年1月からTime Warner Cableのウィスコンシンシステムで、このコンセプトのテストを行ったが、その時点ではWindows Mediaを使っていた。しかし、MicrosoftのソルーションではWindows以外のプラットフォームとの互換性が無いことから、今年の3月からHBOと、同じTime Warner系のTurner SystemとWarner Brothers Entertainmentの3社はAdobeとのアライアンスを発表した。