強気のRokuとFire TV

PeacockもHBO Maxと同様にRokuとAmazonとの契約をする事が出来なく、ストリーミング・プレーヤの1位と2位のサポート無しでスタートをする事になった。以前はRokuはもっとも契約がしやすいストリーミング・プレーヤで、利用出来るサービスが多かったことでポピュラーになった。しかし、アメリカで最大のストリーミング・プレーヤとなり、設置されたデバイスからの収入(プラットフォーム収入)が売上の主体になることで契約条件は厳しくなっている。Rokuの大きなプラットフォーム収入は広告である。Rokuは広告配信のサービスを持ち、広告があるサービスからは広告インベントリーの30%程度を求めている。

これは、殆どのサービスには大きな問題ではない。Rokuの広告プラットフォームを使い、広告販売はRokuに任せる方が、自分でするより効率的である。しかし、Peacockは違う。NBCUniversalは自分の広告プラットフォームを持ち、それを使う。また、戦略的に広告は少なくしており、Rokuに30%を渡すと、十分な枠が無くなり、Rokuに渡すのは広告売上の15%程度にしたい。

Rokuの広告収入には自社のAVODサービスのRoku Channelからの収入もある。Roku Channelには他のAVODには無いコンテンツがあることで評判が良い。例えば、Rokuには他のOTTサービスにはライセンスしないはずのHBOの番組がある。Rokuはそのプラットフォームを使っているOTTサービス事業者から宣伝目的としてコンテンツを要求している。これがHBO Maxとの契約の問題になっている。AT&T/WarnerMediaはHBOのコンテンツをHBO Maxの主役にしており、RokuにHBOコンテンツをシェアすることは出来ない。

AmazonはSVODサービスをアプリとして提供するのではなく、Amazon Channelsで提供したい。通常のアプリでの契約は売上の15%程度だが、Amazon Channelsはそれ以上であり、さらにAmazon が配信するので、視聴データも得ることが出来る。これもRokuの広告プラットフォームを使うのと同様に中小規模の事業者には問題はなく、逆にAmazonに販売してもらうことで加入者を増やす事が出来る。HBOもAmazon Channelsを使っており、その加入者の30%程度はAmazon経由である。だが、AT&T、それにComcastもAmazonの配信プラットフォームは使いたく無く、視聴データもAmazonとは共有したくない。

NBCUniversalはこれは短距離ではなく、マラソンであり、長期的な戦略に基づいていの決定だと語っている。Peacockの視聴者が増えれば、RokuもAmazonもNBCUniversalの条件を受け入れることになるが、RokuとFire TV無しでは加入者が増えない可能性もある。RokuとAmazonが強気になっている中、Apple TVとAndroid TVと契約する事業者が増えている。iOSとAndroidはサポートする必要性があり、その契約にApple TVとAndroid TVを加えることは問題にならない。さらに、Apple、Google共にストリーミング・プレーヤのシェアを伸ばしたく、契約には柔軟になっている。しかし、Apple、Googleもシェアが増えれば、要求は厳しくなり、OTTビデオ事業者とストリーミング・プレーヤ事業者の争いがなくなる事は無いであろう。