Netflix株暴落の背景

Netflixの株価は1月20日では$508であったが、翌日の21日には$398に落ち、26日には$360まで落ちた。11月16日の$692の半分近い暴落である。原因は21日の2020年Q4の経理報告である。Q4のNetflixの世界的な加入者数の増加は828万人であった。これは予想の850万人を下回ったが、僅かである。アメリカとカナダで成長は鈍っているが、それでも120万人増え、前年同期の90万人を上回っている。売上は$71.7億で、予想の$77.1億より若干低いが前年同期から16%の増加がある。

減ってくる視聴調査の公開

テレビの視聴者数、あるいは映画の観客動員数等の調査の精度に対する不満の声はあったが、業界には欠かせない情報であった。広告等の事業取引の基本であるだけでなく、視聴者にも話題を提供してきた。しかし、ストリーミングへの移行で、視聴調査結果の公開が少なくなっている。Netflixは最近になり、視聴データの発表を始めたが、視聴時間でのトップ10だけで、視聴者数の発表は行っていない。

確かに、オンデマンドでは視聴者数のデータの価値は低い。短期で多くの視聴者を得るコンテンツもいいが、地味でも寿命が長いコンテンツも価値がある。さらに、SVODで重要なことは、ヒットするコンテンツではなく、脱退(チャーン)を減らすコンテンツである。視聴者数は多くなくても、コアなファンがあり、そのジャンルのファンを引きつけておくことが出来るコンテンツは大きな話題作と同じに大切である。

NBCUが視聴データにiSpot.tvを採用

Nielsenが行ってきた視聴調査に対しては最も批判的であったNBCUniversalは新たな視聴調査を提供する可能性のある会社100社以上にRFP(提案依頼書)を送り、50社以上からの提案を得ている。Nielsenは視聴調査に間違いがあったとして、視聴調査の監査を行っているMedia Rating Councilの認証を失い、新たに家庭外での視聴を統計に加え忘れた事も発表しており、トラブル続きである。しかし、テレビネットワークがもっと問題視しているのは未だに統計がクロスデバイスになっていない点である。Nielsenはコンピュータ、モバイル端末、コネクテッドTV等での視聴も測定しているが、テレビ世帯だけが調査対象である。2017年にテレビを持っていてもが放送波、あるいは多チャンネルサービスでは利用していなく、視聴媒体がブロードバンドだけの世帯も調査に加えたが、まだ、テレビを持っていない約4%の世帯は計算されていない。

広告の不満は量より中身

Hub Entertainment Researchの「2021 TV Advertising: Fact VS Fiction – Wave 2」(https://bit.ly/3KRPg2a)によるとストリーミング・サービス利用者が広告が多いと感じているサービスの1位はDiscovery+で、50%が広告が多いと思うと答えている。2位はHBO Max(42%)、3位はvMVPD(37%)であり、利用者はDiscovery+とHBO Maxが多チャンネルサービスよりも広告が多いと感じている。