7月15日にComcast/NBCUniversalのPeacockが正式にスタートした。これまでは、プリビューとして、ComcastのX1とFlexの利用者だけに提供されていた。Peacockの基本は広告付きの$5のサービスで、X1とFlexの利用者にはこれが無料で提供される。その他に広告無し($10)とコンテンツ数が約半分の無料版もある。無料版があることからアプリのダウンロード数は順調で、Sensor Towerによると、iOSとAndroid向けアプリは1週間で150万のダウンロードがり、7月末の時点で1000万人の登録があった。モバイル端末以外、ウェブ、それにX1、Flex、Android TV、Chromecast、Apple TV、Xbox、PlayStation 、それにVizioとLGのスマートTVでサービスが利用可能だが、AT&TのHBO Maxと同様にコネクテッドTVデバイスとしては利用者数が1位と2位のRokuとFire TVはサポートされていない。
Peacockが他のTVネットワークのOTTサービスと違う点は、放送離れの加速を恐れていない事である。Disney+にはABCのコンテンツは無く、HBO MaxはHBOの拡張である。CBS All Accessは地上波の同時配信をしているが、収入の一部を加盟局に還元している。これに対して、PeacockはNBCの番組を主体にしており、放送とは異なる構成であるが、NBCの番組を使ったリニアチャンネルも提供している。
NBCUniversalはUpfrontの追加として、2013年まで7シーズン続いたヒット番組の「30 Rock」のキャストを集めた特別番組を作った。番組はUpfrontの一環として、スポンサーに公開された後に、NBCでも一般向けに放送された。Upfront向けのコンテンツを一般に公開することは珍しいことだが、NBC加盟局の殆どはこれをボイコットした。加盟局は30 Rockの特別番組は秋の番組宣伝以上に、放送との競合になるPeacockの宣伝と見なし、放送をしなかった。
加盟局が30 Rockの特別番組を放送しなくても、NBCUniversalはこれをBravo等の自社の多チャンネル向けネットワークでも放送し、さらにNBC.com、それにPeacockでオンデマンド配信をしたので、ダメージは無い。逆にボイコットのおかげで、番組が話題になり、視聴者が増えたかも知れない。しかし、加盟局のボイコットはオーバーリアクションではない。NBCUniversalは深夜トークショーの「Tonight」と「Late Show」を放送前のプライムタイムにPeacockで配信することを予定していた。これをすれば、当然に放送での視聴率は減ることになるが、Peacockを加えた合計視聴者数は増え、NBCUniversalは儲かる。しかし、放送での視聴者が減れば、加盟局の収入は減る。加盟局の猛反対でNBCUniversalは案を撤回したが、これにより加盟局はNBCUniversalを疑い始めている。
