ESPN(Entertainment and Sports Programming Networkの略)は1979年にスタートしたスポーツ専門のケーブルTV向けネットワークで、1984年にABCが買収した。ESPNはケーブルTVサービスの普及に大きな貢献をし、その再送信契約料は1加入者あたり、月$10以上で、最も高価なネットワークである。ESPNはケーブルTVのベーシック・プランのネットワークであり、スポーツを見ていない人も再送信契約料の対象であり、Disneyの大きな収入源である。しかし、ESPNを含めたスポーツは多チャンネルサービスの値上の原因でもある。
ESPNを見るのには多チャンネルサービスへの加入が必要である。ESPNがDirect-to-Consumer化した場合、多チャンネルサービスから脱退する人が増えることは確実であり、これまではストリーミングでの提供は出来なかった。ストリーミング向けのサービスとしてESPN+があるが、これはESPNでは放送されていないスポーツの配信であり、NFL等のメージャーな試合は無い。しかし、コードカッティングにより、ESPN視聴者は減っている。若い視聴者を得るためにはストリーミング化は不可欠になっている。
ESPNは今年の秋にDisney、WBD、FoxとのJVのVenu Sportsで試合の配信を開始する。そして、来年の秋までに独自のストリーミングサービスとしてもローンチされる。ストリーミングで提供されるESPNにはESPN+の試合も含まれるが、ESPN+は独立したサービスとして継続される。Disneyはストリーミングサービスとして、Hulu、Hulu with Live TV、Disney+、ESPN+、ESPNのDTC版の5つを提供する事になり、ESPN+がDisney+とHuluとバンドルされているように、ESPNもバンドルに加わる。
ESPNは多チャンネル向けネットワークとしても残るので、ESPNは多チャンネルとvMVPD上のチャンネル、単独のDTCサービス、Disneyのバンドル、それにVenu Sportsで視聴することが可能になる。Disneyはどのような方法でもESPNを視聴出来るようにすることが大きな戦略であると発表している。
ケーブルTV事業者はCharterのようにESPNを含むケーブルTVのパッケージ加入者にはDTC版のESPNを追加料金無しで提供出来るようにすることで、ケーブルTVからの脱退を防ぐことが出来る。また、ブロードバンド加入者に対してESPNのDTC版の再販をし、収入を得ることも可能である。ESPNのDTC化で損をするのは衛星放送とvMVPDである。衛星多チャンネル事業者はブロードバンドを持っていないので、ケーブルTVのようにESPNを単独サービスとして販売することは出来ない。vMVPD加入者の多くはスポーツを見るために加入しており、ESPN、あるいはVenu Sportsに加入することでvMVPDは不要になる。vMVPD事業者のFubo TVはVenu Sportsをカルテルだとして解散を求める訴訟を起こしており、DirecTVとDish NetworkもFubo TVを支持している。
