NetflixのTVネットワークへの挑戦

TVネットワーク、特に有料チャンネルのHBO、Showtime、StarzはNetflixのストリーミングサービス、Watch Instantlyからの影響を最も深刻に考えていた。これらネットワークは、通常の多チャンネルサービスへのオプションとして、月十数ドルで提供されており、映画を主体に番組構成を行っていた。VOD、それにNetflix等のストリーミングサービスにより、家庭で映画を視聴するオプションが増えた事で、これらネットワークは最近ではオリジナルTV番組に力を入れている。

これら有料チャンネルの料金は月十数ドルであるのに対して、Netflixは$10である。Netflixは、オンデマンドであり、見たい時に見ることが出来、さらに最新映画をDVDで送ってもらえる事も出来る。有料チャンネルの魅力は、オリジナル番組だが、それも放送後にNetflixで配信されている。有料チャンネルは、オリジナル番組の再利用をしたいが、有料で放送されている番組であり、Huluの様な広告モデルのプラットフォームでの配信は不適当であり、Netflixが使われてきた。敵に加勢をしている様な物だが、Netflixがコンテンツの再利用のプラットフォームである限り、微妙なビジネス上のバランスが保たれていた。

しかし、Netflixはこのバランスを崩し始めている。同社はオリジナルTV番組シリーズの「House of Cards」の26エピソード分の権利を購入した。House of CardsはBBCのミニシリーズを元に、独立系スタジオのMedia Rights Capital社がTV化した物で、HBO等も競売に参加していた。Netflixが支払った価格は発表されていないが、1億ドルに近いと言われている。Netflixは、2012年後半からこの番組をWatch Instantlyで配信し始める。

これは、有料ネットワークに大きなショックを与えた。Netflixは敵ではあったが、そのポジションは若干異なっていた。しかし、コネクテッドTV、それにRoku、Apple TV等のデバイスで、TVからもNetflixを見ることが出来るようになっており、さらにオリジナルTV番組の配信が加わることで、HBO等との差は殆ど無くなってくる。

この発表の直後にCBS系の有料チャンネルのShowtimeはNetflixとの契約を切り、そのオリジナル番組の「Dexter」、「Californiacation」等のNetflixへの提供を今年の夏で止める事を発表した。Showtimeはその代わり、Comcast等の多チャンネル事業者のVODでこれら番組の再利用をして行く。また、StarzもNetflixへの番組の提供を90日間後に遅らせることを発表した。StarzはオリジナルTV番組だけでなく、同社がストリーミング配信の権利を得ている映画をNetflixに提供してきた。

NetflixはこれまでのDVDのレンタルから、ストリーミングサービスの会社に転向をしようとしており、それには他では提供されていないオリジナルコンテンツを持つことが重要になる。Netflixは、ストリーミングの利用が増えているだけでなく、Watch Instantlyを提供するコストが大きくと下がっている事を発表している。同社の発表によると、2009年の時点では2時間の映画を標準(SD)画質で配信するコストは5セントであったのが、現在では2.5セントに下がっている。NetflixはLimelight、Level3、Akamai等のCDN(Contents Delivery Network)を使って、そのストリーミングサービスを行っている。