MSOの共同研究開発機関のCableLabsはデジタル地上波放送が受信可能なSTBの仕様の募集を開始した。CableLabsはシリコンチューナを使い,ソフトウェアベースでデジタル地上波とケーブルTVの番組をシームレスにインテグレートする機能を求めている。ケーブルTVは地上波再送信を行っており,STBで地上波を受信する機能は無意味に思える。しかし,ケーブルTVは地上波局の主チャンネルしか再送信していなく,マルチキャストを行っている局の副チャンネルを受信するには有効な機能である。また,ケーブルTV事業者に対して再送信料の支払いを求める局が増えており,この機能によりいざの場合は再送信を拒否する事も可能になる。
NTLの新ブランド名はVirgin Media
英国のケーブルTV事業者のNTLは昨年7月にVirgin Mobile社を買収し,そのケーブルTV,オンライン,固定電話のサービスに携帯電話を加えた。NTLはそのブランド名をVirgin Mediaに買え,そのクアドループル・サービスをVirgin Mobileの店舗で販売していくことを発表した。Virgin Mediaは2つのサービスのバンドルを月額20ポンド,3つで30ポンド,4つ全部で40ポンドで提供する。ビデオ分野での競合のBSkyBはSee, Speak, Surfと言うビデオ,固定電話,ブロードバンドアクセスのトリプルプレーを月額26ポンドで提供しているが,BSkyBはブロードバンドアクセスにBTの回線を使っており,加入者はBTの回線料も払う必要がある。
TVとPCの融合
これまでTVとPCとの融合と言うと殆どはPC向けにブロードバンドでビデオを提供するサービスであったが,1月に多くのTVとPCの融合を本格的に可能にする製品の発表があった。
まずは,MicrosoftのWindows Vistaである。Vista搭載のPCはCableCARDをサポートする事が可能であり,デジタルケーブル対応のPCを提供する事が出来る。Dellは早速,CESでCableCARD対応のデジタルケーブルTVチューナを内蔵したDell Home Media Suiteを発表した。このXPS 410デスクトップPCがベースのシステムは1テラバイトのハードディスクを持ち,デジタルケーブルTVサービスが提供するHDを含むプログラムを録画出来き,さらにMedia Center Extenderを持つ,Xbox 360等に番組をストリーミングする事が出来る。
これに対して,Appleは昨年発表したAppleTVの出荷が2月から始まることを公開した。AppleTVは50 GBのハードディスクを持ち,iTunesからダウンロードしたビデオなどをデジタルTVで見る事が出来る。AppleTVには最大,5台のコンピュータを接続出来,それらに保存されたビデオをAppleTVに接続したテレビで見る事が出来る。
ブロードバンドから得たビデオをTVで見る事が出来るようにする製品としてはSling MediaのSlingCatcherもある。SlingCatcherをTVに接続する事で,別の場所にあるSlingboxをつないだDVRに録画されたビデオを見ることが出来る様になる。これまでSlingboxが送るビデオを見るにはPC,PDA等が必要で,TVでは見ることが出来なかったが,SlingCatcherはこれを可能にする。さらにSlingCatcherはホームネットワークに接続されたPCを使い,インターネットでストリーミングされているビデオをTVで見る事も可能にする。
TVとPCの融合を狙っているのはPCベンダーだけではない。DirecTVはDirecTV Plus HD DVRをViiv対応にするアップグレードを発表した。DirecTV DVRをホームネットワークにつなぎ,PCに保存されている音楽,ビデオをTVからもアクセスする事が可能になる。現在のバージョンは音楽のみのサポートだが,Viiv対応PCからビデオをDirecTV DVRにストリーミングする事を可能にするバージョンも後日提供される。
これら製品により,ケーブルTV等の多チャンネルサービスをPCで受けたり,ブロードバンドビデオをテレビで見たりする事が可能になり,TVとPCの融合はさらに前進する。しかし,まだ大きな課題が残っている。それはDRMへの対応である。VistaはデジタルケーブルTVのCASで保護されたビデオを解読し,PC上で扱えるフォーマットに再エンコードし,記録する。コピーは不可能であり,Media Center Extenderで他のPC,あるいはTVにストリーミング出来るが,Zune等の別フォーマットのデバイスに送ることは出来ない。DirecTVのViiv対応のDVRにしても,DVRのビデオをPCに送る事は出来ない。
