スポーツ権利の争奪戦

ストリーミングサービスによるスポーツ権利の奪い合いが加熱している。Netflixは2024年のクリスマスに行われるNFLの2試合の権利を得、Rokuは前期はNBCUniversalが持っていたMLBの日曜の朝の最初の試合の権利を得た。また、Warner Bros. Discovery、NBCUniversal、それにAmazonはNBAの権利で争っている。スポーツがストリーミングサービスに欠かせないコンテンツになっているのには2つの理由がある。

スポーツにはチャーンを減らす効果がある。SVODサービスの数が増えることで、加入と脱退を繰り返すサービス・ホッピングが増えている。しかし、スポーツを見ている人は、他に特に見たいコンテンツが無くても、試合を見るために、最低でもシーズン中は脱退をしない。Warner Bros. Discovery(WBD)のMaxはスポーツを配信する有料のオプションを加えようとしている。しかし、WBDのTurner Sportsの重要な権利はバスケットボールのNBAであるが、2025-26年のシーズンから新しい契約になり、WBDが権利を失う可能性が高くなっている。

現在の契約ではDisney(ESPN)とWBDが放送権を分けている。新しい契約では放送権利は3つになり、11年間の契約総額は現在の$240億から$720に値上げされる。Disneyはすでに$280億で新しい契約に合意している。2つ目の権利はWBDが得て、3つ目はAmazonに行くはずであったが、WBDはNBAの提示額に合意をしなく、NBCUniversalがこれを$250億のオファーでハイジャックしようとしている。Amazonは3つめの枠に$190億で同意しており、WDBのNBCU、あるいはAmazonより高いオファーをしないと放送権を失う。

AmazonのNFL Thursday Night Footballの成功からNBAもAmazonをパートナーに加えることを望んでおり、第3枠はAmazonが得ることはほぼ確実で、残りの1枠をWBDとNBCUが争うことになる。NBCUのPeacockはNFL、Indy、プレミアムリーグ、オリンピック等、多くのスポーツに力を入れている。WBDよりも大きな予算があり、WBDがNBAの権利を失う可能性もある。これはMaxのスポーツオプションに支障をきたすだけでなく、DisneyとFoxとのスポーツ配信のジョイントベンチャーのVenu Sportsにも影響を与える。

ストリーミングサービスがスポーツ権利を求めるもう1つの理由は広告である。ストリーミングでの広告はオーディエンスをターゲットすることが出来るが、一時に多くの視聴者にリーチするのは不得意である。スポーツを加えることで、ターゲットとリーチの2つのオプションを提供することが可能になる。NetflixのNFLの権利はクリスマスの試合だけであり、チャーン低減の効果は無い。しかし、多くの視聴者を得ることが出来る。2023年のクリスマスには3試合があり、平均視聴者は2920万人であった。Netflixの広告無しのプランでも試合には広告が挿入されるであろうので、大きな広告収入が期待出来る。

Roku ChannelはFASTであり、チャーンは特に関係無い。しかし、収入源は100%広告であり、MLBの日曜朝の試合の権利、それにMLB専門のチャンネルを加えることで、広告主に対して、より魅力的な提案をすることが可能になる。