なぜRSNは破綻するのか

地域スポーツネットワーク(RSN)のBally Sportsを持つ、Sinclair Broadcasting子会社のDiamond Sportsが会社更生法適用の申請を行った。SinclairはDisneyのFox資産買収時に、FoxのRSNを$96億で購入し、Diamond Sportsにはまだ$80億の負債がある。その利子、それに球団への支払いが滞り、Diamond Sportsは会社更生法により、負債を消し、事業を継続しようとしている。AT&Tも同社のRSNのAT&T SportsNetを閉鎖しようとしており、契約をしている球団との契約破棄が不可能な場合は、破産させると発表している。

RSNはローカル局、あるいは多チャンネルの全米ネットワークでの放送されない、地域のMLB、NBA、NHLチームの試合を放送する多チャンネル向けネットワークで、ベーシック・チャンネルとして提供されている。RSNの多くはMLBのチームが自軍の試合を地域のファンに見てもらうために設立したサービスとして始まった。MLBがアメリカ最大のプロ・スポーツであった時代、地元チームの試合を放送するRSNはケーブルTV加入者を増やすための重要なネットワークであった。ベーシック・チャンネルであるので、MLBを見ない視聴者もRSNの料金を払うが、球団との契約金は安く、MLBファンが過半数を超えていた時点では問題ではなかった。

しかし、RSNが球団と離れ、放送契約料は徐々に値上がりする。さらに、NBA、NHLのチームの試合も加わることで、RSNの契約料はさらに高くなり、一加入者あたり、月に$10以上の契約料になる。ケーブルTVと衛星事業者がチャンネル数を争う戦いを始めるたことで、多チャンネルサービスの料金は$100を超え、その結果、コードカッティングが始まる。多チャンネルサービス料を減らすにはRSNのような高価なチャンネルをカットするのが簡単であり、Dish NetworkがまっさきにRSNを切る。その後、他の事業者も追従し、現在、Bally Sportsを放送しているのはDirecTVとFubo TVだけである。

RSNはベーシック・チャンネルであるので、多チャンネルサービス加入者の全員が契約料を負担することになり、MLB、NBA、NHLを見ない人から不満が出る。オプションナルなチャンネルにすれば良いのだが、MLBチームの全162試合を見たいようなハードコアなファンは僅かになっている。スポーツ試合の得点はリアルタイムで分かり、数分後にはハイライトビデオも見ることが出来る。RSNをオプションのチャンネルにする場合、料金は低くても月$25になり、カジュアルなスポーツファンが払う金額ではない。

RSNのビジネスモデルは多チャンネルサービス加入者が増え続けて来た時の物であり、現在では陳腐化している。放送に根付いたモデルであり、ストリーミングに移行するにも問題がある。Sinclairは放送局会社であり、放送が無くなることを考えられず、FoxのRSNを多額な値段で買い、大失敗した。Diamond Sportsの会社更生が行われ、負債が無くなっても、長期的に維持できるビジネスモデルではない。RSNは数年後には消滅し、ストリーミング時代に対応したスポーツ配信のサービスが始まるであろう。