Netflixが加入者を失う

Netflixの加入者が減少をした。アジア・パシフィックでは109万人の増加があったが、それ以外の全地域で加入者を失い、合計で20万人の減少があった。減少が最も多かったのはアメリカ/カナダ地域で、64万人を失っている。

コンテンツ事業者のDTC化により、メージャーなSVODサービスが増え、チャーン(解約率)が増えていることが話題になっている。Antennaによると、2021年12月で最もチャーンが多かったサービスはApple TV+で10.4%のチャーンがあり、2位はPeacockで8.4%であった。Netflixの2.2%と低かったが、今年に入り、解約率が増えた。

チャーンが増えているとは言え、そのインパクトは多チャンネルサービスとは全く違う。加入しやすく、脱退も容易なSVODサービスではチャーンが高くて当然である。また、SVODではチャーンによる損失も少ない。多チャンネルサービスでは新規加入者にはSTB提供とその設置等のコストがかかり、さらに解約にもSTBの回収等の手間がある。例えば、Dish Networkはその加入者の加入者獲得コスト(SAC = Subscribers Acquisition Cost)を$789と報告している。毎月に1万世帯の脱退があり、加入世帯を維持するために1万世帯の新規加入者を得るのには毎月7890万ドルの費用がかかることになる。

SVODサービスの加入者獲得コストは多チャンネルサービスとは大きと違う。また、多チャンネルサービスでは脱退者が数カ月後に戻ってくる可能性はほぼゼロに等しいが、SVODではその可能性はある。多くの利用者は1つのサービスを辞めても、すぐに他のサービスに加入している。Deloitte社の「16th Digital Media Trend」レポートによると、2021年12月までの6ヶ月間でアメリカ成人の37%はSVODサービスを解約している。しかし、その殆どは同じ期間中に新たなSVODサービスに加入ている。これを定期的に行う人も増えている。Parks AssociatesはSVOD加入世帯の36%の人はサービスを定期的にスイッチする「サービス・ホッパー」と呼んでいる。

サービスの魅力が少ないからサービスを解約するのが普通だが、サービス・ホッピングは違う。サービスをホップする理由は低いコストで出来るだけ多くのコンテンツを見たいからである。サービスに満足していても、まとめ見をし、解約し、別のサービスに加入し、まとめ見をし、解約する事の繰り返しをしている。

サービス・ホッピングをする最大の理由はサービスの価格が高いからであり、NetflixはHulu、HBO Max等のように料金が安い広告付きのプランを提供する事を発表した。これまで、Netflixは広告付きプランには否定的で、先月にもCFOのニューマン氏は広告付きプランの予定は無いと発言している(その直後に「Never say never」と加えている)。どのような広告付きプランになるかは不明だが、Netflixの広告参入によりストリーミングビデオの広告市場が大きくと増えることは確実であり、放送広告への大きな挑戦になる。