BASの移動完了は延期

2007年2月17日にテレビ放送のデジタル化が完了するが,放送業界のデジタル化にはもう1つある。これはBAS(Broadcast Auxiliary Service)と呼ばれる放送局がスタジオからタワー,ニュース報道(ENG)の通信に使っているマイクロ波帯の移動である。この移動はNextelの800 MHz帯が自治体の緊急活動の通信に干渉している問題から始まっている。FCCはNextel(現在Sprint Nextel)に800 MHzの利用を認めたが,これが緊急活動の通信に障害を与えることが分かった。その解決法として,Sprint Nextelは800 MHzを空ける代わりに,1.9 GHz帯を得る事を求めた。しかし,1.9 GHzは放送局がBASに使っている。7つある,BASチャンネルの1つを得る為にSprint Nextelは,1)BASを1.9 GHzから2 GHzに移動し,デジタル化するコストを支払う,2)政府に480億ドルを払う事を約束した。1.9 GHz帯の移動は2005年2月に始まり,31.5ヶ月かけ行われ,2007年9月7日に完了の予定であった。しかし,この移動は大幅に遅れている。Sprint NextelはFCCに対して,29ヶ月の延期を求めている。

HBOがMPEG-4に移行

多チャンネルサービス向けにプレミアム(有料)チャンネルを提供しているHBOはそのHBOとCinemaxの大がかりなHD化を発表した。HBOとCinemaxはどちらも複数のチャンネルを提供している(HBO,HBO2,HBO Comedy等)が,HDはそれぞれの主チャンネルのみであった。HBOは26のHBOとCinemaxの全てのチャンネルをHDで放送する計画を発表した。そして,これらのチャンネルはMPEG-4で放送すると発表した。

このニュースはケーブルTV事業者にショックを与えた。HBOは既存のSD放送,それに2つの既存のHDチャンネルはMPEG-2で放送するが,24の新しいチャンネルはすべて,MPEG-4のみで放送する。HBOはそのチャンネルを多チャンネル事業者に配信するには衛星を使っている。HDチャンネルの配信の為に新たにトランスポンダーを借りることは大きなコストであり,それ以上の問題としてCバンド衛星の容量は満杯で,空きを借りるにも借りることが出来ない可能性もあり,MPEG-4を使う必要がある。

しかし,HBOがこの移行を行う時点で,ケーブルTV事業者はHBO,あるいはCinemaxのHDサービスの加入者のSTBもMEPG-4対応にするか,あるいはMPEG-2へトランスコードをしなければならない。このHBOの決定で,他の多チャンネルネットワークもHD放送ではMPEG-4の採用が増えていく可能性がある。HBOの競合のStarz!も新たに3つのHDチャンネルを提供をし,MPEG-4に移行をしていくことを発表している。ケーブルTV事業者はこれまでMPEG-4採用には消極的であったが,これにより,MPEG-4への対応を急がなければ無くなる。HBOはMPEG-4への移行は2008年中旬と発表しており,それまでに多チャンネル事業者はMPEG-4への対応を進めて行かなければならない。

U-Verseの加入世帯が10万を超える

AT&TはそのIPTVサービスのU-Verseへの加入世帯数が10万を超えた事を発表した。AT&Tはまた,今年の末までにLifetime Movie HD,History Channel HD,Animal Planet HD,TBS HD,Versus/Golf Channel HDの5つのHDチャンネルを加える。現在,AT&Tは地上波HD放送の再送信に加え,26程度のHDチャンネルを提供している。さらに,AT&TはU-barと呼ばれるカスタマイズ可能な,ニュース天気等のインターネット情報をTV画面上に表示するサービス,YellowPage.comでローカルビジネスを検索するサービス,それにYahoo! Gamesのゲームを遊ぶことを可能にすることも発表した。

TWCの新しいタイムシフト・サービス

Time Warner Cable(WTC)はその23のシステム中の6つで,Start Overと呼ばれる,ネットワークベースのタイムシフト・サービスを提供している。Start Overはその名の通り,放送中の番組を巻き戻し,最初から再スタートする事を可能にする。Star OverはDVRでは無く,ネットワークベースのサービスで,番組が放送されている間だけ利用する事が出来る。7:00スタートの30分番組であれば,7:29分にテレビをつけても,最初から見る事が出来る。早送りは出来ず,広告をスキップする事は出来ない。Start OverはCBS以外の殆どの大手ネットワークがサポートしており,利用者の評判は高い。今回,TWCは新たにLook Backと呼ばれるサービスを開始する。Look BackはStart Overの延長で,その日に放送された番組を,深夜12時までであれば,再生出来る。DVRとは異なり,録画予約をすることなく,その日,見逃した番組を見る事が出来る。Start Overと同様に,広告をスキップする事は出来いない。Start Overと同様に無料であり,10月からサウスカロライナで開始される。

TWCの親会社のTime WarnerはTuner Broadcasting,CNN等のTVネットワークのオーナーでもあり,DVRによる広告スキップは他のケーブルTV事業者以上に身近な問題である。TWCは有料のDVRサービスも提供するが,広告をスキップ出来ない無料のタイムシフトサービスも需要があると考えている。このサービスがどれほど利用されるかは,利用可能なネットワークの数が大きく影響をする。TWCは視聴率調査をしているNielsenに対して,Start Over,Look Backの視聴は放送放送と同じ日の視聴であり,広告もスキップする事は出来なく,放送時の視聴率として計算するように交渉をしている。この交渉が成功すれば,Look Backのサポートは増えるであろう。

ComcastがTiVoのSAへのポートを発注

TiVoソフトウェアをMotorolaのSTBにポーティングする作業は完了し,Comcastはマサチューセッツとニューハンプシャーのシステムで導入を始める予定になっているが,新たにScientific AtlantaのSTB向けにもTiVoをポートする作業を発注した事を発表した。ComcastはMotorolaとSAの両社のSTBを使っている。TiVoはDirecTVとの契約が切れ,加入者数は減少をし始めており,ComcastとCoxがTiVoを採用する事に今後の成長がかかっている。