FCCは、2014年に予定されているテレビ放送帯域の返還、競売、再編成に備えて、フル出力局、それに低出力クラスA局からの伝送設備変更の申請受付を4月5日に凍結した。理由は、データベースを安定させ、再編成の方法を決定するためだ。しかし、NABはこの決定は業界の発展を無視した物で、一方的な設備更新の凍結は業界を混乱させるとして、撤回を求めている。
NABの心配を裏付けるように、放送局向けのアンテナ会社のDielectric社はFCCの発表の2週間後にその事業の閉鎖を発表した。Dielectricは70年の歴史を持つアメリカでは最も古参のアンテナメーカーで、2001年にSPX社の傘下に入っている。アンテナメーカーはデジタル移行で一時的に大きな売上があったが、ビジネスサイクルが急変した。アンテナの取替えは10年から20年のサイクルであり、デジタル移行から10年から20年間は売上が大きくと落ちる。頼るのは、設備更新であるが、これの凍結で、その市場機会もも無くなった。
2014年のテレビ帯域の競売の規模は不明であるが、FCCは1800局近くあるフル出力局の内、200局程度が帯域の返還を申し出ると推測している。その後、FCCは放送帯域の再編成を行い、20チャンネル程度(31から51チャンネル)を空け、競売する。再編成をする為には最低でも700局程度が利用している帯域を動かさなければならない。FCCは、再編成の計画が十分であれば、干渉等の問題、混乱は避けられ、そのためにも今回の凍結は必要だとしている。しかし、Dielectric社閉鎖は帯域の引越時にトラブルを起こす可能性がある。アメリカのフル出力テレビ局のアンテナの63%はDielectric製である。全米の3分の2以上の放送局が利用帯域を変える必要がり、その過半数の局が使っているアンテナとその周辺機器のベンダーは破綻している状態は、予想外の混乱を招く事になるかもしれない。
