Netflixのトラブル

実質60%の値上げにより、利用者の不満を買っているNetflixは、第3四半期でその加入者の600,000人を失うとの予想を発表した。2011年6月でのNetflixのアメリカでの加入者数は2460万(カナダを加え2556万)であり、値上げの時点で同社は、第3四半期末のアメリカでの加入者は2500万(ストリーミングだけが1000万、DVDだけが300万、両方への加入が1200万)になるとの予想を発表していた。新しい予想では、ストリーミングだけが980万、DVDだけが220万、両方への加入が1200万で、合計2400万となっている。この予測ではNetflixのアメリカでの加入者数は、2.4%減少する事になる。
Netflixはこれ以上の加入者を失う可能性もある。調査会社のMagid Associatesが700人のNetflixユーザを対象に行った調査では16%の利用者がNetflixから脱退すると答えている。9%は値上げを理由にやめると答え、7%はストリーミングサービスのコンテンツが良くない等、その他の理由でやめると答えている。やめると答えた16%以外に、14%がやめることを考えていると答えている。

Netflixへの不満が高まる中、ブログサイトにNetflixは1つのアカウントで同時に見られるストリーム数を1つに限定し始めているとのニュースが出た。これまで、1つのNetflixアカウントで同時にストリーム出来る本数は上限が無かった。正式には、1回1枚のDVDレンタルの会員は、1ストリーム、DVD2枚では2ストリームであったが、実際には規制はされていなかった。DVDレンタルと切り離されたので、この方針は無意味になっている。値上げをした事に加え、同時視聴可能ストリームを1つにする噂が流れて、同社に対する抗議はさらに大きくなった。同社はすぐにこれを否定し、1つにアカウントにから最低でも2つのストリームを同時視聴が可能であり、アクセスを限定していることは無いと発表した。さらに、NetflixのCEO、リード・ヘイスティングは加入者に向け、今回のストリーミングとDVDレンタルの切り離しの発表の行い方が悪く、説明不足であったとの謝罪メールを送った。

このメールで、NetflixはDVDレンタルサービスをQwicksterとして切り離す事も発表した。DVDレンタル部門は、すでに本社から別の場所に引っ越しており、これ自体は大きな驚きではなかった。社名が変わるだけでなく、ウェブサイトも別に新しくなる。このため、NetflixとQwicksterの両方のサービスに加入していても、これまでに様に1つのサイトで、ストリーミングしたいビデオ、DVDレンタル予約のビデオを一緒に管理する事が出来なくなる。
NetflixはそのDVDレンタル事業の売却を考えおり、分離はその準備と思われる。しかし、Netflixのこれまでの成功は、DVDレンタルとストリーミングがバンドルされていた事であった。料金上、別になるだけでなく、ウェブサイトも別になる事で、DVDレンタルとストリーミングのシナジーは全くなくなり、加入者減少を加速させる可能性もある。

Netflixのトラブルは、競合にとっては大きなオポチュニティーである。買収したVuduをそのウェブサイトに統合したWalmartは、NBCUniversal、Time Warner、Starz等の会社と契約をし、1万以上のTV番組をそのラインアップに加えた。Wlamartはこれら番組を1本、$1.99から$2.99で販売する。
サブスクリプション型のストリーミングサービスとしては、Netflixの大きな競合になり始めているAmazon の Prime Instant Videoは、Foxと契約し、2000タイトルのTV番組と映画を加えた。これで、Primeメンバーがアクセス可能なビデオは11,000タイトルとなった。しかし、Netflixの20,000タイトルのまだ半分でしかない。また、Amazonは11月に7インチタブレットのFireを$199で発売開始し、これに1年間無料でPrime Instant Videoを付ける。FireはiPadの大きな競合になると思われ、Prime Instant Videoの利用者がこれにより、大きく増えると思われる。

Netflixはタイトル数は多いが、コンテンツが古いとの批判がある。Netflixは、より新しいコンテンツを増やそうとしおり、最近ではDreamworksと独占契約をした。契約は2013年からで、現在のHBOとの独占契約が切れるまで、NetflixはDreamworksの映画を提供する事は出来ない。しかし、2013年以降は、HBOはDreamworksのビデオを放送する事が出来なくなる。また、独占配信権を得たHouse of Cardシリーズに続き、Netflixは、ノルウェーで制作されたTVシリーズのLilyhammerのアメリカでの独占権を得ている。

Blockbusterは、Netflixの失策で大きなオポチュニティーを得ている会社である。Dish Networkに買収された時点では、Blockbusterのカムバックの可能性を疑う意見も多かった。しかし、Dish Networkは、その郵便を使ったDVDレンタルの会員が、テスト加入を含めてこの30日間で、50万人増えたと発表している。さらに、Dishはその衛星TVサービスの加入者に対し、Netflixに真っ向から競争する「Blockbuster Movie Pass」と呼ばれるサービスを提供開始した。サービスは以前のNetflixと同じ、DVDレンタルとストリーミングのコンビネーションで、Dishの衛星放送の料金に$10プラスで提供される。Dishは、月額$40のAmerica’s Top 200パッケージへの新規加入者には1年間無料で、このサービスを提供する。

Blockbuster Movie Passが提供するDVDレンタルは100,000タイトルと多いが、ストリーミングで提供されるビデオはPC向けは4,000タイトル、STB向けは3,000タイトルとNetflixに比べて遙かに少ない。Blockbuster Movie Passの大きな特徴は、インターネット接続されたDishのHD STBからストリーミングビデオにアクセス出来るメリットがある。多チャンネルサービスとOTT-Vのハイブリッドである。

調査会社のKnowledge Networkが1013人を対象に行った調査ではアメリカ人の35%(年齢13歳から54歳)は定期的にNetflixを使い、平均でNetflixのDVDレンタル、あるいはストリーミングで週に5本のTV番組と4本の映画を見ている。20%のNetflix利用者は、Netflixがあるので、多チャンネルTVのVODは使わないと答えている。しかし、利用者の10%はもしも、多チャンネル事業者が同様な値段で、同様なサービスを提供した場合、Netflixから多チャンネル事業者に乗り換えると答えている。