Sprintとの合併が破談になったモバイル通信会社のT-MobileはLayer3 TVの買収で多チャンネルサービスに加入する事を発表した。デンバーを本拠地にする、Layer3は2013年に設立された会社である。自社ではラストマイルの回線は持たず、既存のブロードバンド事業者の回線をリースした多チャンネルサービスを提供しており、これまでにEvolution Media、CAA等から8000万ドルの投資を得ている。
Layer3はブロードバンド上で多チャンネルサービスを提供しているが、Sling TVのOTTベースのサービスとは全く異なる。回線はブロードバンド事業者からリースしており、契約のある地域でしかサービスは提供出来なく、OTTではない。サービスが提供されている地域は現時点ではシカゴ、ワシントンDC、ロサンゼルス、それにダラス・フォートワースだけである。また、Sling TV等の様にストリーミング・プレーヤを端末に使うのではなく、専用のSTBを使っている。リースした回線を使っているので帯域保証があり、OTT多チャンネルサービスの様に画質がインターネットに左右される事は無い。OTT多チャンネルサービスの様に値段を安くし、新規加入者を狙っているので無い。Layer3 TVの料金は既存の多チャンネルサービス並で、より高度なサービスにより既存加入者を奪い取る戦略である。
Layer3には1つ大きな問題がある。それはサービスを提供する為には既存のブロードバンドサービス事業者と契約する必要性がある事だ。ブロードバンド事業者の多くはケーブルTV事業者、あるいは電話会社でり、その殆どはすでに多チャンネルサービスを提供している。当然、同じ地域に競合が入る事は好まず、Layer3と契約する事業者は少ない。
T-MobileがLayer3 TVを買収しても、この問題の解決にはならない。買収の理由はLayer3 TVの既存のビジネスモデルを続けるためではなく、その技術を使い、新たなサービスを提供する為である。T-Mobileはモバイル通信事業者であり、固定ブロードバンドサービスは無い。しかし、5Gではビデオサービス提供するのに十分に提供する速度がある。AT&T、Verizon共に2018年には固定5Gのブロードバンドサービスを始める。AT&Tは5Gを使いDirecTV Nowを提供するテストをオースチンで行っており、2018年には商業化の予定である。Verizonも5G上で多チャンネルサービスを提供すると思われ、T-Mobileもこの市場を狙っている。T-Mobileの多チャンネルサービス参入で、大手通信事業者で多チャンネルサービスが無いのはSprintだけになる。
