SprintとMSOのジョイントベンチャー

2005年11月にSprintとMSO4社(Comcast,Time Warner Cable,Cox,Advance/Newhouse)はSprintが10億ドル,MSO4社合計で10億ドルを投資したジョイントベンチャーを設立した。SprintはTime Warner Cable等の電話サービスのバックボーンを提供しており,また,Comcast,Time Warner Cable等はSprintの携帯電話サービスをMVNOとして提供する契約をしていた。このJVは単なる携帯電話サービスの再販ではなく,両者のサービスを統合したサービスを開発するのが目的である。JV設立時点では,2006年中期にはサービスが開始すると発表していたが,その後2006年後半に修正された。

Sprintの携帯電話とMSOの固定電話のボイスメールの統合,携帯電話とケーブルモデムの電子メールの統合,TV,PC,携帯電話への共通したEPGの提供,携帯電話からのDVRの録画予約,携帯電話へのビデオコンテンツの提供等がサービスとして発表されている。Comcastはオレゴン州ポートランド,Time Warnerはテキサス州オースチンとノースカロライナ州のラリーでこのサービスを年内には開始すると言っているが,サービスの開発の開発は遅れており,年内の開始は危なくなっている。

開発が遅れている問題の1つはこのJVはバーチャル組織であり,メンバーは米国の各地に点在していた事がある。9月にSprintはこのJVに関わるSprintとMSOのスタッフを全員,そのカンザス州オバーランド・パークの本社とバージニア州レストンの研究所に集め,組織化を高めた。また,JVの社長であるJohn Garciaの権限を増し,このJVだけでなく,MSOの電話サービスに対するバックボーンの提供の事業も彼の範囲下とし,MSOとのビジネスにおける中心人物にした。

SprintとMSOはそのJVは順調に進んでいると言うが,それを疑う声も一部アナリストから出ている。Sprintは1994年にもMSOとのJVを行っている。1994年にSprint,Comcast,CoxはMSOがSprintの固定電話サービスと携帯電話サービスを再販する目的のSprint Spectrum LPを設立したが,MSOがSprintの携帯電話網構築へのより多くの投資を断った事で,1998年にJVは解散になった。一部アナリストは今回も同じような結果になる可能性があると言っている。8月のAWS帯域の競売で5社はSpectrumCoとして137ライセンスを23.8億ドルで落札したが,その内のSprintが支払うシェアは5%と少ない事から,MSOはこのJVが駄目になる事を予期し,独自で携帯電話サービスの為の帯域に投資したのでは無いかと勘ぐる意見も聞かれる。