MEA: デジタル化は進むが…..

MEA(Middle East and Africa)におけるデジタルTV化は進んでいる。Digital TV Research社によると、デジタルTVの普及率は2016年には81%に達する。しかし、有料放送への加入は少なく、有料放送の視聴の多くは非合法な物である。世帯の40%は無料の衛星サービスを利用しており、その多くは有料サービスを盗んで見ている。Digital TV ResearchによるとTV視聴世帯の15%は非合法に有料放送を見ており、その割合は2016年には22%に増えると予測している。

英国: SeeSaw閉鎖

英国版Huluとも呼ばれていたSeeSawが閉鎖になる。Arqivaが持つSeeSawは約16ヶ月前にスタートし、Channel 4、ITV等の番組を配信していた。SeeSawは、その誕生から問題を抱えてきた。イギリスではBBCのiPlayerがTV番組のストリーミングのプラットフォームとして成功をしたが、BBCは公共放送であり、iPlayerで民間チャネルの番組を配信する事は問題がある。その為、BBC、ITV、Channel 4が共同するProject Kangarooがスタートした。しかし、Project Kangarooの位置付けに関して、メンバー間で争いが起きた。一部は、Huluと同様にProject Kangarooが独占配信権を持つべきだと主張し、一部は、自社サイトと平行に配信するべきだと主張した。この騒動の間に、BBCのトップ技術エクゼキュティブで、Project Kangarooのトップであったアシュリー・ハイフィールドをMicrosoftにヘッドハントされてしまう。さらに、Sky TVがProject Kangarooはアンチトラストに触れる物だとして、訴える。この結果、Project Kangarooは解体され、その技術をArqivaが購入し、SeeSawになった。しかし、SeeSawはその主要なコンテンツ提供者である、Channel 4、ITVとは独占契約が無く、Channel 4、ITVとは競合関係になっていた。Channel 4、ITVはSeeSawへの配信より、自社での配信に力を入れ、SeeSawは普及する事無く消えていく事になった。

国際: 多チャンネル市場

  • ブラジル: 大きな成長をしているブラジルの多チャンネルサービスの2011年第1四半期の加入者は2010年第4四半期から2,499,449世帯増え、10,418,829世帯に増えた。最大の事業者はケーブルとMMDSを提供しているNET Servicesで、4,327,528世帯を持っていた。
  2010年1Q 2011年1Q
NET Serviços (MMDSとケーブルTV) 3,767,655

4,327,528

SKY Brasil (MMDSと衛星) 2,039,756

2,857,639

Embratel (衛星)

444,417

1,375,557

Telefônica (MMDSと衛星)

469,068

508,657

Oi TV (衛星とケーブルTV)

312,254

347,922

Abril (ケーブルTVとMMDS)

165,049

162,211

その他

721,181

839,315

合計

7,919,380

10,418,829

Agência Nacional de Telecomunicações

  • スロバキア: Slovak TelecomのMagio TVサービスへの加入者は第1四半期で、136,000世帯に達した。Magio TVはDSL、光、それに衛星を使って提供されている。同社のブロードバンド利用世帯は449,000であった。
  • イギリス: BT Viisonの加入世帯数は2010年第1四半期で3万世帯増えただけで、加入者数は575,000世帯となっている。
  • 中国: ResearchInChinaの報告書によると、中国のデジタルケーブルTV加入者は2010年で1億世帯になった。中国のデジタルケーブルTVの加入世帯は2003年の19万世帯から、2010年には1億世帯へと増えた。
  • インド: Telecom Regulatory Authority of India(TRAI)によると、同国の衛星放送への加入者は2010年末で3205万世帯であった。無料のDoordarshanに加え、インドにはTata Sky、Dish TV India、SUN Direct TV、Bharti Telemedia、Reliance Big TV、Bharat Business Channelの6つ事業者がある。
  • シベリア: Rostelecomのシベリア子会社が提供するIPTVサービス、Twistへの加入者数は55,000世帯に達し、前年同期から100%の成長をした。Twistはシベリア全土で提供され、最大78チャンネル(内、10はHD)が提供されている。
  • オランダ: オランダのデジタル地上波プラットフォームのDigitenneにオランダならではのチャンネルが登場した。オランダの主要通信事業者のKPNが運営するDigitenneは視聴者参加可能なポルノチャンネルの放送を始めた。Meiden Van Hollandのアダルトチャンネルは、ライブで放送されており、視聴者はスタジオを訪れ、ポルノ男優、あるいは女優と競演する事が出来る。このチャンネルは、基本パッケージに含まれるが、視聴をするには登録をする必要がある。
  • オランダ: Telecompapaerによると、オランダにおけるデジタルTV世帯は3.8%増え、556万世帯に達した。これは、TV世帯の約70%にあたる。556万デジタルTV世帯中、56.8%はケーブルTVに加入している。
  • スイス: IPTVサービスのSwisscom TVへの加入者は50万世帯に達した。同サービスは2006年にBluwinとしてスタートした。
  • 南米: DirecTV Latin Americaの加入者数が1000万世帯に達した。DirecTV Latin Americaは、DirecTV PanAmerica(アルゼンチン、チリ、コロンビア、カリブ、エクアドル、ペルー、ベネズエラ、プエルトリコ、ウルグアイ)、DirecTV Brazil、それにSky Mexicoで構成されている。

2011年NAB展示会

地上波放送局(ラジオとTV)を代表するNational Broadcaster Association(NAB)の展示会がラスベガスで4月に開催された。NABの発表によると、参加者は92,708人で、2010年の88,044人から5%の増加があった。1月にやはりラスベガスで開催された家電ショーのCESは140,000人の参加者で、前年から17%の増加があった。

NABを構成する会員は、地上波放送局であり、その展示会も当然、地上波放送向けの製品とサービスが主体である。放送市場が地上波放送主体から、多チャンネルサービス、そしてオーバー・ザ・トップ(インターネット)ビデオに進んでいる事で、NABの地位は不安定になっている。放送機器展とは言っても、ケーブルTV事業者向けの機器、サービスは、NABではなく、NCTA(National Cable Telecommunications Association)のCable Showが対象になる。また、オーバー・ザ・トップ・ビデオが大きな話題であるが、放送局への脅威となっているNetflix等がNABに展示するのは不自然である。NAB展示会は映像機器の展示会であるが、地上波放送への競合となる物は、展示しにくいため、展示会としてのNABの立場が曖昧になっているとも言える。

iPadへのTV配信

先月号で記事にした様に、Time Warner CableはそのケーブルTVサービスで放送しているチャンネルの一部を放送と同時にiPad向けへの配信を始めている。これに対してViacom等が停止命令を出し、大きな争いになり始めている。TWCはViacomの停止命令を不服に、連邦裁判所に対してiPadへの配信はその契約範囲であることの確認判決を求めた。これを受け、ViacomはTWCがその配信契約を破り、著作権を侵したとして、訴訟を起こした。