見たいコンテンツをいかに探すか

コンテンツのレコメンデーション・アプリを開発しているLikewiseによると、ストリーミング・ビデオを利用している世帯では平均で3つのサービスを使っている。Apple TV+、Disney+等の新しいSVODサービス、それにRoku Channel、Pluto TV等のAVODサービスの登場により、利用するサービスの数が増えることは間違い無い。

3つのサービスを使えば、見られるコンテンツの選択肢は1万程度になる。オリジナルコンテンツ、それに独占配信が増えたことで、重複しているコンテンツは減っている。利用するサービスが6つに増えれば、見たいコンテンツは絶対にあるはずだ。しかし、Likewiseの調査では3つのサービスを利用していても70%は見たいコンテンツを発見するのに苦労している。

49%は見たいビデオを見つけるのに時間がかかり過ぎていると答えている。この率は利用しているサービスが増えるほど高くなる。1つのOTTビデオ・サービスを利用している人達では39%が時間がかかり過ぎていと答えたのに対して、2から4つのサービス利用者ではその率は49%であり、さらに5以上のサービス利用者では68%となっている。

それぞれのサービスにはそれなりの検索エンジンとリコメンデーションがあり、妥協する程度のコンテンツを見る事は出来る。しかし、サービスの数が増え、それなりのお金も使っており、妥協はしたくなくなる。複数のサービスを利用しているとコンテンツの発見に時間がかかるのは、アプリを切り替える必要がある。サービスが増えるほど切り替え回数が増え、時間が増えることになる。

この解決方法として、Amazon Channels、Apple TV、Roku、ComcastのX1等のプラットフォームがある。複数のサービスからの推薦が見え、横断検索が出来るが、パーフェクトではない。使っているサービスのすべてがこれらプラットフォームの検索対象とは限らない。また、見る事が可能なサービスからの推薦はあるが、その中でどれがベストであるかの推薦は無い。1つのプラットフォームで複数のサービスのレコメンデーションが見え、アプリの切り替えは無くなるが、複数のサービスの間をさまようことは同じである。

サービスに対して公平である以上、プラットフォームでは決定的なレコメンデーションをするのは困難である。その対応として、モバイル・アプリのLikewise(Likewise.com)、Minnow(Minnowtv.com)、Reelgood(Reelgood.com)等が登場している。しかし、これらアプリのレコメンデーションが良くても、収入になるかが問題である。独自のレコメンデーションを提供するのであれば、公平性を考えると広告収入モデルは難しい。しかし、サブスクリプション・モデルも困難である。68%が見たい番組にたどり着くのに時間がかかり過ぎていると思っても、その解決にはお金を出さないであろう。

この問題は新しいことではない。多チャンネルサービスのチャンネル数が50を超えた頃から始まっている。チャンネルが増えれば、料金も増える。だが、見たい番組があれば、値上げへの不満は少が、多チャンネルサービスはこれを解決出来なかった。チャンネル数が増え、料金も増えたが、番組を素早く見つける方法は提供されなかった。結果、視聴者は見たいコンテンツは増えず、料金だけが増えていると感じ、それが現在のコードカッティングの始まりになった。

多チャンネルサービスでのコンテンツ発見を有料化するサービスとしてはTiVoがある。TiVoのレコメンデーションは優れているが、それを使うにはTiVoのハードウェアを買い、さらに毎月$15を払う必要があり、大きな成功にはならなかった。同じ問題がOTTビデオでも始まっている。数多くのサービスの中から、素早く見たいコンテンツを発見する解決方法が無いと、OTTビデオも多チャンネルサービスと同じ問題に行き当たることになる。