HDをめぐるMSOとDBS事業者の喧嘩

HDチャンネルに関してはケーブルTVとDBSのどちらが良いかで,ケーブルTV事業者とDBS事業者が喧嘩を始めている。ことの始めはDirecTVが,同社の方がケーブルTVより多く,画質の高いHDチャンネルを提供しているとのTV広告をした事であった。Time Warner Cableは,この広告は真実ではないとして訴訟を起こした。訴訟はこれからであるが,法廷はDirecTVに対して,裁判の結果が出るまで,その広告の放送を辞めさせた。DirecTVはすぐに,映画「バック・ツー・ザ・フューチャー」のChristopher Lloydを使い,「近い将来」にはDirecTVの方がより多くのHDチャンネルを提供するとの広告を始めた。TWCはこの広告も放送中止するように求めたが,「近い将来」と言っているので偽りにはならないとして,要求は認められなかった。

今度は,Comcastがこの争いに参加した。Comcastは新聞,ラジオ等の広告で,309人の視聴者調査の結果,65.5%がComcastのHDの画質がDirecTV,EchoStar(Dish Network)のHDより優れていると答えたと宣伝をし始めた。この広告ではDirecTVが自社の方がHDチャンネルが多いと言っているのは嘘で,4月24日の午後9:17時にフィラデルフィアではDirecTVは16チャンネルのHDを放送したのに対して,Comcastは200のHD番組の選択肢があったとしている。200にHD番組はには180のVODが含まれている。

DirecTVはこの広告に反論をするであろうし,Comcastの広告ではEchoStarの名前も出ており,EchoStarも無視をする事は出来なくなり,この喧嘩は大きくなりそうである。

デジタルTVの再放送義務

2007年2月に迫っている地上波放送のデジタル移行に向け,FCCのマーチン会長は移行後の多チャンネル事業者に対する再送信義務規制(Must Carry)の提案を行っている。先月は,マルチキャスト放送と呼ばれる,主チャンネルに加え,副チャンネルを放送する場合,これら副チャンネルも再送信義務の対象にする事を提案し,今回はアナログ放送も続けるケーブルTV事業者に対して,地上波放送をアナログとデジタルの両方で再送信する事を義務化する提案を行った。

この案では2007年2月以降,アナログ放送を完全に止める事業者はデジタルのみでの再送信義務となるが,現在,殆どのケーブルTVがそうであるように,アナログとデジタルの両方で放送している事業者は地上波放送をデジタルで再送信し,さらにアナログ変換して放送する事が義務付けられる。もし,デジタル放送での義務化であった場合,デジタルSTBを使っていない世帯は地上波局を受信出来なくなる。

しかし,地上波局をアナログとデジタルの両方で再送信するには多くの容量が必要となる。ネットワークのアップグレードに投資をしてきた大手事業者はともかく,資本力の無い中小事業者にはこれは困難になる。ケーブルTV事業者を代表するNCTA,それに中小ケーブルTV事業者の団体American Cable Association共に,この案には反対をしている。FCCもこれまでは,デジタルとアナログでの両方の再送信義務には消極的であったが,デジタル移行は2年以下に迫っており,移行後も全てのTV世帯が地上波放送を視聴出来る事を確実にする規制が必要になっている。

OCAPの導入を約束するケーブルTV事業者

CableLabsの発表では主要ケーブルTV事業者のエクゼキュティブは韓国と日本に行き,OCAPのライセンスを受けている松下,Samsung,LGとそれぞれ会い,20008年には本格的にOCAPを導入する事を約束した。STBの標準化規格,OpenCableの一部であるOCAP(OpenCable Application Platform)はSTBを使った双方向サービスの為のミドルウェアである。ケーブルTV事業者はOCAPを導入する事で,双方向アプリケーションの標準化が行えるので積極的になっている。しかし,OpenCableが可能にするSTB,あるいはSTBを内蔵したTV等のAV製品を開発する家電・PCベンダーの多くはOCAPは将来的に自分たちが提供したいサービスの領域を侵すものだとして,消極的であり,OCAPのサポートを発表している会社はSamsung,LG,松下,船井,三菱等に限られており,ソニー,日立,Dell,Intel,Microsoft等のベンダーはCEAを通じて,FCCに対してOCAPを標準規格から外し,より簡単な双方向プラットフォームの採用をする事を求めている。

Comcastが小売り店舗を開く

ケーブルTV事業者のComcastと家電店チェーンのCircuit Cityは共同で,Connectと呼ばれるデジタル家電の店舗を開き始めており,2006年12月にマサチューセッツのメッドフォードで最初の店舗を開いたのに続き,5月に同じ州のバーリントンで2つ目の店を作った。ConnectではフラットパネルTV,PC,デジタルカメラ等の製品と共に,Comcastの提供するビデオ,ブロードバンド,電話のサービスを販売している。

IPTV: FiOS TVとU-Verseのニュース

Verizonはマサチューセッツ州のカントンにおいて,6000世帯を対象にFiOS TVのサービスを開始した。これで,FiOS TVサービスが開始されている地域はマサチューセッツで41となるり,同州でのFiOS TVの通過世帯数は27万世帯となった。Verizonは後,25のマサチューセッツ州の自治体とフランチャイズ交渉を行っていると発表している。ボストン周辺のMSOはComcastである。Verizonはまた,そのFiOS TVの加入世帯数が3月末で348,000世帯に達したと発表した。

AT&TはそのU-Verse TVサービスをロサンジェルス地域のアナハイム,バーバンク,オレンジ群,サンタアナ等の一部で開始した。ロスではTime WarnerがケーブルTVサービスを提供している他,Verizonも南カリフォルニアの一部でFiOS TVのサービスを始めている。また,AT&TはU-VerseサービスのDVRを携帯電話からコントロールする事を可能にした。