WBDがTVネットワークを別組織化

ComcastがケーブルTV向けネットワークを別会社としてスピンオフすることを発表したのに続き、Warner Brothers Discovery(WBD)も放送ネットワーク事業を別組織にする。TBS、TNT、Discovery等のネットワークは新しい組織に移り、映画とテレビ番組のスタジオとストリーミングサービスのMax、Discovery+と切り離す。目的は「戦略的な柔軟性」と発表されているが、要するに売却しやすくするためである。

WBDのネットワーク部門の四半期収入は$50億程度で、会社全体の50%を占め、税金前の収益では90%近くを占めている。今回の組織再編成では、ネットワーク事業は新しい組織になるが、コンテンツ制作のスタジオは移行しないので、コンテンツライセンシングの収入は新組織には含まれない。しかし、この組織を売却した場合、WBDは大きな収入を失う。

多チャンネルサービス加入者が減る中、多チャンネル向けネットワークをいかにするかがTVネットワーク会社の悩みとなっている。加入者は減っているとは言え、多チャンネルサービス加入者は7000万世帯近くあり、多チャンネル向けネットワークは収益を出している。しかし、いずれは赤字になり、その時点では売却が困難となり、会社の足手まといになる。

Comcastも、WBDも2026年前後がそのタイミングと考えているようだ。収益がある内に、出来る限り高い値段で売りたいこともあるが、M&Aが出来る環境があることも必要だ。買い手はプライベート・エクイティー・ファンドでり、1社の多チャンネル向けネットワーク資産を買うだけでなく、他のコンテンツ会社のネットワークも買収し、規模を増し、大きなコスト削減をすることが必要になる。民主党政権では例えば、NBCUniversalとWBDの多チャンネルネットワーク資産を一緒に買うことは困難であるが、共和党は大規模なM&Aを問題視しない傾向があり、2025年に機会が訪れる。


Warner Brothers Discovery

高騰している多チャンネルサービスの価格

vMVPDのYouTube TVが$10上がり、月額$82.99になる。既存のケーブルTV、あるいは衛星チャンネルと同様な料金になっているように見えるが、そうではない。既存のMVPDサービスの料金の値上がりしており、WBR Insightsによると、2022年で$147になっている。2019年の$96から3年間で52%の値上げである。2025年では当然、これよりも高い価格になっている。しかし、サービスの内容が良くなっている訳では無い。コードカッティングが進む中、TVネットワークは多チャンネル向けネットワークの数を減らし、再送信契約料を高くしている。2019年では平均192チャンネルあったのが、2022年には190チャンネルに減っている。チャンネルあたりの値段は2019年は$0,50であったのが、2022年で$0.77になっている。多チャンネル事業者は減っているチャンネルを向けFASTチャンネルでリプレースしているので、実際の多チャンネル向けネットワークの値上げはもっと大きいことになる。

スポーツのストリーミングへの移行

多チャンネルサービスが生きているのはスポーツのお陰である。ドラマ、バラエティはストリーミングでのオンデマンド視聴になっている。ニュースはまだ放送での視聴が多いが、FASTでローカルニュースが見ることが出来るようになっている。ストリーミングでスポーツを見ることが可能になっているが、NFL等のメージャーなリーグの試合を見るのには多チャンネルサービスへの加入が不可欠である。しかし、この状況を持続させることは不可能である。

11月のストリーミング視聴は過去最大

11月の前半はFoxのワールドシリーズ、それに大統領選挙ニュースで地上波とケーブルTVの視聴が増えたが、後半はストリーミングの視聴が巻き返した。11月第三週目のストリーミングのシェアは42.6%になり、11月全体では41.6%で、過去最大となった。マイク・タイソンとジェーク・ポールのボクシング試合によりNetflixの視聴が増えたが、ストリーミングのトップはYouTubeでテレビ視聴の10.8%のシェアがあった。しかし、コンテンツ・ディストリビューターとしてでは、放送とストリーミングの両方を持つDisneyが11.1%でトップで、YouTubeは2位であった。YouTubeのCTVでの視聴は増えており、Googleによると2024年の居間でのYouTubeの視聴は10億時間を超えた。


Nielsen

Prime Video視聴者は高所得

MX8 Labsの調査によると、63%の人がAmazon Prime Videoを使っていると答えており、72%のNetflixに続いて多くの利用者がある。Prime Video視聴者にはいくつかの特徴がある。その1つは年齢が高めで、65歳以上の人におけるPrime Video利用は66%だが、18~24歳では59%でしかない。もう1つは学歴が高いことで、マスター学位を持つ人の74%がPrime Videoを利用している。年齢が高めで、学歴も高いと言うことは所得も高く、年収が$7.5万~$9.9万の人の70%、$10万から$15万の人の68%がPrime Video利用者である。

M8 Labs