来年春に開始予定のAT&TのHBO Max、それにComcastのPeacockは12日にスタートしたDisney+と同様にコンテンツ事業者によるD2C(Direct to Consumer)のサービスであるが、大きな違いがある。D2Cは多チャンネルサービス事業者をバイパスするものだが、AT&T、Comcast共に多チャンネルサービス事業者でもあり、Disneyとは異なるチャレンジがある。D2Cを成功させたいが、多チャンネルサービスとの共食いは困る。多チャンネルサービスとのシナジーを作り、相乗効果を狙う必要がある。
HBO Maxは月額$15と、既存のHBO Nowと同じ価格に設定されている。HBO MaxにはHBOのコンテンツに加え、他のWarnerMedia系コンテンツ、それにSesame Street、スタジオジブリ、Criterion Collection等のコンテンツも加わり、HBO Nowをリプレースサービスになる。多チャンネル上の有料チャンネルのHBOは事業者により価格が若干異なるが、平均的には$15で、TV EverywhereのHBO Goも利用可能である。AT&Tは自社の多チャンネルサービス加入者で、HBOにも加入している世帯には無料でHBO Maxを提供するので、スタートと同時にHBO Maxの加入世帯は1000万を超える事が出来る。
問題は他の多チャンネルサービス経由でのHBO加入者をどうするかである。HBO MaxはHBOには加えずに、HBOとは別に売り込むことは困難である。AT&Tが積極的に有料チャンネルのHBOからHBO Maxへの乗り換えのプロモーションをした場合、多チャンネルサービス事業者が反乱し、HBOを含めたWarnerMediaのチャンネルの放送を拒否するリスクがある。多チャンネルサービス事業者経由でHBO Maxを割引で販売すれば、事業者の増収にもなるが、数多く存在する多チャンネル事業者とHBO Max販売の契約をして行くことは容易では無い。
TV EverywhereのHBO GoにHBO Maxのコンテンツを加えるのでは、無料で追加のコンテンツを提供している事となり、赤字になる。HBO Goに新たに加わるMaxからのコンテンツには広告を挿入し、収入を得る方法も検討されているが、広告無しで加入しているHBOに広告が加わることは加入者を怒らせることになる。
ComcastもPeacockをそのケーブルTVサービスのXfinityと欧州のSkyの加入者には広告付きで無料にする予定です。しかし、他の多チャンネルサービス事業者とはいかなる契約にするかは発表していない。HBO Maxと同様に新たなサービスであり、事業者とは新たな契約が必要になる。大きな手間であり、また他の事業者の再販を重視したのでは、D2Cではなくなってしまう。自社サービス加入者向けの無料版、他の多チャンネルサービス加入者経由での有料版、それに多チャンネルサービスに加入していない人向と、3つのサービスにするのでは無く、すべて無料にする事もComcast検討している様だ。問題はそれで収入が得られるかである。
