Netflix: オリジナル番組制作のリスク

踏み誤りの連続で、加入者を怒らせているNetflixは、TV番組「Arrested Development」を再制作する契約を発表し、TVファンを喜ばせている。Arrested DevelopmentはFoxで2003年から2006年に放送された、高い評価を得たコメディーであった。Netflixはこのシリーズを新たに制作する権利をTwentieth Century FoxとImagine Televisionと交わした。評判を落としているNetflixに取り、これは良い話題であり、また、新しい加入者をもたらす切っ掛けにもなるかも知れない。

Netflixは今年の初めにHouse of Cardの権利を得ており、これは2つ目のオリジナルシリーズになる。NetflixはHouse of Cardの 2年分の番組契約をしており、2012年からの「放送」になる。しかし、同社がオリジナル番組制作に乗り出すことは大きなリスクでもある。NetflixとそのパートナーはHouse of Cardに1億ドルを使うと推測されている。オリジナル番組を制作する話題性は高いが、投資回収が出来るかは大きな疑問である。番組を作りなれているTVネットワークでも失敗は多くある。Netflixがより高い成功率を出せるとは考えられない。TVネットワークの場合、失敗作は同列系の別のネットワークで再放送し、さらにNetflix等で配信する等、再利用のオプションがあるが、Netflixは再利用をどうするのであろうか。

House of Cardの場合、すでに監督も決まっている番組だが、Arrested Developmentの場合はこれから全てを交渉していくことになる。大金を払ってもファンが納得する監督、キャストが集まるとは限らない。番組の配信がNetflixに限られている状況では、契約に合意しない監督、俳優も多く出ると予想されている。映画会社と労使は、数年前まで、インターネットで再利用する時の報酬でもめていた。俳優、監督を代表する組合は、まだインターネットでの再利用時の報酬条件は不適切だと考えている。Netflixの契約は、インターネットでの再利用ではなく、最初からインターネットで放送する内容になる。これは、困難な交渉になる可能性がある。

Prospect Park社はABCが放送していたが、キャンセルになった昼メロのAll My ChildrenとOne Life to Liveの制作を続け、それをインターネットで有料配信する計画を持っていたが、最近、これを中止した事を発表している。この計画の最大の問題は、俳優組合との交渉であった。同社によると2つの番組を1年間作るコストは8000万ドルになる。Prospect Parkはインターネット向けに制作する事で、TV向けに制作していた時より安いコストで俳優等との交渉が出来ると考えていた様だが、そうではない。

NetflixもArrested Developmentで同様な問題に直面する可能性がある。Netflixの方が、Prospect Parkより遙かにブランド名は高い。しかし、Netflixの番組に出演していたと、ABCの番組に出演したと言うのでは大きな違いがあり、金を出しても良いキャストと契約出来ないかも知れない。House of Cardは新シリーズであり、それほどの期待は無い。しかし、ファンが多いArrested Developmentのリバイバルには大きな期待があるだけに、期待に値しなかった場合のリスクは高い。