NCTAの新会長、NABとMSTVの合併

放送業界における2つの大きな業界ロビー団体であるNAB(National Broadcasters Association)とNCTA(National Cable & Telecommunications Association)にそれぞれ大きな変更があった。

地上波放送局を代表する団体のNABは、Maximum Service Television(MSTV)との合併を行った。1956年に設立されたMSTVも地上波放送局を代表するロビー団体だが、NABより技術的な立場であり、テレビのカラー化、デジタル化では大きな影響を与えた。しかし、7,500のTV、ラジオ局を会員にするNABに比べ、MSTVの会員数は400と少なく、また、その90%はNABにも参加している。MSTVは無駄を除くことを目的に3月にその組織を解散し、NABと合併をした。

そのNABとは争うことが多い、ケーブルTV事業者代表のNCTAは、2001年1月から2005年1月までFCC委員長であったマイクル・パウェル氏(共和党)をその会長に任命した。
NCTAは1952年にNational Community Television Associationとしてスタートした。1960年代に名称として「CATV(Community Antenna Television)」に代わり、「ケーブルTV」が使われ始めた事で、NCTAもその名前をNational Cable Television Associationに変えた。さらに、双方向サービス、ケーブルモデムサービスが動き始めた事に応え、2001年には名前を現在のNational Cable & Telecommunications Associationsに変えている。NCTAはケーブルTV加入者の90%をカバーする事業者を主体に、ケーブルTVネットワーク、それに機器ベンダーがメンバーメンバーになっている。NCTAはケーブルTV業界の最大のロビー団体である。この他、小規模ケーブルTV事業者を代表するAmerican Cable Association(ACA)がある。

FCCには1990年代後半、ケーブルTV事業者を電話事業者の競合として優遇する様な政策も見られたが、現在ではケーブルTV事業者のブロードバンドでのシェアでは電話事業者を上回り、ComcastがNBC Universalを買収するほどの力を持ち、ケーブルTV業界に対するFCCの警戒心は強まっている。ケーブルTV業界に対する規制も強よまろうとしており、その対策として、ケーブルTV事業者は元FCC委員長をそのロビー活動のトップに選んだ。

ケーブルTV事業者に関わるFCCの大きな政策としては、ネットワーク中立性、CableCARD、そして、その後続のAllVid等がある。ネットワーク中立性は、大手ブロードバンド事業者であるケーブルTV会社には大きな問題である。ケーブルモデム、そしてブロードバンド全体をコモンキャリアの定義から外したのはパウェル氏が率いた時代のFCCである。ネットワーク中立性規制に於いて、FCCにコモンキャリではないブロードバンドを規制する権限があるのかが大きな論点になっているが、その議論の根源を作ったのはパウェル氏である。
パウェル氏がFCC委員長であった時からインターネットの普及格差は話題であって、当時は「デジタル・デバイド」と呼ばれていた。しかし、共和党のパウェル氏は、FCCの任務は消費者擁護ではないとし、この問題はメルセデス(ベンツ)・デバイドで、私は(ベンツを)欲しくても買えないのと同じ事だとしてかたづけた事でも知られている。

ケーブルTV業界はFCCとの争い以外にもNetflix、Hulu等のインターネットビデオからの競争、それに地上波局が求める再送信料の高騰等の問題を抱えている。これらは、ケーブルTV事業者だけでなく、多チャンネルTVサービス全体の問題でもある。多チャンネルサービスの加入者は増えているが、ケーブルTVのシェアは減っている。多チャンネル事業者のトップ10位の内、2位と3位がDirecTVとDish Networkで、7位と9位がそれぞれVerizonとAT&Tである。衛星放送事業者も、AT&T、VerizonもNCTAのメンバーではない。しかし、AllVid、インターネットビデオとの競合、再送信料等の問題は、ケーブルTV以外の多チャンネルサービス事業者との協力を要求し、これはパウェル氏の大きな挑戦の1つになる。

なお、元NCTAの会長であったカイル・マックスラロー氏は、Comcastのロビーグループのトップに就任した。マックスラロー氏の率いるComcastのロビーグループには、Comcastが最近買収したNBC Universalのロビーグループも含まれている。