NFLはいつまで放送を救えるか

アメリカの放送(地上波と多チャンネル)はスポーツ、特にNFLに救われている。放送の視聴が減る中、NFLの視聴率は伸びている。第3週目の日曜日の全国放送試合の平均視聴者数は2640万人で、昨年から14%アップし、過去8年で最大の視聴者数となった。Nielsenによると7月にはストリーミング視聴時間が多チャンネルを抜いてトップになったと発表した。しかし、これはNFLシーズンの開始前であり、シーズン中は地上波と多チャンネルの視聴時間は増えるであろう。

広告主が最も求めている18歳から48歳のテレビ視聴率は激減している。9月に始まった新シーズンの最初の週における18歳から48歳の視聴率のトップは昨年に続き、NBCであった。しかし、その視聴率はたったの1.1%で、昨年の1.3%から0.2%ポイント減っている。そのような状況でも2023年1月のスーパーボウルの広告はほぼ完売で、30秒広告の価格も$650万から$700万に増えている。

NFLの放送/配信権は来年のシーズン(2023年)から新しい契約になる。木曜日のThursday Night Footballの権利をAmazonが得た以外はこれまで同様にDisney、NBCUniversal、Fox、Paramount Globalの4大放送メディア事業者が買っている。契約料は現在よりも$79.5%も増えているが、NFL無しでは放送は生きていくことは出来ないので、仕方がない。次回の契約期間は2033年までであるので、11年間は放送は生き続けることが出来ると言えるかも知れない。

しかし、これは正しい予測ではない。放送視聴者は49歳以上が殆どであり、若い年齢層が放送を見ていないということは、NFLのハードコアのファンも高年齢化していることである。放送に頼るビジネス・モデルではNFL自体の将来が危うくなる。NFLは若いファンを得るためにストリーミングに力を入れ始めている。今年のシーズンからThursday Night FootballはAmazon Prime Videoでの独占になっている(チームの地元では地上波でも放送される)。また、NFLはDirect-to-ConsumerのNFL+を開始し、地上波で視聴可能な地元チーム試合をストリーミングで視聴可能にした。

全国放送されていない試合はNFL Sunday Ticketとして、DirecTVが提供しているが、これも来シーズンからはApple等のストリーミング事業者と契約する可能性が高い。サービスは現在では、DirecTV加入者以外は加入出来ない。NFLは現在、来シーズンからの契約交渉をしている。Disney等の放送メディア会社も入札しているが、NFLはストリーミングサービス事業者と契約し、多チャンネルサービスに加入していない人でも、加入可能にする方向に動いている。

放送メディア会社も若い年齢層が欲しく、NFLの試合をストリーミングでも提供する予定で、NFLとの契約にはそれぞれのストリーミング・プラットフォームでの配信も含まれている。Disneyは今年の一部の試合を始めてESPN+で配信する。これまで、ESPN+は多チャンネル向けネットワークのESPNと共存し、共食いはしない位置付けであり、NFLの配信はなかった。ESPNのMonday Night Footballの放送の内、15週目と、17週目の試合、ワイルドカードの3試合、それに18週目の土曜の試合はESPNに加え、ESPN+でも配信される。さらに、10月30日にロンドンで行われる試合はESPN+での独占になり、ESPNでは生放送されない。

NFLの試合も徐々にストリーミングにシフトしていく。今回の契約が切れる2033年には、全試合はストリーミングで提供され、一部の試合だけが放送でも提供され、状況は反転しているであろう。NFLは放送の延命にはなっているが、救い続けることは出来ない。


Associated Press(Thursday Night Footballの2022年の権利はFoxがAmazonに売却した)