これはユーザに取って大きな不満になる。ケーブルTVの番組をCableCARD内蔵のVista PCで録画しても,それをノートPCに移し,外出先で見る事は出来ない。ZuneとかiPodに移すことも無理である。どうしても見たければ,iTune等で買わなければならない。しかし,iTunesで買ったビデオはAppleTV,iPodで見ることは出来ても,Zuneで見ることが出来ない。ハードウェア的にTVとPCの融合が現実化しても,これではせっかくの技術を満足に使うことが出来ない。コンテンツ事業者はその資産を保護し,各流通チャンネルを守っていきたい事は分かるが,同じコンテンツをDVDで買い,PC向けにダウンロードで買い,iPod向けにiTunesで買い,携帯電話ではまた別に購入しなければならないのではTV,PC,そしてモバイルのメディアの融合は進まないであろう。
高まるOCAPのサポート
Time Warner Cableはそのニューヨーク市のシステムでOCAP対応のSamsung製のHDTVとSTBのサポートを正式に開始した。TWCはCableLabsからOCAP対応の認定を受けているSamsung社のHL-S5686C DLP HDTVとSMT-H3050 HD STBをサポートし,TWCが開発したIPG(Interactive Program Guide)を提供している。TWCはミルワーキー等のその他のシステムでもOCAPのサポートを開始していく。
Cox CommunicationsもSamsung製のOCAP対応のDLP HDTVとSTBを使ったテストをフロリダのゲインズビルで開始している事を発表した。テストはScientific Atlanta製のヘッドエンドのシステムで行われており,Scientificのマルチストリーム対応のCableCARDを使っている。このテストではComcastとGemstar-TV Guideのジョイントベンチャー,GuideWorks LLCが開発している,OCAP対応のIPGが使われている。
同様に,ComcastはPanasonicのOCAP対応のHDTVを使ってテストを行う事を発表している。テストは2007年いっぱい行われ,導入は2008年から始まる。ComcastはPanasonicから最低250,000台のOCAP対応のHD DVRを次世代STBの一環として導入する契約を過去に結んでいる。
さらに,新たなOCAP対応の製品としてLGが42インチのプラズマTVを発表した。LGのこの製品はユーザインタフェースにOCAPベースのZodiac(http://www.zodiac.tv/)のPowerUPフレームワークを採用している。
ComcastのCableCARD免除申請は却下
FCCのメディア局はComcastが提出したCableCARDの導入免除の申請を却下した。ComcastはローエンドのフルデジタルSTBであるMotorola DCT700,Scientific Atlanta Explorer 940,Pace Micro DC501pに対して2007年7月から導入されるCAS切り離し規制を免除するようにFCCに求めていた。2007年よりケーブルTV事業者が提供するSTBにCASを内蔵する事は禁止になり,CASをPCカードに入れたCableCARDの導入が義務化される。ComcastはローエンドのSTBに対してもCableCARDを義務化する事は値上げの原因になるとして免除を求めていた。
FCCはComcastの申請を却下したが,BendBroadbandからの同様な申請は条件付きで許可した。BendBroadbandはフルデジタルシステムへの移行の間,CableCARDベースのSTBの導入の延期を求めていた。これに対して,FCCはBendBroadbandがデジタル化の移行を2008年までに完全に完了することを条件にCableCARDベースのSTBの導入延期を認めた。
また,FCCはCablevisionの免除も許可した。CablevisionはCASにNDS Group製のスマートカードを採用しており,CableCARDに代わり,このソルーションを使い続ける事を求めていた。スマートカードのCASのコンディショナルアクセスのロジックの殆どはSTB内にあり,正式にはCASの切り離しにはなっていないが,FCCはCableCARD,あるいは開発中のDCAS(ダウンロード可能なソフトウェアベースのCAS)の採用を2009年7月1日まで延期する事を許可した。
