スポーツのOTT配信

多チャネルサービスとスポーツは協力する事でお互いに成功をして来た。HBOを有名にし、ケーブルTVへの加入者を増やすきっかけの1つは1975年のマニラでのアリとフレージャーのボクシング試合中継である。それ以来、スポーツは多チャネルサービスの重要なコンテンツになっている。

メージャースポーツの地元での放送権は地上波ネットワークが持っているが、地域外の試合の放送権、格闘競技、大学試合、それにサッカーを含めた新たなプロスポーツは多チャネルサービスで放送されている。多チャネルサービスのスポーツネットワークと契約するだけでなく、リーグは自らチャンネル(ネットワーク)を持ち始めている。プロだけでなく、大学リーグも多チャネルサービス上で独自のチャンネルをを持つようになっている。

テレビネットワークと契約する事でスポーツリーグはファンベースを拡大し、大きな放送収入も得てきた。テレビネットワークもスポーツ中継はリアルタイム視聴が主体であり、良い広告収入が入ることでスポーツリーグと多額の契約をしてきた。多チャネルサービス・ネットワークで最も視聴者毎の契約料金が高いのはDisneyのスポーツネットワークのESPNで、月間加入者毎に$9を得ている。

しかし、このビジネスモデルは破綻し始めている。ネットワークがスポーツリーグと多額の契約をする事で、多チャネルサービス事業者との契約料が増え、視聴者への料金が高くなっている。多チャネルサービスの料金の30%以上はスポーツネットワークへの支払いになっている。月額が$100であれば、$30以上はスポーツ番組のためであり、スポーツを見ない人は無駄に$30を払っている事になる。しかし、スポーツ専門チャンネルを基本パッケージから外し、オプションにする事は出来ない。

ESPNは加入者全体をベースにしているから$9であり、オプションとなり、加入率が30%となれば、料金は$30近くなる。スポーツファンであれば、毎月$30を払うかも知れないが、それでは新しいファンは生まれない。新しいファンを得るには基本パッケージで幅広く放送する必要性がる。その為、多チャネルサービス事業者との契約は基本ネットワークで提供する事が条件になっている。

新たなファン開拓が、収入以上に大きな問題である。多チャネルサービスの加入率はまだ85%あるが、減少している。先の記事に書いたように特に、18歳~34歳における多チャネルサービスの加入率が下がっている。スポーツリーグに取り、一番重要な年齢層が多チャネルサービスを見なくなっている訳である。このままでは、多チャネルサービスで放送する事で得られる新しいファンの数は減って行くことになる。

スポーツリーグはこれまでのように多チャネルサービスに頼るだけでなく、OTT戦略も進めていかなければならなくなっている。スポーツリーグはすでにOTTで試合の有料配信を始めている。Parks Associatesによると、アメリカのブロードバンド世帯の16%はスポーツのSVODサービスを利用している。しかし、有料配信は多チャネルサービスの有料チャンネルと同じで新規ファンの開拓にはなりにくく、無料でのOTTも必要である。先月号で書いたように、Yahooは来シーズンからアイスホッケーのNHLの試合を週に最高6試合無料で配信する。さらに、YahooはMLBの180試合の配信も無料で行うことを発表した。MLBは1日1試合をYahooを使って配信する。NFLは昨シーズンに1試合をYahooで無料配信したが、今年はTwitterと契約し、試合数も10試合に増やした。

NFLとTwitterの契約料金は10試合で$1000万と言われている。NFLの試合の契約料としては安い。これは、試合のテレビでの放送権はCBSあるいはNBCのいずれかが持ち、広告枠も持っているのでTwitterが売ることが出来る広告枠はかなり限られた物になるからであり、また、ファン開拓の為にNFLはTwitterのソーシャル性に大きな期待をしているからでもある。

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Parks Associates