EchoStarの計画

EchoStarは中小事業者向けの付加価値サービスを加えた番組配信サービスのAria、さらにはCablevisionと同様なRS-DVRを開発する計画を発表してきたが、先月に開催されたCable-Tecでその計画の全体を明らかにした。その計画を紹介する前に、中小のケーブルTV事業者の問題を説明する。アメリカの中小ケーブルTV事業者の問題は、日本の地域ケーブルTV事業者とほぼ同様である。それは営業地域内でのネットワークを高度化する事が出来ても、それを活用するコンテンツとサービスが無いことだ。チャンネルを増やすには、ネットワークとの契約が必要で、さらにそれを受信する設備が必要になる。VODを提供するのも同様で、コンテンツ事業者との契約、そしてVODのサーバーの導入が必要になる。

EchoStarはこれら問題を解決するトータルソルーションを提供しようとしている。衛星を持つEchoStarは、以前から中小事業者に番組の衛星での配信を行ってきた。ネットワークとの契約は共同組合のNCTC(National Cable Television Cooperative)を使うことになるが、配信は個別にネットワークから受信する必要は無く、EchoStarがまとめて配信をしている。これにより複数のアンテナ、あるいは異なる配信方式に対応する必要は無くなる。

EchoStarのAriaサービスはこれにDVR、VOD等を加えた物になる。VODを提供するには良いコンテンツが不可欠である。EchoStarの親会社のDishはDVDレンタルで、ストリーミングVODも提供しているBlockbusterを買収しており、VODはBlockbusterのブランドで提供される。AriaはDVRの機能も提供する。TiVoには及ばないがEchoStarのDVRは評判が良い。DVRのパテントに関してEchoStarはTiVoと長年争ってきたが、そのおかげで現在のシステムはTiVoのパテントを侵していない保証がある。

DVRの導入は複雑ではないが、HDD内蔵のSTBは高価である。事業者はSTBを購入し、それを加入者にレンタル提供をしているので、DVRの提供には先行投資が必要になる。資源の少ない、中小事業者にはこれが問題になる。EchoStarはその解決方法として、Cablevisionが導入したと同様なRS-DVRも提供する。RS-DVRはクラウド上のサーバーに録画を行うので、STBにHDDを内蔵する事が不要になる。
EchoStarはさらに事業者にマルチスクリーンのサービスを提供する事を可能にする。EchoStarの買収した会社にはSlingがあり、EchoStarはこの技術を使い、スマートフォン、タブレット等に対して、STBで受けている番組、あるいはDVRされた番組を配信する事を提供する。これだけでなく、EchoStarのソルーションにはTV Everywhereのサービスも加わる。

これらサービスを提供する為に、中小ケーブルTV事業者が高価な器材を導入する必要があったのでは、無意味である。EchoStarの考えは、これらソルーションをクラウドで提供する事で、そのワイオミング州シャイアン市のデータセンターからCDNを使い、VOD、RS-DVR、TV Everywhereを全米の事業者に提供する。この大きな課題は、いかにストリームが中断する事無く、ビデオを送るかである。ヘッドエンドに置いたサーバーから近くの家庭へVODを提供するのとワイオミングのセンターからテキサスの世帯へVODを提供するのでは問題が大きくと違う。EchoStarは今年の初めにアダプティブ・ビットレート技術のパイオニアのMove Networkを買収しており、この技術が鍵になると語っている。アダプティブ・ビットレートを使う事で、STBだけでなく、スマートフォン、タブレット等にも映像配信を行えるネットワークを提供する。

基本的なAriaのサービスは導入間近であり、現在同社はそのSTBと各社のCableCARDとの互換性のテストを行っている。年内に会社名はまだ発表されていないケーブルTV事業者がテスト導入を開始する予定である。EchoStarはいつそのCDNを使ったサービスが提供になるかは発表していない。