NBCUniversalのパリ・オリンピックの視聴者数は全プラットフォーム合計での東京オリンピックよりも82%の増加で、パリ時間のプライムタイム(アメリカの朝)とアメリカのプライムタイムにおける視聴者は3060万人であった。NBCUはパリ・オリンピックの放送に地上波のNBC、多チャンネル向けネットワークのUSA Network等、スペイン語地上波ネットワークのTelemundo、SVODサービスのPeacockを総動員した。
Nielsenの7月のThe Gaugeはオリンピックの最初の数日しか含まれていないが、オリンピックの視聴の影響がある。7月のテレビ視聴は前年同期から2.3%アップした。7月はテレビには新しい番組が少ないことからストリーミングが増える月で、今年もストリーミングのシェアは41.4%で、過去最大になった。しかし、オリンピックがあったことで、地上波放送も健闘し、昨年よりも5%の増加があり、20.3%のシェアを得た。Nielsenによるとオリンピックがあった7月の最後の週の地上波のシェアは22%を越していた。

Nielsen
Peacockでのオリンピック視聴も大きくと増えた。SVODサービスの加入者数を調べているAntennaによると、オリンピックの期間中にPeacockに加入者した人は280万人であった。NielsenのThe Gaugeによると、7月のPeacock視聴時間は33%増え、視聴時間のおけるシェアは1.5%に増えている。Peacockを筆頭にNBCUがストリームしたオリンピック番組の時間は235時間で、東京(夏季)と北京(冬季)の合計ストリーミング時間よりも40%も多かった。
NBCUはロンドン五輪の時から撮影されている試合のすべてを配信して来たが、これまでは試合を探しやすくする、あるいは、見やすくする工夫は殆どなかった。パリ・オリンピックではPeacockで様々な新しい試みがあった。事前の話題になったのはAIを使ったカスタマイズされたハイライト番組で、視聴者が選んだ競技を主体にしたハイライトを見ることが出来た。しかし、肝心な場面が抜ける、AI生成されたNBCUの有名なスポーツアナウンスのアル・マイケルズの声が不自然であった等、問題があった。とは言え、ストリーミングでのオリンピックの視聴の方法としてはこれまでのような総合的なハイライト番組は適しいなく、コンセプトとしてはよく、2026年の冬季オリンピックでの進化が期待出来る。
Peacockの機能で評判が良かったのはマルチビューとGold Zoneで、マルチビューでは同時に進行している試合の内、話題性が高い試合を1画面で、最大4つ映し、リモコン操作で1つの試合を選ぶ、マルチビューに戻ることを可能にし、面白そうな試合を探すのに便利であった。Gold Zoneは毎日最大で10時間連続の番組で、進行中の複数の試合の状況、ハイライト、授賞式等を解説付きでリアルタイムに提供した。NFLは同時進行中の試合をリアルタイムでハイライト、解説するNFL RedZoneを2009年から提供しており、Gold Zoneはそのコンセプトを使った番組で、RedZoneのアナウンサーも加わった。時には4つ以上の試合がマルチビューで映され、ハイテンポで、マルチタスクが好きな人たちに大ヒットした。
オリンピック期間中に300万人近くがPeacockに加入したが、彼らをオリンピック終了後も引き付けることも重要な課題である。Peacockは試合中の広告で、新しいコンテンツを宣伝するだけでなく、番組終了後の自動再生機能もうまく利用した。例えば、家族で開幕式を見ていた人たちにアピールするために、開幕式の終了後は「Kung Fu Panda 4」を自動再生した。
